その美しさには、語れる歴史あり デュポンのアトリエ サンバースト
男を惹きつけてやまない定番の魅力。しかし、定番ゆえに見過ごし、定番ゆえに買い逃してはいませんか? 知ればあなたの人生を必ず豊かにしてくれるFORZA厳選の「鉄板定番」を、あらためて紐解きご紹介する当企画。
第4回は、高級ライターの代名詞エス・テー・デュポンです。
色気さえ感じる美しく深みのあるグラデーション。ディープレッドなんて、まるで熟成を極めたワインのようです。
1872年に創業したエス・テー・デュポン。トラベルケースをはじめ、レザーグッズの名門として地位を確立した同ブランドですが、第2次世界大戦時にレザーの供給が困難となったことから、ライターの製作に乗り出します。その後、高級ライターの代名詞となったのは、みなさんご存知の通りかと。ギャツビーやライン2など名モデル揃いではあるのですが、中でも1953年に発表した漆塗りライター「アトリエ」は、一度は手にしたい名作です。
時は1953年。フランス・ファヴェルジュの工房で生み出された漆塗りライター。モデルは異なりますが、あのピカソもデュポンの漆塗りライターを愛用し、漆塗り部分にデッサンを施して子どもたちに贈ったとか。
職人によって描かれる、吸い込まれるようなグラデーション。一度廃盤するも2014年に復刻され、その特別な技法は今も受け継がれています。
今回ご紹介するのは、その半世紀以上にわたり継承されてきた漆塗り技術をさらに発展させ、サンバーストというエフェクトを表現したもの。美しい金属音とともに、美しい漆の色まで愛でる。まさしく、デュポンの真髄ここにありって感じです。
何度も塗り重ねることで、艶と深みのあるグラデーションを表現。まるで太陽のように中央から外周に向かいグラデーション状に濃くなることを、サンバーストと呼びます。もちろん、ひとつずつ職人の手塗りにて。ちなみにロゴは、1953年当時のものを復刻しています。
デュポンといえば、甲高くも重厚感のある蓋の開閉音で有名。漆の美しさを、より際立たせます。下部には、1953の年号や、当時の漆製品に記されていた漆の葉のロゴが。また、職人の技術を象徴するマーキュリーの馬車の車輪と翼をモチーフにしたホールマークも。
アトリエ・サンバーストコレクションは、万年筆など筆記具にも展開されています。同コレクションは、いわばデュポンにおける本家本流的存在。おまけに、日本人に馴染みの深い技術とあって、とてもシンパシーを感じますよね。
各16万6000円(税抜)/エス・テー・デュポン
Photo:Tetsuji Hanabusa
Edit:Noriaki Osaki
Styling:Takahiro Takashio
Text:Masafumi Yasuoka
【問い合わせ】
エス・テー・デュポン銀座ブティック
03-3575-0460
https://www.st-dupont.com/jp/