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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

【絶対に10年着られるスーツ】赤峰先生のカウンセリングとは?

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グレイが美しく映える「Akamine Greyコレクション」

くさのつゆしろし 草露白 初候(9月8日~12日頃)
せきれいなく   鶺鴒鳴 次候(9月13日~17日頃)
つばめさる    玄鳥去 末候(9月18日~22日頃)

9月は、月露、中秋の名月、お月見、十五夜、十六夜など、月にまつわる名前が数多く、これも真夏のじりじりと照りつける太陽から一変して、ひんやりとした風を感じ何とも言えないもの悲しい気持ちになるのは、ふと空を見上げ月を愛でるからなのかもしれません。

さて、食いしん坊の私は、太刀魚、さんま、柿、梨など、秋は好物ばかりで、中でも秋のイタリア料理に欠かせない“ポルチーニ茸”は仕事柄イタリア中部のウンブリア地方にある『チッタ ディ カステッロ』のシャツメーカーの若社長と、長靴を履いてよくポルチーニを採りにでかけました。春に雨が多い年は豊作で、崖の急斜面で危ない思いをしながら見つけた、身の厚いポルチーニのグリルは最高の味でした。

 

オーダーメイドの大切なポイントは何か?

9月15日(金)まで、梶が谷の『めだか荘』で、シーズンプロモーション「Akamine Greyコレクション」の秋冬オーダー会を開催しています。そして今回初めて壁面に外装飾を施してみました。

自分には『めだか荘』の外壁がキャンバスに見えて、前々から絵を描きたいと思っていました。デコレーションをするにあたって、壁の両サイドに緞帳(どんちょう)のように幕を立てて、中に描いた絵が見えるとか、外壁全部をパッチワークカーテンにするなど、さまざまなイメージが湧きましたが、今回は「Akamine Greyコレクション」を自分たちでカッティングシートを使って表現しました。オーダー会に来た方は必ず写真を撮って帰りますよ。

オーダー会は一見(いちげん)さんも歓迎で、実際初めての方も増えています。「自分の好みの服を作りたい」というのはもちろん、「直接アドバイスを聞きたい」とか、「こういうオーダーをしたら、赤峰は何て言ってくれるんだろう」というのを楽しみにして来てくれる方もいます。公務員も多くて、先日も「冠婚葬祭用の黒のスーツ」をオーダーした方もいらっしゃいました。

オーダーは、お客さんとじっくり話をして、手持ちのワードローブを聞き、年齢や職業はもちろん、たとえば「押し出しが強い」とか「控えめ」など性格まで見極めてアドバイスをします。

オーダーの大切なポイントは、「10年着られる」服であること。たとえば、生活に不可欠なクルマは“何年乗られるか”が大事ですが、服も同じように年数で割れば、オーダーもコスパが良いことは理解していただけます。

『AKAMINE Royal Line』では、スーツ、コート、シャツ、ジャケット単品、パンツ単品、ブレザーがオーダーでき、スーツが13~14万円ぐらいから、ジャケット単品8万円~、コートは17~18万円からで、オプションによっても価格は変わりますが、「気に入った生地から何を作ろうか」という相談ももちろんできます。

 

男の装いは「グレイに始まり、グレイに終わる」

最近また20~30年代の映画をもう一度見直そうと思い、この前も50~60年代のマルチェロ・マストロヤンニの映画を見ましたが、やっぱりグレイが素敵です。今回「Akamine Greyコレクション」としたのも、そんな僕の今の気分を明確にアピールして表現していこうというもの。

さらに、グレイをベースに「赤」と「黒」という合わせを新鮮に感じていて、思い返せば、『AKAMINE Royal Line』の最初タグは赤と黒の組み合わせで、生地のバンチブック(見本帳)も赤と黒でした。

「Akamine Greyコレクション」の中でもお薦めはミディアムグレイで、今回のコレクションのために愛知・尾州でシャトル織機を使って、新たに20素材ほど“オリジナルグレイ”を作り込んでいます。オリジナルで織るとトップグレイの加減ができるのが良い。ミディアムグレイは黒の靴でも茶の靴でもどちらも合うので、着こなしの幅が広がります。

 

パリで想いを馳せる、2018年秋冬の色

仕事柄、9月といえば来年の秋冬モノの生地の見本市がパリで開かれます。40数年前はドイツのフランクフルトで開催されていましたが、現在は「プルミエールヴィジョン」の名で今年も9月19日(火)からスタートです。2018年秋冬物の生地の色目がどういう方向に振れるか、生地感はどういう傾向なのかなど、一つの目安として毎年出かけます。

パリではいつも左岸のサンジェルマン・デ・プレに宿をとり、ホテルの窓から空を眺めては来秋冬の色を想像します。クラシックといえど、その年の気分で微妙に選びたい色感が変わる中からネクタイやチーフの色の拾い方が違います。来年は赤系の色が、少しワイン系とパープルが混じったような色が気になっています。

「白露」の頃に着たいのは、リヴェラーノのメランジ生地のジャケットに、白のロングポイントのシャツ、そして赤ベースのタイとチーフ。ジャケットは15年前ぐらいのものですが、絶妙な色のミックス具合が秋を感じさせます。

次回、連載16回目は、9月23日頃の“秋分”。今回の「秋グレイのスタイル極意」に続いて、「デザインの緩やかな変化」について解釈します。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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