第60回 古着屋巡りで腹が減った時は長崎のソウルメシ
チノパンに白いTシャツが似合う男になりたいと思ってきたが……、最近少しは着こなせるようになった気がする。シンプルなアイテムほど生き様が出てしまうもの。やはり中と外の両方が大切なのだ。つまり干場編集長のホッピー理論ということ。
この極太チノパンは1950年代のフランス軍のヴィンテージで浅草のTで購入した。あまりにも気に入ったので、この夏にまた数本買い足すつもりだ。そんなマイ・スタンダードなスタイルで高円寺の古着屋巡りをすることにした。腹ごしらえをするのは長崎ちゃんぽんの「唐八景」。
住宅街の路地裏にひっそりと佇む名店は、キタナシュランでも紹介されている。
潔いストイックなメニューだ。そうシンプルでいい。ワードローブと同様に本当に必要なものだけでいいのだ。オーダーは、いつもの気絶三品。
まずはルービーで喉を潤す。
たまらない。こんな街中華のようなちゃんぽん屋で飲む瓶ビールが俺には極上の一杯だ。
焼き餃子は、もちろん鉄鍋。長崎のちゃんぽん屋にも大抵、こいつはある。これでなければ絶妙な焦げはできない。
美しすぎる。カリッと焼きあがったその姿にウットリしちまう。もう口の中が完全に焼きだ。
ウマすぎる……。ギョー気絶! 外はカリッと中はジューシーでルービーギョー昇天!
そして、ちゃんぽんと炒飯の半分セットが待っている。中華鍋で野菜を炒める音が俺を誘惑するぜ。
そこにスープをドーンと投入。これで野菜の旨味が全体に馴染むのだ。
長崎生まれのおやっさんだからこそ、本物の味が作れる。もうここが高円寺とは思えない。店の外は、思案橋だろう。軍艦島も見えてきた。
ちゃんぽん麺をドーン! ラーメンでも中華そばでもない。これこそ、本物のちゃんぽんなのだ。
キター半ちゃんぽん! 半分でもボリューミーだぜ。もう我慢できない。少し焦らそうかと思ったが我慢の限界。
相変わらずの強烈なウマさが俺の中で炸裂する。ちゃん気絶……、ぽん昇天! 野菜、麺、スープ完璧なバランスで降臨。まさに長崎現地の味だ。
まだまだ終わらない。さらに炒飯の音が俺を、さらに誘う。
おやっさん、早くしてくれ。おやっさん! もっと激しく炒めてくれ!
やっと会えたね。いつもよりチャーミングな紅生姜が似合ってるよ。ずっとお前のことばかり考えていた。最後はお前じゃなきゃダメなんだ。
三度目の気絶でもう言葉が出ない。なんでこんなにウマいんだ。米の一粒一粒までも強烈にウマい。シンプルな具材で完璧なハーモニーを奏でている。そう、つまりチャー気絶! というか誕生!!!
おやっさん、ごちそうさまでした。長崎現地で有名店から無名店まで多くのちゃんぽんを食べてきたが、「唐八景」は間違いなく都内でもベストスリーに入る名店だ。いつもこの三品で皿うどんの太麺を見送ってしまう。次回は必ず皿太麺と誓いつつ、俺は次の古着屋へと向かった。
フランス軍ヴィンテージのチノパン。デッドストックで購入した1950年代のもの。極太のシルエットと深めの股上が、一回りして今新鮮だ。2インタックやフロントボタンなど、そのディテールは軍モノとは言え、さすがフランスだと感じさせてくれる。アニ動画でもお馴染みの浅草のTで購入した一生の相棒だ。
Text:Eiji Katano
Photo:Ryunosuke Hanada
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今回のアニキおすすめの店
「唐八景」
東京都杉並区高円寺南2-42-15
Tel. 03-3314-0403