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FASHION 赤峰塾!間違いだらけの洋服選び

【人もモノも一期一会】ドクトル赤峰と「ストレイシープ」店主・世田匡典氏との古着談義

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ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

茨城・水戸市と川崎市に店を構える古着屋『ストレイシープ』の店主、世田匡典さんに店名の由来を尋ねると、「夏目漱石の『三四郎』に出てくるストレイシープが気になっていて、それを店名にしました」とのこと。水戸市泉町に2009年に開店した店は、世田さんの買い付けにしびれるファンが連日押しかけ、「もっといろんな人に商品を見てほしい」と川崎店を2年前にオープン。川崎店は古着屋特有の匂いもまったくなく、行き届いたクリーニングやメンテナンスを感じさせます。

気をつけないと中毒になるヴィンテージ

赤峰 世田さんは出身地の水戸が本拠地で、自分は水戸の店には行ったことがありませんが、熱心なヴィンテージファンが多いそうですね。

世田 ヨーロッパでの買い付けから帰ってくると、買い付けのときの話を聞きたいというお客さんが大勢来ます。銀行員や学校の先生、医者など、普段は制服を着て仕事している服好きの人も多く、自分と話をしてストレス解消して(笑)帰るという人もいますね。

赤峰 それ、わかりますよ。自分もお客さんと生地の話に夢中になって、あっという間に3~4時間経ってしまって、それから服を作ろうかと。普通の店ではなかなかできないことですよね。

世田 ヴィンテージに憧れていたり、忙しくてなかなか海外へ行けないから店に来るという人も多いです。

赤峰 それはもう熱心な世田ファンですよ。水戸というのも絶好のロケーションなんでしょうね。趣味人同士が話ができて、居心地が良くて、コミュニティができやすい。東京では絶対そうなりませんよ。でもヴィンテージは深みにはまると、自分のように中毒になりますからね。みなさん、気をつけてください(笑)。

ヨーロッパへ年3回、年間トータル2ヵ月の買い付け旅

赤峰 世田さんはどうしてヴィンテージを買い付けるようになったのですか。

世田 服を着るのが好きで、高校のときにちょうどアメリカのヴィンテージブームがありました。20代に旅に出て、いろんな国の良いところを見てきました。アメリカが好きで20代はアメリカを放浪していたのですが、古着を買い付けるならヨーロッパだと思い、仕入れ先はすべてヨーロッパです。

赤峰 特に気に入っている国はありますか。

世田 やはり、洋服文化のルーツのイギリスですね。特にロンドンは老若男女、一人ひとりに個性と自分なりのこだわりがあって、歩いていて楽しい、一番オシャレな街だと思います。「歴史を感じて服を着ている」のは国民性なんでしょうね。

赤峰 「歴史を感じて服を着ている」。まさにその通りだと思います。

「BRITISH INDIAN ARMY×HUNTSMAN」MADE IN ENGLAND 1880’s VINTAGE 24万8000円

世田 昔の服はその当時ならではの雰囲気や独特のオーラがあって、今では再現できない生地や作りの魅力にとりつかれています。開店当初からだいたい一回3週間、年3回、年間2ヵ月ぐらいヨーロッパを回っています。僕自身がヴィンテージと出合いたいんですよ。本当に中毒的なものがありますね。

赤峰 古着との出合いはまさに一期一会。そこに行かなければ出合えなかったわけですからね。特にヨーロッパの古着は資料的なものがないので、世田さんの買い付けは貴重です。

世田 6月の買い付けでは初めてアイルランドのダブリンに行きました。これからは北欧や東欧などを探してみたい欲求があります。

今の服は工業製品でペットボトル化しているから匂わない

赤峰 洋服が好きな人は面白いもの、見たことがないものが欲しいんです。若い人は、ワークやミリタリーの本質を知りたいし、自分のようなタイプは、「なんていうことないんだけど、こういうのは今ないんだよね」というのが欲しい。それがヴィンテージに対する向き合い方になっている。

世田 そうですね。世間では“古着ブーム”といわれていますが、自分は一過性ではない、愛着を持って長く着続けてほしいものだけを仕入れています。

赤峰 今の人たちは、値段の安いものをネットで買うから、モノに対する思い入れがない。服にも匂いがないから、飽きたらすぐ捨てるし、フリマアプリで売ってしまう。服が工業製品で、ペットボトル化しているんだね。

「MAXWELL(BESPOKE) 」MADE IN ENGLAND 40’S VINTAGE 8万8000円

世田 ヴィンテージの良さは“匂いでかぎ分けられる”ところもあります。

赤峰 世田さんが探してくる服は、時代を超越してきた「実績商品」ですからね。モノに匂いがしっかりある。人間も同じですよ。自分の軸を変えないで時代を超えて生きていくことに価値がある。

世田 赤峰さんは洋服を作られる側だから、ヴィンテージには違う価値を見出していますよね。

赤峰 過去のヴィンテージに敬意を表しながら、自分が魂入れて作った服が、これから何年、何十年経ってヴィンテージに出てきたら涙ものですよ。洋服屋冥利に尽きる。

世田 そうであって欲しいですね。英国の1930年代の服などを見ていると、ここまで手が込んだものを作るのかと感嘆することもたびたびあります。

服を売るだけではなく、趣味の話ができる場を作りたい

赤峰 さて、最後に世田さんのこれからの夢をお聞かせください。

世田 自分が買い付けてきて売る店が水戸と川崎にあって、卸は一切していませんが、声がかかれば出張販売もしているので、皆さんと出会う機会は以前より多くなっています。

赤峰 日本でも出張販売の場は増えてきていますね。

世田 お客さんと話をしていてよく思うのは、「服を持っていても、着て楽しめる場がない」こと。自分が持っている服を着て、服が好きな人に見てもらって、趣味の話ができる場をプロデュースしたいと思います。ロンドンにはそういう場所があるんです。オシャレして行ける場を作りたいですね。

赤峰 応援しています。頑張ってください。

『ストレイシープ2号店』
神奈川県川崎市川崎区小川町4-1マッジョーレ棟A201号
044-201-4788
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日
https://ameblo.jp/straysheep77/

「ドクトル質問箱」では、赤峰さんへの質問をお待ちしています。こちら「forzastyle@kodansha.co.jp」まで質問をお送りください。

ジャパン・ジャントルマンズ・ラウンジ
http://j-gentlemanslounge.com

 

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii



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