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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

まるでパリの魚河岸だ!来年の流行が並ぶ「生地の見本市」とは?

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パリの”魚河岸”まで、素材=生地を見に行く!

こうがんきたる   鴻雁来  初候(10月8日~12日)
きくのはなひらく  菊花開  次候(10月13日~17日)
きりぎりすとにあり 蟋蟀在戸 末候(10月18日~22日)

「寒露(かんろ)」のこの頃、日暮れを表す言葉に“釣瓶落とし(つるべおとし)”があります。小学生の頃、放課後の校庭で三角ベースに夢中になっていると、突然、飛んでくるボールがまったく見えなくなり、仕方ないので帰ろう……となるのがまさに秋の釣瓶落とし。今思えば、寒露の頃でした。今では身近に井戸はありませんから、「釣瓶が落ちるとは何ぞや!?」と思われる読者もおられるかと思いますが、昔の人は上手いことを言ったものです。

 

10月14日(土)午後、広尾『ラ・ビスボッチャ』で「イタリア文化発信」

さて、9月に梶が谷の『めだか荘』で行った、シーズンプロモーション「Akamine Greyコレクション」の秋冬オーダー会は大変盛況のうちに終了しました。ありがとうございました。今回は、お客さまも“気分はグレー”でした。次回開催もお知らせしますので、どうぞお楽しみに。

そして、10月14日(土)の午後、東京・広尾のイタリアンレストラン『ラ・ビスボッチャ』のサロンで、「カフェ・カポット(Caffe e Cappotto)」と題して、カポット=イタリア的コートの話と、エスプレッソの飲み方や食事のスタイルを中心としたイベントを開催します。

詳しくはこちらをご覧いただくか、記事最後をご覧ください。要予約です。

今出ている『メンズ・プレシャス』秋号より。

 

生地見本市は、食材で例えれば、「魚河岸」のようなもの

仕事柄、この季節は、パリで国際生地見本市「Premiere Vision(プルミエール・ヴィジョン)」が開催されます。パリで開催される以前はドイツ・フランクフルトでの「インターストトッフ展」に始まり、足かけ40数年通い続けています。今回は、2018秋の生地の展示会で、ここから来年1月のピッティ・ウオモに繋がっていくわけです。

広大な会場は、ファブリックを中心に糸、プリント図案、服飾資材、皮革(レザー)素材、生地業者の6つの見本市で構成され、何百何千の生地の見分けは真剣勝負で、微妙な生地の風合いや色目の見極めには本当に集中します。会場に行くときはタクシーを使いますが、到着するまで目を閉じて、目を疲れさせないように行ったものです。

生地見本市はほかにメンズのドレスラインに強い「MILANO UNICA(ミラノ・ウニカ)」がイタリアで開かれますが、生地の展示会は、食材で例えれば「魚河岸」のようなもので、自分は河岸に出かける料理人の気分。

素材と向き合って、インスピレーションで、「この生地ならこの形にしたい」「裏地は、袖は……」と想像が膨らんでいく勝負の場です。

 

どのブースを巡って、何を買うかは、まさに“嗅覚”

さて、今回のプルミエール・ヴィジョンでは、“英国フランネルの代名詞”「FOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)」をはじめとした、英国系ミル(織屋)を皮切りに、イタリア・ビエッラ地区のミルを一通り回りました。

帰国してから続々と『めだか荘』に2018-19年秋冬の生地見本が届いていますが、今回は英国の有名制服生地メーカー「MARTON MILLS(マートン ミルズ)」のポリエステル100%の生地を見て、「この発色の良い生地でクラシックな5ポケットのパンツがいいな」とか、オーストリアの有名生地メーカー「LODEN STEINER(ローデン シュタイナー)」のウールを縮絨加工した生地で作るコートなど、新しい発見や収穫もありました。

展示会に持っていく秘密兵器は、糸の撚りの感じを見られる倍率30倍のライトスコープ。これで生地のトップ糸の具合を見るわけです。

今回、気になったのは、カーキブラウン系の色が来秋冬にはどのように変化していくか、差し色ではボルドーに多少グレーが入った深みのあるワイン色に注目しました。

メンズウェアの企画は、デザインにはさほど大きい変化はなく、やはり生地が優先され、織りの表面変化や“目はけ”といわれる重さや糸の撚(よ)り感が甘めか、ドライタッチなのかがより重要です。

パリで食べたジビエ(鴨肉)が大当たり!

私はパリには定宿はありませんが、それでも宿を探すとき、こだわりがあります。それはセーヌ川より南の左岸(リーブ・ゴーシュ)に宿をとること。学生時代、シャンソンブームの中、銀座七丁目にあった日本初のシャンソン喫茶『銀巴里』や御茶ノ水『ジロー』で聴いた、ジュリエット・グレコが歌う「IL N’Y A PLUS D’APRES(あとには何もない)」の中で、左岸の中心、“サンジェルマンデプレ”が歌詞に出てくるのです。

そして教会の近くにある『カフェ・フロール』や『カフェ・ドゥ・マゴ』で、1910年代にさまざまなアーティストたちが熱く芸術論を語ったことを思うと、これまで何十年もパリに来ていますが、冷たい風が吹きはじめたマロニエの道を歩きながら、なぜかこの歌を口ずさんでしまうのです。

今回、ブラッセリーでジビエ(鴨肉)のローストをいただいたのですが、噛んだら骨のようなものが“カリッ”と当たりました。取り出したらなんと散弾銃の弾で、お店の人からは「縁起が良いですよ、当たり!」とお祝いされました。

ジャケットの美シルエットは、「細腹(サイバラ)」が決める

さて、寒露(かんろ)の頃のコーディネートは、「AKAMINE Royal Line」のスーツにロングポイントのシャツ、スーツとトーンオントーンのネクタイ。スーツ生地は厚手のツイードで、セパレートでも着こなすことを前提としています。基調となっているグリーンは、まさに秋の色の移り変わりです。

3パッチのジャケットは、AKAMINE Royal Lineが採用している「ジャケット等の脇身頃=細腹(サイバラ)」がポイント。きれいなウエストシェイプには欠かせません。

 

イベント「Caffe e Cappotto」、ぜひご参加ください!

10月14日(土)イタリアンレストラン ラ・ビスボッチャサローネにて

Caffe e Cappotto (カフェとコート)をテーマに赤峰幸生が

イタリア的コートの着こなしと、カフェや食事のスタイルの解説をいたします。

永年イタリア文化を発信している赤峰幸生とビスボッチャの新たなイタリア文化発信の第一回目となります。

ぜひこの機会にビスボッチャへお立ち寄りくださいませ。

 

日時 10月14日(土)
第1回目 13:00~14:20
第2回目 14:30~15:50

【問い合わせ】
ビスボッチャ 担当井上
03-3449-1470
inoue@labisboccia.tokyo

(株)インコントロ 担当 登地・関根
044-871-5330
info@incontro
 

場所 リストランテ 「ラ・ビスボッチャ」
(東京メトロ 日比谷線 広尾駅より徒歩10分)
・参加費 おひとり様 2,000円
・カフェ・ドルチェのサービスがございます
・ご予約方法 メール・お電話にて
お手数ですが、メールの際はお名前・ご連絡先・人数・ご参加の時間をお知らせください。

 

次回、連載19回目は、11月7日頃の“立冬(りっとう)”。ついに「万物が冷ゆ(ひゆ)る季節」に突入します。11月の連載2回は、私が一番好きなファブリックメーカー「FOX BROTHERS」のキーマンとの対談をご紹介します。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii


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