今回登場するのは全部最新作。マスナガがチタン素材を愛する理由
1905年に創業し、112年目を迎えた老舗メガネメーカーの増永眼鏡のフラッグシップショップが、青山キラー通りに面した『MASUNAGA1905 青山店』。眼鏡専門学校を卒業してメガネ一筋22年というアドバイザーの藍川良平さんは、「メガネ=アイウエアという表現も定着して、服を着替える感覚でのメガネ選びを楽しまれるお客さまも増えてきています。メガネは印象アップの“道具”で、男性にとってはZIPPOやペン、腕時計と同じ格好良い道具。道具なので機能性はもちろんですが、掛けていてモチベーションが上がるようなデザインをお選びください」と言います。
『MASUNAGA1905 青山店』にあるメガネを見ると、どれも繊細なデザインで、まさに大人向きの感じ。「マスナガのデザインの根底には、軽く、掛け心地良くというものがあり、丈夫な素材のチタンを使うのは、長く掛けてほしいという思いが込められています」と続けます。
大人の男によく似合う、異素材コンビネーションフレーム
増永眼鏡を取材して驚いたのは、オリジナルブランド「MASUNAGA since 1905」の半分以上はヨーロッパ・アメリカ向けの輸出用で、日本向けにはそれをアジアンフィットにして販売しているそう。マーケティング室の野原弘道さんは、「日本のメガネのデザイントレンドは独特で、そこだけに目を向けたモノづくりでは海外で戦えないので、ワールドトレンドに沿ったデザインで商品企画をしています。2012年にパリの老舗セレクトショップ『コレット』にセレクトされて急激に注目され、欧米向きに輸出量が年々増えています」と説明。今回紹介するのは新作のアジアンフィトだが、欧米に出張の多いビジネスマンはマスナガのメガネを掛けていくと、印象がグッとアップするかも。
『MASUNAGA1905 青山店』で「40男向きのフレーム」としてピックアップしたのは、異素材コンビネーションのスマートなデザイン。「MASUNAGA designed by Kenzo Takada」のモデル「MIMOSA」はウエリントンのブロースタイル。フロント側と後ろ側のアセテートにプラスチックパーツをはめ込んだ3重レイヤーで、マスナガの精巧な作りをアピール。さらにブリッジや、ヨロイ(メガネの両端部)からテンプル(つる)にかけて彫金風のアラベスクを施しています。
藍川さんは、「80年代のファッションやアクセサリーをベースアイデアとした、デコラティブなテンプルときれいな彫金がベストマッチ。日本人の顔になじむ大きさに仕上がっています」と推奨します。
昨春にスタートした「MASUNAGA since 1905」Titan(チタン)シリーズから選んだのは、軽いチタンベースのフロントにチタンのブローパーツを内側からはめ込んだモデル「COLLINS」。フロントはブラック、テンプルはゴールドのカラーリングで、角度によって違った表情をアピール。「フロント、ブロー、テンプルに異なる種類のチタン材を適材適所で採用。実際に掛けたときの締め付け感がなく耳アタリがとても楽です」と藍川さん。
過去に流行したクラシックテイストを取り入れつつ、新たなトレンドを示すことがコンセプトの「MASUNAGA since 1905」は、一見非常にシンプルなデザインだが、欧米での展示会ではビジネス層向けのアイウエアとして人気だそうです。
1905年に創業し、福井に眼鏡産業の礎を築いた創業者の増永五左衛門のイニシャル、“Gozaemon Masunaga Spectacles”から命名した「MASUNAGA G.M.S.」。昭和8年に昭和天皇に献上したメガネのイメージから派生したデザインをベースに、過去のアーカイブをリデザインし、今のトレンドに合わせてリサイジングしています。
モデル「GMS-823」は、アセテートとのコンビネーションフレームで、丁番(フロントとテンプルを開閉する部分)とテンプルをつなぐリベットを立体的なデザインにするなどディテールも特徴的です。
普段使いしたいサングラスと、マスナガの技巧が光る最新メガネ
今回モデルとして登場した藍川さんは、根っからのブロータイプ(フロント上部のプラスチックが眉のように見える)好きで、「MASUNAGA G.M.S.のブロータイプは全部持っています」と豪語。その理由を尋ねると、「目つきがいい方ではないので、どんなメガネを掛けても、怖い、怖いと言われます(笑)。顔に特徴がないので、メタルだとさっぱりし過ぎて印象が薄くなるし、ワンポイントほしいのでブローを愛用しています」と説明。
さらにメガネ選びは「どうなりたいか」「どう見られたいか」が大切だと言い、「メガネは道具ですからきちんと機能しなければ意味がありませんが、デザインの効能が出ているかも重要。個性=自分のアイコンになるようなメガネを探すお手伝いをします」と言います。
今の季節に掛けたい個性的な縁なしサングラスは、「MASUNAGA G.M.S.」のモデル「GMS-109-01」。クラウン(王冠型)パント(ボストン)シェイプで、偏光レンズを採用。「過去のアーカイブからパーツのディテールを落とし込み、リムレスの美しいラインでメタルフレームの魅力を引き出す新作です」と藍川さん。
創業当時のフレームデザインをモチーフに、現代の技術でアップデートしたシンプルなメタルフレームは、「MASUNAGA G.M.S.」モデル「GMS-396BT」。流れるようなラインで造形されたブリッジがクラシックな風情を醸し出す限定品です。
クリアできれいなウエリントンは、「MASUNAGA 光輝」のモデル「光輝063」。クリアなので、テンプル内に施された模様がよく見え、合口の飾りや立体的なリベットのデザイン、オリジナル設計のノーズパッドなどにマスナガのこだわりが詰まっています。
マスナガが一番大事にしているのは、メガネの「本質」
増永眼鏡の創業者である増永五左衛門は、「当社は良いめがねをつくるものとする。出来れば利益を得たいが、やむを得なければ損をしてもよい」という考えの持ち主で、マーケティング室の野原弘道さんは、「メガネは視力矯正器具なので、しっかりレンズを収めて、視力を矯正することが前提です。そしてサイズやテンプルのしなり、フロントの固さなど掛けたときのトータルバランスを重要視するのがマスナガのメガネ作り。創業者の想いは、工場の人間にも染み込んでいます」と言います。
Photo:Simpei Suzuki
Text:Makoto Kajii
Editor:Ryutaro Yanaka
TOP画像:アドバイザーの藍川良平さん(45歳)が掛けているのは、高田賢三氏とのプロジェクト「MASUNAGA designed by Kenzo Takada(マスナガ デザインド バイ ケンゾー タカダ)」の新作モデル「MIMOSA(ミモザ)」。マスナガが得意とする異素材コンビネーションが魅力。
【問い合わせ】
MASUNAGA1905 青山店
東京都港区北青山2-12-34
03-3403-1905
営業時間:11:00~20:00
定休日:第1・第3火曜日
http://www.masunaga1905.com/