少し高額ですが、エルメスでベルト2本分って考えれば、お買い得な気も
さて、82回目はエルメスのリバーシブルベルト「カンタン(Quentin)」。干場編集長と色ちのおソロってやつです。僕のは表面がボックスカーフ(ブラック)、裏面が型押しの柔らかなヴォー・トーゴ(ゴールド)って組み合わせですね。
若かりしときは、どっぷりとストリート漬けだったので、パンツの中にトップスをインするなんて以ての外。となると、ほぼ100%見えることがないベルトにお金を使うことなんて微塵も考えていませんでした。垂らしたら見えるかもなリボンベルトか、最悪ガチャベルトで全然問題がなかったんです。
後にメンズでスタッズベルトが流行ったときもイマイチ乗り切れなくて…、静観。少し遅れて、ちょっと品の良かったクレメンツ・リベイロとかJ&Mデビットソンの控えめに打ったものを買ったくらいでした。
ただ、寄る年波には勝てず。いつまでもトップス出した小僧みたいなファッションでいるわけにもいかず、きっちりとシャツをパンツに仕舞わなきゃいけない年齢に達してしまうんですね。そうなると、ベルトにだってこだわらないといけない。
サドルレザーの堅牢なベルトなんかは劣化も少なく、ゆっくりと経年変化も楽しめるし、コスパもいい。でも、なんだか真面目すぎて気持ちが乗ってこない…。こういう得意のあぁだこうだを繰り返し、悩みながらアチコチ探し回る中で、やっと出逢えたのが今回のエルメスの「カンタン」でした。って前置き長っ!
以前探し回ってるときは、干場編集長が持っているブラックとショコラのリバーシブルしか展開がなく、裏がショコラってのは使いやすいんでしょうけど、自分的に濃い茶のシボ革のシューズを選ぶことがないから組み合わせる機会がなかった…。その点、明るいゴールドなら近い色をスニーカーで持ってるし、なんてったってこのバッグとも相性ピッタリ! というわけで今回もめでたく清水ダイブを敢行するに至りました。
価格的には……なんですが、カラーも革の質感も異なる2タイプをリバーシブルで使えるとなれば半額の感覚ですし、いいベルトって使っていくうちに身体に馴染んで「く」の字型に曲がっていきやすいんですが、両面を均等に使うことによって、歪むスピードを遅らせられる。むしろお買い得な気すらしてくるという。
しかも、2本用意せず、1本を裏返すだけでカンタンに2種類を楽しめるとあって、横着な自分にもピッタリなんです。なんてオチが思いつかず、今回はダジャレで逃げさせて頂きます……。
Photo:Riki Kashiwabara [Main]
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。