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ベジタリアンのメリットとは? 初心者でもできる菜食主義スタートガイド

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ベジタリアンでも栄養が偏らないメニューって?

肉や魚介類を食べない生活を送る菜食主義者、いわゆる「ベジタリアン」と呼ばれる人々のことを、みなさん一度は耳にしたことがあると思います。実際にベジタリアンが身近にいるという人もいるかもしれません。

ベジタリアンにはさまざまなタイプがあり、宗教上の理由や倫理の観点から実践している人も世界には多いですが、日本では主に身体の健康やダイエットを考えて始める人が多いようです。

そこで、ベジタリアンになるとどんなメリットがあるのか? デメリットは? 栄養不足にならないためにはどんな食材を食べればいい?といった、ベジタリアンになるための知識をお教えします。さあ、あなたも健康なベジタリアンライフを始めてみませんか?

目次

■ベジタリアンの種類

■ベジタリアンのメリット


 ①消化のための身体への負担が減る

 ②病気のリスクが減る

 ③気持ちが穏やかになる

 ④ダイエット効果アリ

 ⑤味覚が敏感になる

■ベジタリアンのデメリット


 ①外食に行くのが難しくなる

 ②便通が悪くなる

 ③栄養が偏る恐れも

 ④意外と食費や手間がかかる

 ⑤体質によっては合わない

■ベジタリアンでも栄養が摂れる食材

■日本でベジタリアンになること

■健康なベジタリアンライフを

ベジタリアンの種類

一口にベジタリアンといっても、その程度などによってタイプがいくつかに分かれています。いったいどんな種類があるのか、主要なものを見ていきましょう。

オボ・ラクト・ベジタリアン
肉と魚介類は食べないが、卵や乳製品は食べるベジタリアンのこと。

オボ・ベジタリアン
卵は食べるが乳製品は食べないベジタリアンのこと。

ラクト・ベジタリアン
乳製品は食べるが卵は食べないベジタリアンのこと。

ヴィーガン
完全菜食主義とも言われ、卵・乳製品はもちろん、ハチミツも食べないベジタリアンのこと。食べ物にとどまらずレザーや毛皮などの製品も使用しないエシカル・ヴィーガンや、植物も殺さないようにと木に実る果物だけを食べるフルータリアンなど、ヴィーガンの中でもいくつかの分類がある。

これらの主要なものの他にも、食べるものや考え方によって細かいカテゴライズがなされています。

ベジタリアンがそれほど多くない日本では、卵・乳製品を使った食材を避けるのがかなり大変です。また、栄養の面から考えても、初心者はオボ・ラクト・ベジタリアンから始めるのが最も入りやすいでしょう。

ベジタリアンのメリット

健康になるイメージのベジタリアンですが、実際にやってみるとどんなメリットがあるのでしょうか? 想像通りの結果はもちろん、思いもよらなかった意外な効果もあるようです。

①消化のための身体への負担が減る

肉や魚など、動物性たんぱく質は消化に時間がかかり、それだけエネルギーも必要になります。ベジタリアンになると、消化の負担が減るためか身体が軽くなり、疲れを感じにくくなる人が多いようです。頭も冴え、サクサク仕事がはかどるようになることも。

②病気のリスクが減る

肉を食べずに野菜を多く摂ることで、肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病のリスクを減らすことができるでしょう。また、さまざまな研究によって、菜食者はがんや心臓病のリスクが低いことも指摘されています。

さらに、20年以上ベジタリアンでいると平均寿命が3.6年長いという研究結果の報告もあり、長い目で見ると全体の死亡リスクが低いためだということがわかります。

③気持ちが穏やかになる

動物愛護の意識が高まるからなのか、それとも健康状態がよくなるからなのか、ベジタリアンになってから気持ちが穏やかになり、あまりイライラしなくなったという人も。自分の周りに対して優しくなれれば、それが自分に返ってくることでより一層穏やかになれそうです。

④ダイエット効果アリ

野菜中心の生活をすれば痩せる、というのは想像に難くないことですが、消化に使うエネルギーが減ることによって代謝がよくなり、それも体重や脂肪を減らす手助けになるようです。食事量を極端に減らすダイエットはやつれたようになってしまいがちですが、きちんと栄養を摂りながら痩せていくのでベジタリアンにその心配はありません。

⑤味覚が敏感になる

ベジタリアンを続けていくと、大好きだったはずの肉に臭みを感じるようになり、反対に今まで感じることがなかった野菜の甘みや旨味を次第に感じられるようになるのだそう。シンプルな味付けでも素材本来の味を楽しめるようになっていくと、食事が楽しくなりそうですね。

ベジタリアンのデメリット

ベジタリアンになるといいことづくしのように思えますが、気になるデメリットにはどんなものがあるのでしょうか? これを踏まえて、ベジタリアンを始めるかどうか考えてみてください。

①外食に行くのが難しくなる

肉や魚料理を食べられないとなると、外食に行ってもほとんどのメニューを注文することができません。家族や友人との食事なら自分でベジタリアンメニューのある店を探すこともできますが、仕事関係の人との食事や上司との飲み会ではそうもいかないでしょう。

人とのコミュニケーションのための外食のはずが、「ベジタリアンなので食べられるものがありません」と言って相手に気を遣わせたり、面倒な人だと思われたりするのは困りますよね。どうしようもない場面では空気を読んで少しは肉も食べる、など柔軟に対応するのがよさそうです。

②便通が悪くなる

野菜の食物繊維などをたくさん摂ればお通じはよくなりそうだと思ってしまいますが、潤滑油のような役割を持っている動物性脂肪が不足すると、便が腸の中でスムーズに流れにくくなるのです。オリーブオイルやアマニ油、チアシードオイルなどの油を調理に使う、発酵食品を意識して食べるなどの工夫が必要です。

③栄養が偏る恐れも

普段は肉や魚から摂取しているたんぱく質やミネラル、鉄分や亜鉛、カルシウムやビタミンB群、さらにオメガ3脂肪酸などのさまざまな栄養素が、ベジタリアンには不足しがちになります。それらを意識して補うようにしなければなりません。

また、肉を食べなければいいからと、炭水化物中心の健康とはほど遠い食生活になってしまうことも考えられます。ただ肉と魚をやめるだけでは、ベジタリアンの効果は得られないのです。

④意外と食費や手間がかかる

高い肉や魚を食べないので食費は安く済みそうだというイメージがありますが、バランスの取れた栄養や満足感を得られる食事のためにはさまざまな種類の食材を使わなければなりません。しかも、野菜など本来味が濃くない食材を使うのであれば、その食品自体も調味料も高品質でおいしいものを使いたくなりますよね。そのため食費がかさんでしまうのです。

また、できあいのものや加工食品にも肉類などが使われているため、ベジタリアンを実践する場合は自炊が基本になってきます。仕事で疲れて夜遅く帰宅してから多様な食材を自分で調理するのは、なかなか手間がかかって大変だといえるでしょう。

⑤体質によっては合わない

個人差はありますが、ベジタリアンを始めてから疲れを感じやすくなってしまったなど、体調を崩すこともあるそうです。元の食生活に戻すと改善することから、体質によってベジタリアンが合う人と合わない人がいるのだと考えられます。もし始めてみて合わないと思った場合は、決して無理をせずにすぐ元通りの食事に戻してください。

ベジタリアンでも栄養が摂れる食材

日本には、お寺のお坊さんなどが食べる精進料理がありますよね。これも、殺生をしてはならないという仏教の教えに基づいた菜食だといえます。ここでは精進料理のように日本人が取り入れやすく、不足しがちな栄養を補ってくれる、ベジタリアンにオススメの食材を紹介します。ベジタリアンにもさまざまな種類がありますが、それぞれのタイプによって食べられるものの範囲でこのような食材を摂るようにしてみてください。

大豆製品
肉を食べないベジタリアンがその代替として頼るべきなのが、大豆から作られる食材と調味料です。代表的なものとして豆腐や味噌があります。大豆にはたんぱく質、鉄分、亜鉛などの栄養素が豊富なのに加えて、植物性食品から摂取できるオメガ3脂肪酸であるALAも含まれています。

発芽玄米
ベジタリアンに不足しがちな鉄分や亜鉛、カルシウムの吸収率は、豆や穀物を発芽させたものを食べることで上がります。健康的なイメージがあることから普通の玄米を食べがちですが、それではむしろ吸収率が下がってしまうので、せっかくなら発芽玄米を取り入れましょう。

ブロッコリー、白菜
多くの人が魚や牛乳から摂っているカルシウムですが、実はブロッコリーや白菜にも含まれていて、しかも吸収率で見れば牛乳より高いのです。身近な野菜で調理法もたくさんあるものなので、気軽に摂取できそうです。

ナッツ類
おやつにも料理のアクセントにももってこいのナッツ類は、亜鉛が豊富に含まれるほか、くるみからは大豆にも含まれるALAが摂取できます。よく噛むので満腹中枢が刺激され、食事の物足りなさも補えます。

海藻類
昆布やわかめなど、和食でよく使う海藻類はミネラルが豊富です。また、魚介類に多く含まれるビタミンB12は海苔もたくさん含んでいるため、意識して使いたい食材のひとつです。

発酵食品
納豆や味噌などの発酵食品は、大豆の栄養を摂れるだけでなく、鉄分の吸収を促してくれます。乳製品が食べられるタイプのベジタリアンであれば、チーズやヨーグルトなども栄養豊富なうえに食事の満足感もアップさせてくれそうです。

日本でベジタリアンになること

ここ日本では、ベジタリアンの比率は全人口の5%にも届かず、まだまだ菜食が浸透しているわけではないようです。海外では宗教上の理由以外に、健康への危機感や食肉生産による環境への負担など、さまざまな問題意識からベジタリアンになる人もたくさんいます。しかし、日本人にはそういった考え方があまり広まっておらず、ベジタリアンが普及しにくい原因のひとつとなっています。

そんな日本でベジタリアンになると、なかなか理解が得られず苦労することが多いのは容易に想像できます。特に困るのが外食に誘われたときでしょう。ベジタリアンだからと言って毎回誘いを断ると「付き合いが悪い」と思われそうですよね。しかし、日本の飲食店でベジタリアン食に対応しているところはなかなかありません。

海外ではベジタリアンの人が多いこともあり、ベジタリアンのためのレストランだけでなく、菜食対応メニューを設けている店も増えてきています。また、スーパーでもベジタリアンのためのコーナーが作られていたり、大豆ミートなど肉の代替食品の取り扱いがあったりと、菜食を継続しやすい環境にあるのです。

日本人は他国と比べて保守的で、新しいものをすぐに取り入れるより今までの習慣を重んじる性質があると言われています。ベジタリアンの普及率の低さにも、今までになかった考えをすぐ柔軟に受け入れることが苦手な国民性が影響しているのかもしれません。

ベジタリアンは家族や友人、仕事の同僚などから理解してもらいにくいかもしれませんが、その場に合わせた対応をすることが大切でしょう。反対に、周囲にベジタリアンの人がいる場合は、それぞれの考えを尊重して歩み寄る姿勢を持つべきだといえます。

まとめ

人間は肉食動物に比べて爪や歯が尖っておらず、腸が長く、胃の中の塩酸が少ないことから、本来は肉食ではないという説があります。そのため、人間はベジタリアンに向いているというのです。ベジタリアンになるとさまざまな効果が得られるのも、人間のあるべき「食」のかたちの原点に立ち返って、その食生活を実践するからなのかもしれません。

しかし、現代人には肉や魚を食べる文化がしっかりと根付き、そこから菜食へ移行するのは大変なことになってしまいました。当たり前に食べている食肉が我々と同じ「命」であったということを意識する機会もなかなかありませんよね。これを機に改めて考えてみるのもよさそうです。

ベジタリアンになるかどうかは、メリットとデメリットの両方を考えた上で決めるべきです。しかし、どちらにしろ食事をはじめとした生活習慣を見直して健康に気を配り、周囲の人や動物、環境に優しく生きることが最も大切なのではないでしょうか。

Photo:Getty Images
Text:N.M



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