古き良きにこだわらない、今を生きる伝統
第61回は、ジョセフ チーニーのドレスシューズです。
昨今、セレクトショップの別注などで話題を集めているジョセフ チーニー。老舗揃いの英国ノーザンプトン出身のシューズメーカーらしいクオリティの高さを誇る反面、その良心的なプライスで支持を拡大しています。
創業は1886年。文句なしの老舗ですが、比較的原則的なスタイル、つまりクラシックスタイルを重んじるノーザンプトンのシューズメーカーの中にあって、チーニーはコンテンポラリーな提案も得意としています。ショップ別注に積極的なのが、その証です。
生産体制は、もちろんノーザンプトンの自社工場にて。“PURELY MADE IN ENGLAND”にこだわり、生産体制においては昔ながらを貫きます。一時チャーチに買収されるも、2009年には創業一族が買い戻したことにも、そのこだわりが見られます。良心的プライスとはいえ、作業工程は160もある本格派。カッティングからファイナルポリッシュまでのすべての工程をノーザンプトン州で行っているのです。
歴史があり、作りにもこだわり、トレンドにも敏感で、さらに良心的プライス。英国ドレスシューズにおける、頼りどころと言えるメーカーですね。
製法は、もちろんグッドイヤーウェルテッド。1896年に移転して以来、変わらず同じファクトリーで作り続けられています。一足160以上もの工程を、約8週間掛けて製作されるシューズは、アウトソールの刻印まで丁寧に施されています。
バランスのとれた丸みの木型を採用したベーシックなコインローファーの「ハドソン」(左)と、ややロングノーズでモダンな印象の木型を採用したシティコレクションのひとつ、「フェンチャーチ」(右)。シティコレクションはロンドンの金融街のビジネスマンをイメージして作られたとのこと。他にも、デニムパンツにも合うカジュアルなカントリーコレクション、そして最高峰のインペリアルコレクションなど、アプローチが多彩なのも見どころです。
左:5万7000円、右: 4万6000円(ともに税抜)/ジョセフ チーニー(ブリティッシュメイド 銀座店)
2016年に創業130周年を迎え、それを皮切りにさらなる躍進が見られるジョセフ チーニー。イマドキな感性を取り入れた現実的な英国スタイルがドレスシーンを席巻し続けている昨今、まさに打ってつけなメーカーと言えるでしょう。
Photo:Naoto Otsubo
Styling:Takahiro Takashio
Text:Masafumi Yasuoka
【問い合わせ】
ブリティッシュメイド 銀座店
03-6263-9955
http://cheaney.jp/