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BUSINESS 理想の男

ヤマハとエルメスが“同じ”理由と、そこから導きだされる理想の男とは?

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「なくても困らないけど、あると楽しい」が人生を豊かにする

いつだったか、ヤマハの社是が「日用品を作らないこと」というのを聞いて、深い感銘を受けたのをよく憶えています。

ヤマハとは、そう、あの世界最大の総合楽器メーカー、日本のヤマハのこと。オートバイやヨットでも世界的に知られるヤマハのことです。

「日用品を作らない」というのは、鍋や釜や冷蔵庫のような日常に必要不可欠なものではない、つまりは不要なものを作るという意味。そうしてヤマハは必需品ではない、ピアノやギター、オートバイ、ヨットなどを作っているわけです。

そして感銘を受けたのは、それがかつて聞いたことのある話とほとんど同じであったため。もう、20年以上も昔に、エルメスから聞いた話です。

エルメスの有名なアイテムに、レザー製のガムケースというのがありますよね。FORZAの読者ならば、きっとよくご存じのはず。エルメスならではの最高級レザーで、縫製などの作りもエルメスならではの最高級。価格も最高級です。

だから、そんなガムケースを初めて見たときは、ほとんどの人が「なぜ?」と思うのです。なぜ、ガムを入れるために、わざわざこんな高価なレザーケースが必要なのか? かくいう筆者も、そう思ったひとりでした。

そしてその理由は「なくても困らないけど、あると楽しい」から。

ほかにも、レザーでくるんだ鉛筆とか。バックギャモンや、タロットカード、トランプ、ダイスなどのゲームとか。そういう、なくても困らないものを、それでも丁寧に最高級に作るのは、あればきっと楽しいから。すなわち、人生がより楽しく豊かになるから。だからエルメスは作るというのです。

そしてそれこそが「ラグジュアリー」ということ。ラグジュアリーを直訳すると「贅沢」「豪華」。ならば、なくても困らないものを丁寧に最高級に作るのは、とても贅沢で豪華なことであり、そうしてそれで人生をより楽しく豊かにするのは、まさに最高のラグジュアリーということ。すなわち「なくても困らないけど、あると楽しい」はラグジュアリーの本質であり極みなのです

で、それはヤマハも同じこと。ピアノやギター、オートバイ、ヨットなどは、なくても困らないけど、あると楽しいもの。だからヤマハもエルメスと同じなのです。世界の誰もが認めるラグジュアリーブランドの最高峰であるエルメスと同じく、ヤマハもラグジュアリーを体現する、日本が世界に誇ることのできる素晴らしいブランド。それがわかったことに、深い感銘を受けたのです。

また、最初のヤマハの話に戻ると、もうひとつ。前記したように、日用品を作らないというのは、日常には必要ない、すなわち「不要なもの」を作るという意味。そうしてヤマハはピアノやギター、オートバイ、ヨットなど「趣味のもの」を作っているのです。つまり「不要なもの」=「趣味のもの」。「趣味は不要なものなのだ」と気づかされたわけです。趣味は人生に必要なものだと思っていたのに……、「そうではない」といわれ、それにも深い感銘を受けたのです。

ですから、逆にいうと、日常に必要なものなんて、たいした趣味にはならない。不要なものこそが、素敵な趣味になる。そういうこともできるのです。

実際、そのとおりで、たとえば、クルマならば日常生活に必要なトラックやバンは趣味にするのは難しく、それとは真逆の実用性の低い2シータースポーツカーのようなクルマが趣味になる。

時計ならば日常で活躍する最新鋭のクォーツや電波時計やGPS時計では趣味性が薄く、それより性能の劣る伝統的な機械式で作られた高級時計が趣味になる。

まさに、不要なものこそが、素敵な趣味になるのです。

さて。ということで、あなたは、いくつ趣味をお持ちですか? その趣味は日常に必要なものだったりしませんか?

仕事に役立つとか。勉強になるとか。キャリアのためになるとか。自慢になるとか。はたまた、女性にモテるからとか……。そんな必要性を狙って選んだのでは、たいした趣味にはならない。そうではなく、子どものような純真さで、ただ自分の好きな楽しそうなことを選ぶ。そんな不要のものが、素敵で美しい趣味になるのです。

だから、フェラーリやポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレンといった、スーパースポーツカーに乗るのも良し。パテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲ、カルティエなどの高級機械式時計を選び着けるのも良し。もちろん、エルメスのゲームで遊ぶのも。ヤマハのピアノやギターを奏でるのも。どれも、大おすすめなのです。

すると、『FORZA』の理想とするような、良き趣味の男になれる。ライフスタイルがラグジュアリーになり、人生がより楽しく豊かになるのです。

Photo:Getty Images



Text : Yutaka Fukuda



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