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「半年で15㎏も減量!」脂肪も熔かした井川意高が語る、現在の生活とは?

2017.7.16
2017.7.16

貪るように本を読んだ実刑生活とは?

ギャンブル。それは「運に挑戦する行為」であり、日常では得られない高揚感やスリルに満ちた大人の遊びです。文豪ドストエフスキーも、現代でいう”ギャンブル依存症”であったと考えられています。

——私の手の中には、ものの5分くらいの間に、かれこれ400フリードリッヒ・ドルばかり流れ込んだように思う。そのとき帰ってしまえばよかったのだが、私の心の中には何かしら、奇妙な感じがわいてきた。それは、運命への挑戦とでもいったようなもので、運命の神の鼻を爪ではじいてやりたいような、舌でもぺろりと出してやりたいような気持ちなのだ。『賭博者』(新潮文庫/米川正夫 訳)——

元大王製紙社長で、人生にカジノを捧げた井川意高氏が、ギャンブルの神様に払った代償をFORZAに激白。聞き役はカジノに関する著作もある、元SONYの作家、松井政就氏。すべてのギャンブラーと、未来のギャンブラーに告ぐ、衝撃の体験をお楽しみください。

松井:井川さん、早速ですが最近はカジノで遊ばれていないんでしょうか?

井川:いま、やっちゃいけない期間なんです。

松井:そうなんですね。失礼しました。

井川:別に私は博打で捕まったわけじゃないんですけども、例えば、酒を飲んで気が大きくなって誰かに手を出してしまった場合、仮釈放期間は“飲酒禁止”などの条件を付けられるんですね。罪状に沿ったハードルが設けられるワケです。

私の場合は“裏カジノ等賭博の行われているところに出入りしないこと”というハードルがつきました。

松井:それは合法カジノでもダメですか。

井川:ダメでしょうね。

松井:外国にも行けないんですか。

井川:外国には行けますけれども、つまらないことで残った刑期をやり直すのは嫌ですからね。3年2ヶ月間カジノをやっていないので、刑期が終わるあと数ヶ月は静かに暮らしたほうがお得なんですよ。

松井:刑期はあとどのくらい残っているんですか。

井川:今年の10月2日で満期です。

編集makiko:あと少しですね。今日お会いして思ったのですが、著書『熔ける』のお写真と雰囲気が変わられましたよね。若返ったといいますか。何かアンチエイジングなどされているのでしょうか?

井川:あの写真は2013年当時のものですが、今より髪の毛が少し余計にありましたし、ヒゲも生やしていましたね。3年2ヶ月のデトックスで痩せたというのはありますよね(笑)。

ヒゲに関してはずっと生やしていたかったんですけど、仕事で新聞社や出版社に行くときに印象が悪いので控えていたんです。裁判長にも印象が悪いですからね(笑)。

makiko:裁判はスムーズだったんですか?

井川:私はラッキーだったんです。ラッキーというのは変ですけど、私の前が村木さん(※障害者郵便制度悪用事件でえん罪により逮捕された村木厚子氏)だったんですよ。

「検察が証拠をねつ造した」とかで特捜部がひどく叩かれた後だったので、非常に紳士的だったんですよ。「僕らにとって井川さんの件は“リハビリ案件”なんです」って言われましたよ。「井川さんは叩かれていますけど、事件自体はとてもシンプルな構造で変なことは出てこないので、普通にやらせていただきます」ってね。

松井:裁判自体は、非常にハッキリしたものでした。

井川:担当の弁護士が非常に素晴らしい先生だったので、毎日主任検事のところに行ってくれて、30日間の拘置期間中にも毎日小菅の東京拘置所に面会にきてくれていました。

結局私の持っていた株式を当てて、会社から借りた金は返しているんですけど、非上場の会社の株だったので評価の問題とか色々あったんですよ。さらに、その時の大王製紙の社長と対立していたりとか、複雑な関係もあってゴタゴタしていたんです。

でも、一審判決が出る前に返済をしておかないと判決にも影響がでてくる。その主任検事も「これは金額が大きいから返しておかないと、どうしても特別背任のフルで求刑しないといけなくなる」とおっしゃっていて。フルということは、10年の求刑になってくるんです。そこで返済完了まで、期日を延ばしに延ばしてくれたんです。一審判決を10ヶ月かかるようにしてくれたんですね。私はその間に半年でディーリングを終わらせたので、なんとか助かったんです。弁護士先生も良かったし、検察もリハビリ案件ということで協力的でした。

松井:上手くいって良かったですね。

井川:仮釈放までは3年2ヶ月掛かりましたが。

松井:3年2ヶ月は長いですか?

井川:それが毎日変わらない日常なので、半年経った頃から水が流れるようにあっという間に時が流れるんですよ。
出てきてみんなに「長かったね、長かったね」って言われて「あ、そうだった」って気がつきましたね。高校一年生だった息子が大学生になっているわけですから。でも私からしたら「言われてみたらそんなもんか」って感じですけどね。

makiko:不思議と若返られましたし(笑)。

井川:そうですね。向こうで栄養価も全部考えられて、塩分も控えて野菜ばかりですからね。早い時間に食事をして、早く寝るっていうのは一番痩せますからね。半年で15キロ痩せました。でも出てきてから半年たらずで6キロ戻ってしまっていますけど。

松井:刑務所の飯っていうのが体に良いというのはホリエモンが連載に書いていましたよね。

井川:そもそも彼はガッツリ食べるから、あっという間に戻っていましたね。

makiko:刑務所の中での生活って、にわかには想像しにくいのですが……。

井川:月〜木は朝6時40分に起床で7時過ぎから朝食を配られたら5、6分で食べちゃって(笑)。7時半〜40分くらいの間に出役と言って作業する部屋に移動して、8時前から作業を開始。工場によっては順番が変わるんですけど午前中もしくは午後に運動の時間が40〜50分あります。運動場までの移動を含めると運動できるのは正味30分ちょっとくらい。お昼が12時〜12時半。午前中に運動をした時は午後に10分間休憩があって、4時半には部屋に戻ります。

風呂は、夏場は月水金と冬場は週2回なんですけど、そのスケジュールだと3時過ぎには作業が終わって、部屋に戻って、晩飯は5時前くらいから10分くらいで部屋で食べて、9時の消灯時間までは自由時間です。私は本を読んでいましたね。

金曜日は本来は作業の日なんですけど、矯正指導といって、つまらないビデオを流してそれの感想を書いたりしますね。それ以外の時間は真面目な本だったら読んでもいいので、金曜日は朝8時から21時まで13時間読書をしていました。土日もだいたい同じですね。

松井:それは部屋の中ですか。

井川:私は独房だったので。

松井:出たり入ったりは出来ないんですか。

井川:独房は基本的に夕方閉められたら朝まで出入りできません。でも、類とか種という階級というか制限区分があって、何も問題を起こさずに類が上がっていくと、最後には開放棟というところへ行けるんです。棟は隔離されているんですが、房の扉は開けてよくて、食堂でテレビを観てもいいとかいう感じです。

松井:房の中では腰痛がキツいと聞いたんですけど横になっちゃいけない決まりはあるんですか。

井川:そうですね。最初の頃は壁にもたれてもいけないとか言われて、日本はとにかく行政裁量が大きいので所長の方針次第なんですよ。喜連川は細かいルールにうるさくて、千葉は重罪犯が多いところなんだけど。

松井:千葉にいらっしゃったんですか。

井川:私は栃木の喜連川の社会復帰センターといって新しくできたところにいました。建物は綺麗なんですけど、飯はまずいし、細かいルールは多くて、すごく面倒くさいところだったんです。途中で職業訓練で千葉の方に半年くらい行って戻ってきた受刑者がいたんですけど、「千葉は1回房に戻ったら細かいこと言われないよ」って言っていました。
刑務所にはA級B級L級というのがあるんですよ。初犯がAで再犯以上がB、そして10年を越えるとロングのLなんです。千葉はBとLの刑務所なので再犯者やロングもいて、そういう連中にあまり細かいことを言うと不満が溜まって騒動になるので、細かく言わないんでしょうね。
そして犯罪が軽い人の方が細かいことを言われてるんですよね。ただ私が出る頃には所長が替わってだいぶ緩くなりました。近代的な考えを持った所長になって。

makiko:トップが変われば規律も変わるんですね。井川さんは有名な方なのでその分人の目とかも気になりそうですが。

井川:そういえば、刑務所にいたとき私宛に届いた手紙に「ギャンブル依存症の対策のNPOをやっています」という内容がいくらかありましたね。そのうち2人に1人くらいはきっと「ギャンブルで破産したので、今度はそれでNPOを!」とか言いながらお金を稼いてる人だと思うんです。何度も手紙がきていたんですけれど、親友の佐藤尊徳さんがやっている電子政経雑誌『政経電論』に「カジノに賛成か反対かというよりも、僕はなぜカジノがダメなのか分からない」という自論(該当記事はこちら)を発信した途端、パタッとこなくなりましたね。その方々は私が「反対派だ」って言うのを期待されていたんでしょうけど (笑)。

松井:ダメというか、カジノは作った方がいいんですよ。現実に、日本には裏カジノがたくさんあって、そこではルールにのっとってやっていない部分もあるわけだから。

井川:しかもイカサマされますからね。

松井:裏カジノでイカサマやられてたっていうニュースがたまに出るじゃないですか。でも本物のカジノでそれをやったら一発退場ですからね。そういう意味では本当のカジノの方が安全ですよね。

井川:アルカポネが儲けるだけだった禁酒法時代のアメリカと一緒ですね。

松井:あれも結局マフィアが儲けるために政治家に働きかけて禁酒法を通させたんですもんね。

井川:民進党はパチンコ屋の手先なのかも知れないと私は見ている。カジノができて困るのはパチンコ屋ですから。

松井:政権を取っていたときは「カジノ賛成」だったのに、政権を離れたら急に反対で、その理由が「依存症が増えるから」とか言ってるんですが、だとしたら余計にちゃんとした賭博場を作って、パチンコを減らす方向にいくはずですよね。

井川:日本人は理屈で考えるのが苦手ですからね。多分私と松井さんで話したら彼らの言っていること全部論破できますよね。論破されても彼らは認めないでしょうけどね。

3年2ヶ月の思惟の時を経て、現実社会に舞い戻ってきた井川意高氏。今後彼の運命に何が待ち受けているのかは、ギャンブルの神のみぞ知るところか。しかし、彼の視線には運命と対峙する「覚悟のようなもの」も宿っていたのだ。

photo: Shinpei Suzuki
text: makiko
Location: Wallflowers Bar

山本真紀子(やまもとまきこ)早稲田大学卒。某メガバンク総合職退職後、株式会社JunoJapan設立。アパレルブランドPR等ファッション関連ビジネスを経て、ライフスタイルマガジン「ADVENTURE KING」編集長(2012~現在)。趣味ランニング、ヨガ、飲酒。旅とワインをこよなく愛する冒険野郎。

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