誰がアパレルを殺すのか

【創業90年超!】オンワード樫山の資産をベースに創りあげた「オーダーメイドスーツ」とは?

2018.9.2 2018.9.2
2018.9.2

話を聞くほど、ブランド・エクイティの見事な結集――

オーダーメイドスーツブランド「カシヤマ ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA the Smart Tailor)」は、オンワードホールディングスの子会社であるオンワードパーソナルスタイルが展開する新ブランド。ホームページのURL(https://kashiyama1927.jp/)に、「1927」という数字が入っている理由を代表取締役社長の関口 猛氏に問うと、「オンワード樫山(現オンワードホールディングス)の創業者が独立して樫山商店(のちのオンワード樫山)を創業したのが1927年です。昨年創業90周年を迎えましたが、カシヤマ ザ・スマートテーラーは創業者の名前と創業年を記すことで、今後、カシヤマという事業を大きくしていきたいという意思を示しています」と語ります。

最初に採寸すれば、2着目からはオンラインで購入可

取材で訪れたのは、港区海岸にあるオンワードベイパークビルディング2階のカシヤマ ザ・スマートテーラー「芝浦ショールーム」。このショールームは今年6月にオープンした完全予約制で、スタッフは常駐せず、予約が入っているときのみフィッターが来て採寸を行います。同様のショールームは銀座・秋葉原・仙台・名古屋・広島にもあり、予約すればじっくりと生地・デザイン選びができます。ちなみに銀座・芝浦・仙台ではウィメンズラインのオーダーも可能。

ショールームで一度採寸すれば、ボディデータは記録され、2着目からは生地やデザインを選ぶだけで手軽にオンラインでオーダーができ、スーツ業界では初の「工場からお客さまへの直接発送」を実現し、圧縮パック梱包「パックランナー」で最短1週間納品というのも画期的です。

圧縮パック梱包「パックランナー」と専用ボックス
人財+プラットフォーム+社歴×オムニチャネルの新事業

――この連載は、アパレル不況に立ち向かう事業を紹介していますが、業界では「スーツ不振」という声もよく聞きます。

関口 私たちがカシヤマ ザ・スマートテーラーを立ち上げるときに調査したのが、日本でスーツの購入額の総額が2200億円ほどで、購入者が約550万人、割ると平均4万円という結果でした。それを踏まえて、カシヤマ ザ・スマートテーラーのオーダー価格を3万~5万円と設定しました。ご存知のように日本ではデフレが長く続いて、スーツにかける金額もとてもシビアですが、商品に価値がないと手頃な価格でも購入していただけません。

――そういう状況の中でカシヤマ ザ・スマートテーラーをスタートさせた理由は。

関口 当社の創業者は、高度経済成長期に「既製服の民主化」を掲げて紳士服に取り組み、以降、海外ブランドのライセンス、レディスの展開などで事業大きくしてきました。振り返ってみると当社の軸は「紳士スーツ」で、スーツに見識を持った先輩や優秀な生地屋、縫製工場など、資産ともいえるバックボーンを持っています。そういう人脈やノウハウ、リレーションを時代の中で活かせないかというのがスタート地点でした。

――御社にはそれだけのブランドの資産(アセット)があるということですね。

関口 スーツに関わる豊富な人財と、生産・流通のプラットフォーム、そして会社の歴史を足し算し、さらに時代と呼応する店舗とネットの境界を融解するオムニチャネル化とカスタマイズをかけ算して、2016年10月の工場視察から事業化を進め、昨年10月にローンチしました。

オンワードパーソナルスタイル代表取締役社長の関口 猛氏

――それは「カスタマイズ」に勝算があると思われたのですね。

関口 ファッションに限らず、ライフスタイルの中で様々なモノがカスタマイズされています。紳士のスーツに関しては、「自分の身体にフィットした服がなく、身体に合ったスーツが着たい」という声が増えています。そこで、「自分の体型に合ったスーツで、価格のハードルが高くなければ、カスタマイズはこれからも広がる可能性がある」と考えました。

――いわゆる「オーダーメイドの民主化」ですね。

関口 お客さまにオーダーメイドを身近に感じていただくために、まず納期にこだわりました。自社工場に新システムを導入し、スーツを作る工程を削ることなく生産日数を短縮。最短1週間でお届けします。また、完成したスーツは圧縮パック梱包で内部を乾燥状態にすることで、生地の風合いや品質を保護しながら、工場から直接配達します。

――以前は、オーダーメイドは出来上がる期間も楽しめるといわれてきましたが、オーダーしたら早く着てみたいのが本音。採寸から間を置かないことで、採寸と実物の実感が得られるのも大きなメリットですね。

芝浦ショールーム
キーワードは、「D2C・カスタマイズ・コスパ良し」

関口 カシヤマ ザ・スマートテーラーの一番の魅力は、「高品質・適正価格・短納期」です。オンライン注文を中心に据えたD2C(Direct to Consumer)型なので中間コストはなく、自社工場からの直接配送なのでクオリティも安定しています。

――他社のカスタマイズ事業との差別化は?

関口 オンラインを活用したオーダーメイドは様々な企業がトライしていますが、当社の強みにしていくのは「人財」です。いくら効率化し、コストダウンに成功したとしても、洋服からは「BESPOKE」という概念はなくなりません。

――「BESPOKE=話ながら誂える」ということですね。

関口 私も「3D採寸」などAIを活用したものを体験しましたが、着心地に直結する「ゆとり量やフィット感」は、人の好みや時代のムード、トレンドに左右されるところなので効率化できません。現在、カシヤマ ザ・スマートテーラーには全国に採寸できるフィッターが125名いて、経験者はその7割ほどですが、自社でプロを育成していくことに力を入れていきます。

――それは、洋服にはアナログな部分は必須ということですね。

関口 最終的な満足感のためには人の手が必要です。

ショールームには試着用のサイズ見本も揃える
今秋スタートのシャツオーダーは、すべて日本国内で製造

――今年6月よりスタートしたショールームの反響はいかがですか。

関口 今は「ウェブで情報を得る時代」ということは理解しているつもりでした。今年6月にオープンした銀座ショールームは、銀座3丁目のビルの8階にあって、道を歩いているだけではその存在はわかりませんが、予約のお客さまが月に40~50人いらっしゃって、正直驚きました。「本当に良いもの、欲しいものがあれば探してくる」というのを実感しましたね。

――そういう反響を見て、消費者の「スーツに対する考え方」は変わってきていると思いますか。

関口 そうですね。仕事着に対する価値観は変わってきているなと思います。特に、女性のオーダースーツが人気で、銀座ショールームの3割は女性です。40代の営業職の女性が「着るスーツがない」とオーダーされますが、女性の社会進出とともに、紳士よりもポテンシャルを感じます。

――今秋冬でも新しいトライをされるそうですが。

関口 ジャパンメイドの「シャツオーダー」を始めました。納期はスーツと同じく最短1週間で、エントリー価格は6,900円(税抜)から設定し、3カテゴリー約100色からお好みの生地をお選びいただけ、襟型やカフスもお好みをチョイスできます。現在、数量限定ですが5,000円(税抜)からオーダーしていただけます。また、Smart Tailorラインで高級服地メーカー「ドーメル」を特別価格で販売。秋冬用の生地では、「カノニコ」や「ロロピアーナ」なども7~8万円でお仕立いただけます。

左がシャツ用の生地で、今季からウィメンズ専用素材も充実
今後は「スーツ・ペディア」を発信しようと思っています

――カシヤマ ザ・スマートテーラーで今後取り組みたいことは。

関口 「日本のスーツの偏差値を上げたい」ですね。たとえばクールビズですが、トレンドに左右されがちなので、一度きちんとしたスタイルを提案したいと思っています。日本人は真夏でもジャケットを着用する人が多いので、「機能的かつコンフォートで、グローバルに通用するスタイル」を創造していきたい。さらに、正統なスーツでの「スーツ・ペディア」を発信していきたいですね。

――楽しみにしています。

【問い合わせ】
KASHIYAMA the Smart Tailorカスタマーサポート
0800-111-1570 (土日祝日を除く10:00~17:00)
https://kashiyama1927.jp/

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

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