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SONY元異端社員の艶笑ノート

SONY元異端社員の艶笑ノート SONYのベータはお色気でVHSに負けた

2017.5.8
2017.5.8

銀行の支店長代理も、欲望には勝てなかった

SONY対松下電器「ビデオ規格の雌雄を分けたもの」

むかしフジテレビの番組に「カノッサの屈辱」というものがあった。世の中で起きているいろんな出来事を、歴史上の大事件に喩えるなどしてドラマ化するもので、シュールでかつ、笑いもあり、人気になっていた。

ソニーもその番組でネタになった。ソニー率いるベータ軍が松下率いるVHS軍に攻め込まれていく様子を、戦国時代風のドラマに仕立てられたものだった。

現実同様、ドラマの中でベータは負けるのだが、その負け方というと、VHSは、性能ではベータに敵わないと見るや、ひたすらエッチビデオのソフトを流通させ、VHSを買えばエッチなビデオを見られるとして男性陣をすっかり取り込んでしまう内容となっていた。

だが、それを見てぼくは笑えなかった。なぜなら、ベータがVHSに負けた理由が、本当にその通りだったからだ。しかもエッチビデオが流通したなんていう甘いものではなく、当時ビデオデッキを買いに行くと、お店の人から「VHSを買えばエロビデオをオマケにあげる」と言われたほど。つまり、VHSを買うと、無料でエッチビデオをつけてくれたのだ。

同級生もみんなエッチビデオの誘惑に負け、次々とVHSを買っていた。
つまり、ソニーはVHSに負けたというよりは、お色気に負けたというのが、歴史的な事実だろうと、ぼくは思っている。

競馬好きばかりの病室

さて、そんな頃、ぼくは依然として府中に住んでいたが、ある日、足の怪我で入院した。場所は、府中からほど近い病院だった。

入院したのは一般病棟の大部屋だったが、入ってみると、さすが府中というべきか、競馬好きが多かった。日曜日になるとテレビにかじりつき、ああだこうだと言い合った。

競馬をやらない人には理解できないかもしれないが、競馬をやる人というのは、自分がいちばんうまいと思っている。自分よりもっと詳しくて、もっとうまい人がどこかにいることは頭ではわかっていても、身近では自分がいちばんだと思っている人が本当に多いものだ。
しかも競馬好きは他人の意見に耳を貸さない。自分がいちばんうまいと思っているからだ。競馬好きは自分の主張は押し通そうとするし、他人の主張には反論するし、たいていは意見が一致しない。

そんな人が、日々、競馬のことで激論している部屋に、新たに患者が入って来ることになった。看護婦さんによれば、池袋のとある銀行の「支店長」だという。

「支店長代理」と「副支店長」は、どっちが偉いの?

銀行の「支店長」と聞かされ、ぼくらは身構えた。
ぼくは学生だし、他の人も自営業やサラリーマンだ。そんな人たちにしてみれば、銀行の支店長ともなれば雲の上の人だ。

やがて支店長と奥さんが入ってきた。

想像より若かった。この若さで支店長とは相当な出世だろう。しかも、愛は金で買えるのか、奥さんも美人で、憎たらしい限りだ。

「山口(仮名)と申します。今日からよろしくお願いします」

奥さんが挨拶すると、続いて山口さん本人が、

「どうぞ、よろしくお願いします」

すると、部屋の一人が、

「銀行の支店長さんなんですよね。すごいですね」

「いえ、支店長ではありません。支店長代理です」

一瞬、部屋の空気が止まった気がした。

「支店長と聞きましたが」

「いえ、違いますよ。支店長代理です」

山口さんは頭をかいた。

「やっぱりな! 支店長なら個室じゃないのがおかしいと思ったんだ!」

部屋の長老が、まるで大穴を当てたかのように目を輝かせた。

「支店長代理って、副支店長のことですか?」

「いえ、違います。支店長代理っていうのは支店長の代理であって、副支店長は副支店長なんです」

「ほう」

みんな、わかったような、わからないような顔をした。

「よくわからないから、支店長でいいじゃないか」

長老のひと言で、山口さんは「支店長」と呼ばれることになった。

部屋にはたびたび、患者の知人がお見舞いにきた。きた人には同室の患者を紹介するようにしていたので、当然のことながら山口さんも紹介された。山口さんが紹介される時は、必ず、

「銀行の支店長さんです」

と解説がついた。すると、きまって、

「支店長じゃありませんよ。支店長代理です」

「というと、副支店長さんですか」

「いえ、支店長代理です」

「支店長代理と副支店長って、どう違うんですか」

「支店長代理っていうのはあくまで支店長の代理であって、副支店長は副支店長なんです」

「どちらが偉いんですか?」

というやりとりになった。

とにかく生真面目な支店長代理

彼が同部屋になってから、銀行マンというのはこんなに真面目なのかとぼくは思った。何についても、正しいことしかしないのだ。

病室には一人一台、テレビが備え付けられているのだが、そのテレビは有料で、売店でプリペイドカードを購入し、それをテレビにくっつけられた装置に差し込むことで見ることが出来るものだった。

山口さんのテレビはその装置が故障しているらしく、カードなしで見ることが出来た。そんな場合、普通の人であればしめしめと思ってタダで見るものだろう。

「よかったですね。儲かったじゃないですか」

部屋のみんなもそう言った。
ところが山口さんは、故障していることを看護婦さんにちゃんと報告したのだ。
すると看護婦さんは、予想に反してこう言った。

「得しましたね。内緒にしといてあげますよ」

「いや、それじゃ困るんです」

「どうしてですか? タダで見られるんですから、いいじゃないですか」

みんなも加勢し、

「そうですよ。支店長は真面目過ぎるんです」

「でも、やっぱり困ります。有料のものをタダで見ると、窃盗罪になるんです」

その言葉に、みんな息を飲んだ。そんなことは考えたこともなかったのだ。

「窃盗罪になれば会社にもいられなくなります。不正だけはしたくないんです」

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