FASHION ― 僕が捨てなかった服

「僕が捨てなかった服」

男として"持ってなくちゃいけない"コートとは?

2017.12.28 2017.12.28
2017.12.28

勝手に作られて値段も言われない…。相手のポケットにそっとお金を突っ込むようなことも多かったんです。

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

スタイリストの小沢 宏さんに続いて登場するのは、数多くのイタリア ブランドを日本に紹介した成毛賢次さん。成毛さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画、第11回はリベラーノ&リベラーノのコートです。

コレが、リベラーノ&リベラーノで初めて作ってもらったPコートですね。着丈が短いので、もっと四角いイメージだったんですが、あらためて見てみるとヘリンボーンの生地といい、良い佇まいですね。

アントニオ・リベラーノさんは、ミラノのアンティーク素材屋でこの素材を薦められたときに私の顔が浮かんだそうですが、丈が足りないかったためにこのスタイルに仕上がりました。

彼はイイ生地を見つけると、勝手に作っちゃうことがよくあったんですよ。「クリスマスプレゼントだ」とか言って。ただなんとなく、プレゼントではなく、勝手に作っちゃったときなんかは絶対に値段を言わないんですよ。だいたい(仕入れ値を)知ってるだろ?という雰囲気で、数字を言わないイタリア人って結構多いんです。だから、そっと彼のポケットに突っ込んで支払ったりもしました。イタリアのファッション界では、こういう取り引きが結構多いんですよね。

ちなみに、受け取った日の夜、コレを着てフィオレンティーナ vs ミラン戦を観戦したんですが、その次の日からピッティ関係者達がこぞってリベラーノに押しかけ、かなりの数を発注していたようです。以前も書きましたが上手く宣伝にも使われてたんでしょうね(笑)。

その後もコレを着てると、いろいろなメーカーさんは生地が気になるらしく、コピーしたがることが多かったのを覚えています。
 
そうそう、胸にはハンド・ウォーム ポケットがあって、襟を立てれば寒いスタディオ観戦でも完璧に防寒できたので、ホントによく着ていましたね。
 

このオレンジのコートはあるとき、アントニオ・リベラーノさんに突然「そろそろ(コート)作るぞ」って言われまして。「あぁ、作るんだ…」って。彼曰く「キャメル、カセンティーノ、カシミア、ウールのコートは持ってて当たり前だろ」と、"男として持ってなきゃいけないモノ"だったんですね。

それで、カセンティーノ(※毛玉ふうに仕上げられた織物)ならオレンジだろって。「でも着ないよ、きっと…」と思っていたんですが、その後訪れたら、すでに作られて置いてありました。

袖を通してみたら、生地の特性を考えてなのか、ワンサイズかハーフサイズくらい小さく仕立てられているんですよね。「ちょっと きついなぁ」という印象で、スーツの上に着ちゃダメなコートなんだなって思ったんです。

ご覧の通り、ポケットはもちろん、肩の仕付け糸さえ取ってない状態なんで、一切着ていないんですが…。これからも恐らく着ないでしょうね。

その次に作ってもらったのが、ファーが付いたコート。初めて見たときは相当に抵抗があって、「シカゴの、アル・カポネのお知り合いですか?」って思いました。ただ、雪が降ったときにでも着るのがイイかなと納得して持って帰りましたね。

こちらはオレンジのモノとは違って、一応着ました。実際、東京で雪が降ったときに、前を閉じて襟を立てて着れば巻物もいらないし。ニットキャップかぶって、以前紹介した手袋をすれば、傘もいらなかったので、とにかく楽でイイなと思って。ポケットも充実してるからモノを入れるのにも楽だし、手ぶらで出掛けられますしね。

とりあえず、リベラーノさんの頭には、「(ケンジには)男として持ってなくちゃいけないモノをすべて作って揃えよう」という考えがあったようで、次はコレ、その次はコレという流れでいろいろと作ってもらっていました。いつも「なきゃ困んだろ」「明日いるってときになかったら どうすんだよ」って雰囲気だったので、「はい、そうですか」と納得して作ってもらっていた気がします。

やっぱり"男として持ってなくちゃいけないモノ"と言われ続けましたから、やっぱり捨てられませんよね。

Photo:Riki Kashiwabara
Edit:Ryutaro Yanaka

成毛賢次元マニファットゥーレ・アッソチャーテ カシミア・ジャパン代表「マーロ」や「キートン」、「ルイジボレッリ」など数々のイタリアブランドを日本に紹介し、編集長・干場いわく"イタリアを持ってきたオトコ"。東京・押上で生まれ、小学生時代からオシャレをして銀座へと足を運び、みゆき族とともに遊んだという早熟ぶり。

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