ソールを貼り替えながら、きっと一生履き続けます!
さて、53回目は、ユッタ ニューマン(JUTTA NEUMANN)のサンダル「エルメス」です。陽射しも暑くなり、靴下を脱ぎ捨て、サンダルをつっかけて外への季節ですね。えっ? まだ早い。いえいえ、5月も後半になったらショーツとサンダルの準備は万端。どちらもクローゼットの奥から引っ張り出し、つねに臨戦態勢です。
サンダルって意外に痛むのが早いので、毎年気になるモデルがないかと、『嗚呼!バラ色の珍生!!』スタッフのごとく血眼になって探すんですが、なかなかトキメくものには出逢えない…。そんな中で、とても気に入って約20年間レギュラーとして履き続けているのが、ユッタ ニューマンです。
ドイツ生まれの女性デザイナーがニューヨーク・イーストヴィレッジの工房にてハンドメイドで作り上げるレザーサンダルは、履き続けるほどに足に馴染み、レザーから作りに至るまで とにかくクオリティが高い! 靴への関心がズバ抜けて進んでいるドイツ人が作ってるだけあって、ソールの土踏まず部分が膨らんだアーチサポートも形成されており、足にフィットしてメチャクチャ履き心地がイイんです。
さらに、ソールにはビルケンのソールが貼られていて歩きやすい! 最近、ホニャララ界のロールスロイスなんて呼ばれているアイテムが世に氾濫している気がしますが…(笑)。恐らく、相当な初期からユッタは「サンダル界のロールスロイス」と呼ばれており、その呼び名に恥じないクオリティを保っていたと思います。
じつは最初は「アリス」というモデルを履いていたんですが、あの独特なストラップのカタチが僕のワガママこじらせフットに合わないのか…、ラティゴ レザー(Latigo Leather)の堅牢さに打ち勝てなかったのか……、絶賛するほどの快適性は感じられなかったんです。その後に出逢えたのが、この「エルメス」。名前も素敵だ!(笑) 恐らく、空を飛ぶことができる翼の生えた黄金のサンダルを履いたオリンポス十二神の中のエルメスが由来だとは思うんですが、どこかの飲料のキャッチフレーズかのように、翼をさずけられたように軽快で、劇的な履き心地を体感することができ、思わず白目を剥きました…。
価格はビルケンやレインボーサンダルなんかに比べると高額で…、出逢った頃に比べてもどんどん値上げされているような気もしますが、久々に「良い靴は、素敵な場所へと連れて行ってくれる」を信じ、この夏もつっかけてフラフラと徘徊したいと思います。ただ、奪ったモノを返すことを条件に関係を迫ったり、オンナのひとたちのおしりを追っかけ回す好色オトコにはならないよう気をつけます!
Photo:Riku Kashiwabara
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。