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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

赤峰先生の立夏の着こなし 「アズーロ・エ・マローネ」でイタリアの風を表現

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立夏とはなんとさわやかな言葉でしょう

ゴールデンウィーク、こどもの日、みどりの日、憲法記念日、そして母の日(今年は5月14日)が目白押しで、まさに「夏来る気分」となり、春との別れを告げる立夏です。

かわずはじめてなく 鼃始鳴 初候
みみずいずる 蚯蚓出    次候
たけのこしょうず 竹笋生  末候

夏立つや衣桁(いこう)にかはる風の色 也有

中国の龍門という激流を鯉が登ったという伝説=「登竜門」から、鯉幟(こいのぼり)が生まれたそうです。また、江戸時代の武士に珍重された初鰹(はつがつお)は、勝男武士に通じ、初物好きの江戸っ子たちが好んで食べたとか。

そのほか、この時期はキリスト教では聖母マリアの象徴「苺(いちご)」や、私の大好物「筍(たけのこ)」の季節。この間も、竹の子の煮物やご飯をいただきました。採れたての竹の子のさしみはわさび醤油でいただくと、話には聞いていますが、残念ながら未だ実現していません。

私は竹の子の皮のテクスチャーが好きで、皮をキャンバス代わりにして絵を描いたりするので、落ちているのを見つけると拾って帰ります。この歳になっても竹やぶを見つけると、ついつい金網を乗り越えて周りを見回しながら、竹の子の頭を見つけたくなり、そして、「いかん、いかん」と戒めています。

また5月になると、童謡の『背くらべ』を思い出します。私には5歳上の兄がいて、子どもの頃は病弱で、自分より背が低かったのですが、当時住んでいた目黒・碑文谷の古い日本家屋の柱に毎年傷をつけて背を比べていたのを、この季節になると思い出します。

5月の着こなしは、ブルーの濃淡のグラデーションが美しい

一年で最も爽やかな季節である5月の空気感を着こなしで表現すると、ブルーの濃淡のグラデーションに行き着きます。私の中の“アズーロ=青”は、イタリア・サルデーニャ島にあるコスタスメラルダを思い出します。紺碧の海岸、ブルーの美しいグラデーション、特に夕方の空のブルーと海の青の溶け合うようなブルーは格別です。

今日のスーツは、2000年に仕立てた「リベラーノ」のもので、ネクタイはイタリア「プリンチペ」のオリジナル、シャツは「アカミネ ロイヤルライン」のものです。ベルトは「シャルベ」の茶にして、イタリア男が大好きな“ブルー×茶=アズーロ・エ・マローネ”に仕上げてみました。イギリス男は黒ですが、イタリア男はブルー×茶に反応せずにはいられません。

先日、春の爽やかさに誘われて、日帰りで香川にある『イサム・ノグチ庭園美術館』に行ってきました。イサム・ノグチは大好きなアーティストで、美術館には150余りの彫刻作品が点在しますが、生前のノグチ氏の制作の雰囲気も色濃く残っています。その“風化していく美しさ、自然と同化していく作品”が素晴らしく、思い立ったら訪れています。

どこを見ても「凄い」としか言いようのない美術館で、私はノグチ氏の作品の中から「色のとらえ方」を学びます。彼独自の作品はいずれも遊びの中にヒントがあって、硬質な石の作品や土壌の階層などを見て、ファッションの色を連想します。

夏に向かうポジティブな気分を、“色の合わせの調子”で表現

スーツの着こなしは上下が決まっているので簡単ですが、ジャケット単品をメインにすると、ジャケット、パンツ、シャツ、タイ、そしてベルトや靴など、パズルのピースのように組み合わせのアイテムが増えます。

そんな着こなしで私が一番重要にしているのが、“色の合わせの調子”。5月上旬の季節感にちょうどいい、20年前の「リベラーノ」のリネン素材のオープン3パッチ・ジャケットに白のシャツ、「シャルベ」のナチュラルベージュのネクタイ、グレーのスラックス、「フローシャイム」のヴァンプでコーディネートしました。

こういう“色の合わせの調子”の着こなしをマスターすれば、まさに洒落者。湿度の低い気持ちいい天気の中で着こなしてください。

次回、連載8回目は、5月21日頃の“小満(しょうまん)”。草木などの生物が次第に生長していく頃、みなさんは何を着たいでしょうか。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

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