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FASHION 赤峰塾!間違いだらけの洋服選び

ドクトル赤峰が帰ってきた! 大物インタビューの新連載に気絶せよ

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ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

ドーメル・ジャポン株式会社にて

ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

そんな新連載の1回目に赤峰幸生さんがお迎えするのは、1842年フランスにて創業し、世界中のトップテーラーやクチュールメゾンから絶大な信頼を得るラグジュアリーファブリックブランド「DORMEUIL(ドーメル)」のドーメル・ジャポン株式会社 会長の加賀美由加里さん。
今春リニューアルデビューするドーメル・エクセルファミリーのプレーンカラーコレクション「EXEL(エクセル)」の生地で仕立てた赤峰さんのスーツスタイルを見て、「赤峰さんはノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)です」と、加賀美さん。“大人のスーツ・ジャケット談義”は40代の着こなしから始まります。

40代の責任はどこで背負うのか?

赤峰:フォルツァ スタイルは編集長の干場君と同年代の40代ビジネスマンが中心読者ですが、加賀美さんは“40代の男性”をどう見ていらっしゃいますか。

加賀美:40代は、「着るモノが力を与えてくれることがわかる世代」です。ファッションはエモーションですから、仕立ての良いスーツを着ているとエモーションが湧くんですよ。良い洋服は自信を与えてくれます。

赤峰:40代は社会の中で責任も背負いますね。

加賀美:責任は「肩」で背負うものなので、責任ある人はきちんとジャケットを着なければなりません。私はよく「人は見かけによるもの」と言っていますが、40代は本物は何なのかを理解できる年代に入ると思います。本物が持つエネルギーを40代の働き盛りに着て感じてほしいですね。


世界的に希少なジャコウウシの剥製と一緒に。カナダの極寒の地に生息するこの希少動物の毛から紡ぎ織られた服地「ROYAL QIVIUK」もドーメルで展開。

 

「素晴らしい胡麻豆腐」のようなドーメルの生地

赤峰:今日は「EXEL(エクセル)」で仕立てたスーツを着てきました。

加賀美:着用感はいかがですか。

赤峰:例えるなら「素晴らしい胡麻豆腐」ですね。質の良い胡麻を使っている豆腐のような原料の良さを肌で感じます。今の時代にこれだけこなれた生地を作るのは本当に素晴らしい。

加賀美:エクセルはピュアウールなのにストレッチ性が効いていて、ネクストレベルの快適さと可動域を持つ新しい生地です。ウール繊維の自然の弾力を利用するドーメル独特の製造法から生まれました。

赤峰:スーツのスタイルは、1930年代を意識して、肩が広めで胸がきちっと男っぽく収まるクラシックスタイルです。第二次大戦期に英国の外務大臣を務めたアンソニー・イーデンが着ていたドレープスーツを倣っていますが、最も新しい生地とのコントラストがとても良いですね。

加賀美:とてもお似合いで、何も言うことはありません。スーツを着慣れている人の出すパワーと、現代のイノベーションを織り交ぜた生地のパワーが重なり合って、まさに“ダブル・フォルツァ”です。


今春注目のラグジュアリーファブリック「EXEL(エクセル)」で仕立てたダブルブレストスーツ。トレンドカラーであるブルーグレーを中心に洗練されたカラーパレットを揃える。

 

ドーメルの魅力は「イギリス製にこだわる継続性」

加賀美:赤峰さんはドーメルのどんなところに魅力を感じますか。

赤峰:ドーメルは創業176年目で、今年は明治維新150年です。維新前から世界の紳士に生地を提供し続けているわけで、他に類を見ません。素材で文化を継承していくのと同時に、ジェントルマン文化を形成していてとても好きです。

加賀美:私は2006年にドーメル・ジャポン株式会社の代表取締役に就きましたが、ヨークシャーで起こった産業革命にいまだにこだわっているのが面白いと思いました。ヨークシャーの工場を訪れて、冬の冷たいヨークシャーの空気に触れながら、「ウールの本物は英国だな」と確信しました。素材と気候(風土)が本物を作っている。ドーメルの魅力は「イギリス製にこだわる継続性」と、人類の文化資産を継承していることですね。ドーメルはファミリービジネスですが、伝統を継承していく力はファミリーが強いです。

赤峰:今は5代目のドミニク ドーメルが当主ですよね。ドーメルは時代時代の一番上質な羊毛を使うことを使命としていて、産地で毛質を見て買い付けることは今も変えていないので、トレーサビリティーがきちんとある。そこが世界で「ドーメルは一級品」といわれるゆえんでもある。

加賀美:ファームとも代々の繋がりがあって、トレーサビリティーは本当にしっかりしていますね。


ウールとシルクのコンビネーション服地「DORSILK(ドーシルク)」。新しいラグジュアリーシルクは、伝統的な職人の染料技術により明暗を巧みにミックスし、スモーキーカラーなどが新鮮だ。

 

加賀美さんが「レディ・ドーメル」を着用する理由

赤峰:加賀美さんが今日着用されているのは、ドーメルのウィメンズライン「LADY DORMEUIL(レディ・ドーメル)」のジャケットですね。

加賀美:英国は女王陛下や女性首相など地位の高い人はみなジャケットを着用しています。女性のエグゼクティブ層も増えてきていますが、ビジネスの一線で活躍する女性たちも男性と同様、「主役は仕事」です。

赤峰:いっとき、「女性の管理職が着る服がない」というのがニュースとして取り上げられたことがありますね。

加賀美:男性のスーツが羨ましいのは、スーツは「仕事をする人にとっての完成品」、世界的に確立したスタイルだからです。一時、「男仕立て」といって、女性の型紙に男の生地を当てて作っていましたが、あれは仕事をする女にはすべて×。

赤峰:どうして×なんですか。

加賀美:男物の生地は確かに力を与えてくれますが、男性と同じようにジャケットに大きなポケットと胸ポケット、そして内ポケットまで同じ仕立てでないと仕事には使えません。男性と同じ仕立てを着ていると自信になります。

赤峰:確かに服飾文化史を見ていくと、既製服の時代になって「紳士と婦人」に二分し、レディースはファッション/モード指向で、見た目や色重視になり、作りは簡易的になった。その弊害ということですね。


ステータスを求める女性エグゼクティブのためにクオリティを追求し、ドーメルが展開するウィメンズライン「レディ・ドーメル」。ジャケット、パンツ、スカート、ワンピース、コートまで展開する。


加賀美:男と同じスタイルで、同じ生地で、同じ機能性を持ち、それで十分に女性らしいジャケットがマーケットになかったので、レディ・ドーメルを作りました。私が着ているのはドーメルが特別な製法で生み出した「NATURALS(ナチュラルズ)」という生地で、コットン、リネン、ウール、シルクなどの現代的でモダンかつカジュアルな天然素材を揃えます。

赤峰:キャリアはジャケット着ることで社会性を得るのは世界基準です。

加賀美:男性のファッショントレンドに沿って展開していくレディ・ドーメルのジャケットですが、袖口のディテールをスリット入りの折り返しにして、ゴムの組み紐カフスを自由に付けられるようにしています。私もボタンとカフスを白でまとめています。さらにスカーフを使ったり、女性らしさの演出は十分できます。


ブライトカラーのウール55%、シルク45%のファブリック「NATURALS(ナチュラルズ)」を着用する加賀美さん。ボタンとカフリンクスの白が映える。


赤峰:カフリンクスひとつで柔らかい印象が出るのも洋服の面白さ、魅力ですね。

加賀美:男女共同参画社会になって、「女性にその覚悟はありますか」と私は問いたい。覚悟があるなら良い生地のきちんとしたスーツを着て、“フォルツァ・ドンナ”になってください。ジャケットを着て責任を肩で背負ってください。

対談後半は、ファッション論の続きと、加賀美さんの「震災復興」の思いをお送りします。


加賀美由加里(かがみゆかり)
ドーメル・ジャポン株式会社 会長
1946年東京都生まれ。97年にランバンパリ100%出資となったランバン ジャパン社長に就任。2003年に同社会長に就任。現在はランバンビジネスのアドバイザーを務める。06年にドーメル・ジャポン株式会社の代表取締役に就任し、現在は会長。国際連合世界食糧計画WFP協会顧問及び、子供地球基金理事も務める。11年には一般社団法人LOOM NIPPON(ルームニッポン)を設立し、東日本大震災の復興支援活動にも携わっている。

【問い合わせ】
ドーメル青山店
https://www.dormeuil.com/jp/

LOOM NIPPON
http://www.loom.or.jp


information
AKAMINE VINTAGE SALE 開催

梶が谷のインコントロ「めだか荘」にて、3月23日(金)から25日(日)の3日間、「AKAMINE VINTAGE SALE」を開催。今回のイベントは赤峰さんが長年集めてきたヴィンテージウェアをはじめ、赤峰さんが納得するヴィンテージショップからの出品と、ヴィンテージ雑誌やイギリスからのヴィンテージ家具と雑貨もあり、たいへん盛りだくさんのイベントとなります。

洋服だけではなく衣食住すべての文化に興味を持ち続けてきた赤峰さんならではのセレクトにご期待ください!
詳しくは「アカミネ・ブログ」にて
http://www.incontro.jp/blog/index.php

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii



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