同じようなモノばっかり買って!と、お叱り頂きました…
さて、76回目はロロ・ピアーナのマルティンガラ(Martingala)・コートです…。ん? 前回のコートに……。そう! 似てますね。
このマルティンガラ・コートっていうのは、ヴィンテージカーのドライバーが快適に運転できるようにデザインされたロロ・ピアーナのロードスタージャケットのロング・バージョンなんですが、前回のコートとは素材が異なり、ライナーも取り外せてベストとして使えるんです。まぁ、便利! 着丈も長めで、幅広いシーンで使えますしね。
ちなみに、"マルティンガラ"とはイタリア語でコートやジャケットの背面に設置されたベルトのこと。ポロコート同様、背中が絞られているためスタイリッシュでエレガントなシルエットを描きます。
なんだか淡々と説明して逃げましたが…、オトコっていうのは似たような服ばかり買う生き物なんですよね。まぁ、そもそもオトコのコートなんて、トレンチか、チェスターフィールドか、バルマカーンか、ダッフルか、Pコートくらいしか選択肢がないんですから、どうしてもカブる。しかも、前回のコート同様、テーラードの襟元の寒さを凌げるカシミア100%のリブが付いていますし、そのライナーは取り外せてキルティングのベストとしても着用可能。そして、ベストが取れたら通常のチェスターフィールドコートに早変わりする1粒で3度美味しいコートなので、買い逃すわけにはまいりません。
さらに、今回のコートは今までのロロ・ピアーナとは異なり、コットン100%で若干値ごろ。加えてミリタリーを連想させるようなオリーブドラブカラーで、背中にはアクションプリーツが入っているため腕も動かしやすく、フロントはボタンに加えてダブルジップ仕様になっているのでチェスターフィールドながら、様々な着こなし方ができるというかなり優秀な一着なんです。もう迷わず、清水ダイブです!
買い物にお付き合い頂いた奥様からは「まったく同じようなコート持ってるよね? 色まで」なんて疑問を投げかけられましたが、「全然違うから! 素材だって」なんて、よくある不毛な会話のキャッチボールを2、3度交わしまして。その後、「好きにすれば」という華麗なる匙投げを食らって、めでたく我が手元に。帰りの車内の空気が若干澱んでいたのは、ここだけの秘密です。
今回は いつものカシミアではなくコットン100%なので、着込むほどに出てくるアタリなどの味や、オリーブドラブカラーが褪せてどんな風合いに変わっていくのかが今から楽しみなんですが、ご覧の通りコートが多過ぎて、なかなか順番がまわってこず…。だいぶ先までキレイな状態が続いてしまいそうなのが、いまの悩みです。
Photo:Riki Kashiwabara
Text:Ryutaro Yanaka
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。