ダウンジャケットに“エロ”を忍ばせた、むっつりコーディネイト
フットサルに、あるいは近所のジムに出かけるときに、決めすぎな格好じゃあ、おかしいですよね。でも、出会いのチャンスは、そこかしこに潜んでいます。だとしたら、そんなときも、“エロ”注入は絶対に忘れてはいけません。むしろ、無意識にプラスするぐらいじゃないと“エロサバ”マスターの道は拓けてきません。今回は、そんなワンマイルウェアの極めつきをご紹介!
アイテム
ダウンジャケット/Fay
Tシャツ/Gap
ジーンズ/ZARA
スニーカー/パトリック
ボール/アディダス
(すべて干場私物)
こう見えて、昔はサッカー少年だったんです。『キャプテン翼』を貪るように読んでは、毎日のようにその真似をする。本当、あのころは日が暮れるまで友達とドライブシュートに、オーバーヘッドキックを練習していたなぁ……(遠い目をしながら)。そんな少年時代に夢中になったサッカーも、今やフルコートでのプレイは絶対にムリ。きっと昇天してしまいます。編集部の若手に混じって、フットサルをするぐらいがちょうどいいのです。前置きが長くなりましたが、手に持ったボールはそんな意味。つまり、フットサルに行くときは、だいたいこんな格好です。
ダウンジャケットの下にジップパーカを着ているように見えますが、実はフェイクレイヤード。普通、この手のものって着脱式になっていたりして、ダウンだけで、パーカだけで、レイヤードして3WAYに着られたりするじゃないですか。ところが、これは縫い付けられていて、一切そんな配慮はありません。でも、それがかえって潔いじゃないですか。美意識が徹底されているというか、これはこう着るのがベストなんだ!という心意気が伝わってくる。さすがは僕の尊敬するディエゴ・デッラ・ヴァッレさん率いるTOD’Sグループの雄Fay(フェイ)の一着であります。確かに、スウェットパーカとダウンジャケットをリアルにレイヤードしようとすると、絶対にかさばるし、スマートに見えない。パーカ部分はフロントだけをあしらうことで、このシルエットが成立しているんだと思います。着丈の微妙な違いも絶妙ですし、緻密に計算されています。
しかも、ダウンジャケットって色気とは無縁の存在のように思うじゃないですか。今やファストファッションでも売れ筋になっているぐらいだし、薄くて、軽い、機能性重視って風潮があるでしょ。でも、Fayのこれはライトウェイトの素材感がたまらなくエロい。ヌメッとした光沢があって、手に吸い付くかのよう。そう、それはまるで……触れると吸い付くイソギンチャク。思わず袖に腕を通したくなってしまい、挿れたり、出したり、挿れたり、出したり、を繰り返してしまうのです。そして頭の中が、イソギンチャクと磯遊びをする映像でいっぱいになると、あえなく昇天。気絶→昇天→降臨→受胎→細胞分裂→着床→成長→誕生。そんなイメージです。だから、これを着るとフットサルをする前に、いつも疲れ切ってしまいます。
Tシャツはここのところ、ヘビロテでお世話になっているGapのストレッチTです。これはVネックもあるし、色バリも5色ぐらいあるんですけど、なんだかんだ言って白のクルーが一番使いやすいですね。特に、スポーティな着こなしのときには鉄板です。
ブラックジーンズは最近の“エロサバ”でも紹介した一本。6月のイタリア出張のときのトランジットの際に、時間が余ったんでウロウロしていたら、ZARAがあったんで、そこで購入しました。でも、買ったはいいものの、あんまりしっくりきていなかったんですよね。スニーカーに合わせてジャストで丈詰めして、ロールアップして穿いてみたんですが、なんだかイケてない気がして……。それでもストレッチスキニーだったんで、旅には便利かと思い、出張に持参してみた際に、どうせ穿かないのなら切りっ放しにしてみよう、という気になりまして宿泊先のホテルでバッサリ。自分でハサミで裾をカットオフして、膝に切り込みを入れてみました。そしたら、俄然、いい感じになったわけですよ。
いやはや、ファストファッションブランドって難しいですね。リーズナブルだから、あんまり考えずに買ってしまうと、なかなか着る機会に恵まれず、タンスの肥やしになってしまう。でも、こんなふうに手を加えると、急に愛着が湧いてきたりして。勉強になりました。
足もとはこれまた定番、僕が手がけたパトリックのクルーズラインの商品です。シンプルだからなんにでも合わせやすくて、しかも厚底ソールが着こなしのアクセントになる。ブラック&ホワイトのカラーリングも他のアイテムの邪魔をしないので、すごく重宝しています。と、今回はちょっとエロは抑えめでしたが、ぜひイソギンチャクでヌメヌメしてみてください!
今回のスタイルのキモは……。
● ダウンジャケットはシェルの素材感を重視で選ぶ。
● 肉体を誇示するシンプルな白Tをインナーに。
● ボリュームのあるトップスにはスキニージーンズを。
● ダウンジャケット以外のアイテムはモノトーンで統一。
● 足もとは厚底スニーカーでアクセントを。
Photo: Ikuo Kubota(OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
3冊目の書籍が発売になりました。今回は、難しいとされる大人のカジュアルスタイルについて書いています。読んでない方はぜひ!
干場義雅が教える
「究極の私服」
(日本文芸社)
2冊目の書籍は、色気についてです。
普通に見えて、なぜか人を惹きつける男の共通点について書いています。読んでない方はぜひ!
一流に学ぶ
「色気と着こなし」
(宝島社)
1冊目は、スーツの着こなし術から世界の一流品選びまで、基本的なことやお洒落の本質について書いています。読んでない方はぜひ!
世界のエリートなら誰でも知っている
「お洒落の本質」
(PHP出版)
【エロサバ】-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。
『FORZA STYLE』編集長
干場義雅
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。
スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする現在44歳の小誌編集長。東京生まれ。