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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

【コートの形、いくつ知ってる?】レジェンドが教えるオトコの外套 基礎知識

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大人の秋は、カフェとコートと ~イベント「Caffe e Cappotto」レポート~

日本アパレル界の重鎮、赤峰幸生さんがイタリアの衣食文化を紹介するイベントが、10月14日に開催されました。「カフェ カポット(カフェとコート)」と題されたそのイベントの舞台は、赤峰さんが監修し、1993年に東京・広尾にオープンしたイタリアンレストラン『ラ・ビスボッチャ』のサローネ(個室)。店長の井上さんと交わされるイタリアトリビアと大人の美学トークに、紳士たちはカフェを飲みながら酔いしれたのです。

洋服は文化、飲むことも、食べることも文化

赤峰 日本に本格的なイタリアンレストランがまだ数少なかった頃に私がプロデュースしたのがラ・ビスボッチャで、今日は井上店長とともに「カフェ・カポット」、コーヒーとコートのお話をしたいと思います。イタリアといえばカフェ=エスプレッソですが、イタリアでは立ち飲みのカフェで飲むのが流儀ですね。

井上 イタリア最古のカフェは、ヴェネツィアにある「カフェ・フローリアン」といわれ、イギリスやフランスのカフェ文化がイタリア北部に広まったのが始まりでした。そしてフィレンツェで、椅子を置かない「立ち飲みカフェ」が生まれ、最初は馬鹿にされていたそうですが、たちまち大人気となってイタリア全土に広がったといわれています。

赤峰 トルココーヒーがイタリアの港町のヴェネツィアに渡って、サンマルコ広場の「カフェ・フローリアン」ができたわけですね。

井上 18世紀にはカフェ・フローリアンの常連だったカサノバが、コーヒーを飲みながら趣味のナンパをしていたそうです(笑)。

赤峰 フェデリコ・フェリーニ監督の映画『カサノバ』(1976)を観ていただければ、当時のカフェ文化を感じることもできますね。

井上 イタリアでは「BAR(バール)」と呼びますが、語源は裁判所の裁判官と被告人の間にあるバーだといわれ、アメリカの「バー」がイタリアでは「バール」として広がったそうです。


赤峰 日本人は誤解をしている人が多いですが、カプチーノは朝の飲みもので、イタリアでは夜のディナーのときには飲みません。カプチーノは濃いコーヒーが飲めない女性が好むもので、エスプレッソ以外には、カフェ マッキアーノ(エスプレッソ+フォーミングミルク)や、薄いコーヒーのカフェ アメリカーノなども飲まれています。

井上 イタリア南部のナポリのエスプレッソは、カップを湯煎にかけて、熱いカップに少ない量のカフェを注いで、少量をクイッと飲みます。

赤峰 ナポリはカフェが濃くて苦いので、まず水を一杯飲んでから飲みます。そして、カップに砂糖を2杯ぐらい入れて、スプーンでかき回さずに、上の苦みを飲んで、少なくなったらカップを回して甘みを出してクッと飲む。「パッと飲んで、サッと出る」のはせっかちな日本人にも合っています(笑)。では、ラ・ビスボッチャのバーカウンターで、エスプレッソを飲みましょう!

 

男が身に纏う、一番分量が大きい服「コート」の着こなし方

赤峰 それでは喫茶から服飾の話に移りましょう。私がコートに目覚めたのは高校一年生で、映画雑誌の『映画の友』や『スクリーン』などを譲ってもらい、気に入った俳優の着こなしをスクラップしていました。映画『第3の男』や『暗殺の森』からコートスタイルを学んだものです。特に、膝下丈のコートを格好良く着るのが憧れでした。今日は“いろんな種類=シルエット”のコートを持ってきたのでご紹介しましょう。

 

Aラインコート
脇の下から広がった、いわゆるAラインのコートは、ベルトを高めの位置でギュッと締めるのがコツ。下の方で結ぶとガウンになってしまいます。ボタンは上2つほどを留めるのが基本で、男のコートは、コートの裾が翻(ひるがえ)るシルエットが色っぽい。

ポロコート
ストレートなシルエットでボックス型のコートが、通称ポロコート。ブリティッシュウォーマー型とも呼ばれる“基本のキ”のコートです。ダブルブレストで、襟はピークドラペル、バックルベルト付きで、イタリア人は必ず一着持っている服。風が強い日は、マフラー代わりに襟を半分だけ立てて着るのがカッコイイ。

 

カバードコート
ボクシーなシルエットでいろんな由来がありますが、裾にステッチが入っていて、ダービーを観戦するスペクテーターコートであり、一般的には「オーバーコート」と呼ばれるタイプ。パリジャンたちは、袖のターンナップ(折り返し部)に電車のキップを差して移動したりします。

ステンカラーコート
ステンカラーコートの着丈は膝下が基本です。素材によって表情が変わるのも魅力のベーシックなコートです。

トレンチコート
映画『ダンケルク』の将校たちが着ているのがトレンチ。私のトレンチは、「FOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)」のメルトン生地です。日本人はトレンチに限らずコートの襟を立てますが、襟は基本的に立てません。

 

色の合わせ方は、イタリアでは5歳の時に親から習う

赤峰 イタリアなどヨーロッパでは、子どもが5歳になったら親が“色合わせ”を教える「服育」が普通ですが、日本にはそういう文化がありません。今日、私が着ているスーツは1950年代のヴィンテージの「ドーメル」の生地で、いろんな色がミックスしています。そこから色を拾って、薄いブルーのシャツ、朱のネクタイ、ベルトと靴は茶、靴下はグリーン無地でコーディネートしています。

最後に、この日に飛び出した、「赤峰の教え」をまとめてどうぞ!

その一、スーツやコートはネクタイ選びが勝負
ネクタイはスーツ(ジャケット)やコートの色の中から拾うのが基本で、色の明度と彩度のコントラストのバランスを考えながら合わせると、“服の顔つき”が変わってきます。

その二、色合わせは、料理の食べ合わせと同じ
今日、家に帰ってクローゼットの中のワードローブの色を“棚卸し”して、分類してみてください。シャツやネクタイなど単品で買い物をしていると、どうしても相性が悪いこともあります。柄物がおしゃれだと思われがちですが、基本は無地。色合わせは、料理の食べ合わせと同じです。

その三、自然の色から、その季節に着る色を選ぶ
私の色の学習帳は、秋ならミレーの「落ち穂拾い」のような落ち葉の色。日本には素晴らしい四季がありますから、ぜひ自然の色をお手本に色合わせを考えてみてください。

今回の第1回「イタリア文化発信」はいわばプレ発信です。次回は来年2月か3月に「映画から学ぶ」を予定していますので、ぜひご期待ください!

Writer&Photo:Makoto Kajii

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