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黒木メイサ、赤西仁も顧客! インテリア リグナ社長が腕時計を愛する理由

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月9ドラマのインテリア監修が成功のきっかけ

不確実性を日に日に極めていく現代。けっして楽観視できない日本のマーケットで気を吐く成長企業の社長は、いま何をどう考えているのだろうか。

トップを目指す人も、またそうでない人にも、すべてのビジネスマンにヒントを授ける「社長のブランド品」。連載一回目はいち早くデザイナーズ家具のECサイトを立ち上げ、現在では有名ドラマのインテリア監修を手がけるなど、多角的なアプローチで衣食住のライフスタイルをトータルプロデュースするリグナ株式会社(Rigna)社長、小澤良介氏にインタビュー。黒木メイサや赤西仁、押切もえなどの有名人が愛してやまない「空間」のプロデューサーは、「時間」を前に哲学的な問いを繰り返す時計マニアだった――。

「人生においてもっとも重要なものを問われて、僕は一秒も迷いません。それは圧倒的に時間です。悲しい時間も楽しい時間も怒っても笑っても同じ一秒。生まれたら死ぬまで一秒も戻ったり止まったりせずに進んでいく時間を、どれだけ幸福に過ごせるか。僕は時間=人生だと信じています

リグナ本社外観

中央区茅場町から徒歩5分。オフィス街の一角にある本社ビルの社長室で、リグナ社長の小澤良介はそう語り始めた。森山大道のアート写真が飾られた社長室のテーブルの上には、「僕の子どもです」と溺愛する腕時計が4本。ジャケ・ドロー、ウブロ、カルティエ、パテック・フィリップ……。腕時計を偏愛する小澤氏の時計の針を起業まで巻き戻すと、こんなストーリーになる。

苦心した学生時代

小澤:父親が名古屋でアパレル関係の仕事をしていた自営業者だったのですが、バブルで大損を食らい、一家が路頭に迷う危機もありました。父親には「けっして経営者にはなるな」と釘を刺されていたのですが、大学時代にいろいろな社長のカバン持ちのようなことをして可愛がられているうちに、自分の中で社長になる宿命みたいなものが見えてきたんです。今の僕と父は関係ないと自分では思っていますが、もしかしたら無意識のところで影響を受けていたのかもしれません。

就職活動もしてサラリーマンになる道もありましたが、結局いただいた内定は全部蹴って起業しました。自分が企業に勤めて、好きなことをして幸せに生きているイメージがどうしても湧かなかったんです。それに勝負できるのは若いうちだけだと考えていましたから。やりたいことやるには自分で会社を作るしかないんだと。

FORZA:学生時代はアルバイトでお金を貯めて、卒業後すぐに事業を始めたそうですね。学生の頃はどんな仕事をしていたのでしょうか?

小澤:人材派遣のようなことをしていました。いわゆる便利屋ですね。僕自身のコネクションで人を探している企業を見つけ、そこと自分の周りの学生をアルバイトとして派遣する仕事でした。社長の皆さんからは「便利な学生がいる」と言われて重宝されていたのですが、意外と苦労も多かったんです。

というのも、人を派遣する仕事というのは僕がしっかりしているだけではダメなんですね。僕がバイト先をうまくアレンジしても、結局当日ドタキャンする学生がいれば僕がすべて悪いことになる。その時純粋に思ったのは、僕みたいなタイプは人間を商品にはできないなということ。実はその経験が、僕がインテリアを商品にした理由に繋がります。人を商品にはできないなら物を商品にしようと。そしてどうせなら大好きな物を売って生きていきたいなと(笑)。

リグナを支えた戦略

そして24歳でリグナ立ち上げ。当然最初から順風満帆というわけではない。当初は売り上げも全くのゼロからのスタート。そんな時に社長を支えた経験とは?

小澤:初めて注文が入った時のことは、今でもはっきり覚えています。最初バルセロナチェアっていう、6万円くらいの椅子の注文が入ったんです。ちょうどその時は夜中で、僕は仲間と過ごしていたんです。注文のメールが携帯に転送されてきたのを見たときは、すごく興奮しましたね。ようは学生時代に苦労した人材派遣の経験があったからこそ、一日に何万円の売り上げを作るのがどれだけ大変か知ってたんですよ。1人人材派遣したところで売り上げは1万、2万程度。そこから給料として相手に半分以上渡したら自分のもとに残るお金は雀の涙です。それが、僕が仲間と一緒にいた時間に5,6万円のお金を稼げた。これはすごいと。これまでの苦労が報われた気がして一気にやる気になりましたよね。

そんなリグナの現在の強みがドラマのインテリアだ。あなたもドラマを見ていて、出てくる家具がどこのだろうと気になった経験があるのではないだろうか。「月の恋人」や「貴族探偵」といった有名ドラマの家具を監修しているのがまさにリグナ。ドラマを見た人の検索流入から顧客を増やし、ドラマで見た家具がすぐ買えるというビジネスモデルを確立させた。そこにはリグナの徹底したメディア対策がある。

小澤:ドラマが僕らのキラーコンテンツになっていて、検索からHPへ誘導しています。今「ドラマ 家具」でGoogle検索するとリグナのHPが検索結果の1位に出てきますね。ドラマに関するインテリアの世界では存在感を示せていると思います。こういう風にメディアを最大限生かせるのも、今この時代だからこそ。過去の家具屋はエンドロールに名前が出て喜んでいた程度だったんですけど、それだと自己満足で終わってしまう。それでは売り上げにもつながらないし意味がない。今の時代は、みんながドラマを見ていて「いい家具だな」と思ってスマホで検索した時に、僕たちのコンテンツが100%出るような状況にしないといけない。実際ドラマのインテリアと言ったらリグナだよねっていう状態に来ていると思います。

創業当初はまだSEO(検索エンジン最適化)対策という言葉もない時代でしたが、いいコンテンツを作ることを第一に考えていたら「デザイナーズ家具」というキーワードで上位に出てきたんですよ。気づいたらGoogleで1位になってて。今となってはおしゃれな家具を探すユーザーのためにコツコツといいコンテンツを作り続けていったからこそ上がっていったという感覚ですね。

一日のタイムスケジュール

リグナテラス東京2階に併設されているカフェ・WENT(ダブルエントランス)

現在は衣食住のトータルプロデュースの一環として、「住」である家具の販売だけでなく、「衣」の部分への参入となるボックスチャームインダストリー(世界各国から集めたチャームやヴィンテージパーツを組み合わせて自由にアクセサリーを作れるショップ。原宿と大阪にオープン)や「食」の部分としてR the TABLE(ピザレストラン)を外苑前に開業するなど、多角的な経営に乗り出している。多忙を極める小澤氏だが、「好きなこと以外やらない」「仕事は趣味」と言い切る。そのライフスタイルとは……?

小澤:朝は7時くらいに起きたら、まずはボディメンテナンスをします。ジムに行くときもあれば、自宅でトレーニングをするときもあります。トレーニングの後はスケジュールによって会社に来るときもあれば、今やってるボックスチャームインダストリーのために原宿や大阪に出向くこともあります。夜は7時くらいから会食。とはいえ最近は経営の勉強のためにMBAのグロービス経営大学院にも通っているので10時くらいまで授業していることが多いですね。睡眠時間は4,5時間。短いって言われますけど僕の中では十分なんです。5時間寝れば確実に目が覚める。睡眠時間は長くないほうが僕はいいと思ってます。その方が人生いろいろやることが増えるので。

腕時計に見る社長の人生哲学

そんな小澤氏の話は、最終的にはいつも冒頭の「時間」に対する執着に返ってくる。

小澤:僕の中で一番重要なものは時間です。だから時間を表現する時計は僕の中でかなり上位の価値を占めています。だから絶対にちょっと無理してでもいい時計は買うべき。それも今の自分に相応の時計じゃなくて、1個2個レベルを上げていい時計を選ぶ。そうすると時間に対する見方とか考え方が変わるし、それに常に身に着けることで自分のモチベーションが上がりますから。

左からジャケドロー、カルティエ、ウブロ

たとえばこのジャケ・ドローの時計。ジャケ・ドローはスイス人で1700年代に世界で初めて腕時計を作った人なんです。このデザインは1800年代以来変わってなくて、すごく歴史があるデザインです。

そして時計が美しいのはやっぱりこの裏蓋を開けた内側の部分。この時計の構造がどうなってるかがわかる。このパテックフィリップは、一見何でもないですけど、通常大きなローターが付いているのに対し、マイクロローターという小さいタイプのローターが付いている。これが技術力の証で、希少価値が高いんです。今も新しい腕時計がほしくて、ランゲ&ゾーネかオーデマピゲかすごく悩んでいます。今までだったらデザイン性からランゲを選ぶんですが、ピゲの方が周囲に価値が理解されやすい。自分の中では究極の選択です。

こういう風に時計のかっこよさについて語っている時間は、僕にとってすごくいい時間なんです。そこからハッピーが始まるかもしれない、夢が始まるかもしれない。それを買うために何かしようと挑戦するかもしれない。すべてワクワクから起点がある。ワクワクすることからいろいろなプラスのアクションが起きる。現代はただ淡々とお金を稼ぐとか仕事をこなすかを考えてる人ばかりで、ワクワクする時間を無視してる人が多すぎると思いますね。いかに自分がワクワクするか、ワクワクする時間を作れるかで自分の人生が大きく変わる。僕はずっとワクワクし続けてる。これだけは間違いありません。

――衣食住、そして時間をトータルコーディネートする小澤氏の挑戦。それは腕で時間を刻む腕時計との併走でもあるのだ。

Text : To be
Photo : Sono Aida
Edit : 栗P

小澤良介
リグナ株式会社代表取締役。1978年生まれ。明治大学在学中に起業し、様々な業務請負事業を手がける。2003年同大学卒業と同時に、有限会社リックアンドブレインズ(現:リグナ株式会社)を設立。内装をはじめとしたインテリア事業を手がける中、飲食店の顧問も数社兼任。その後、日本EC市場に於ける家具インテリア業界の浸透の低さに着目。2004年総合プロデューサーとして、デザイナーズ家具インテリアショップ『リグナ』をオープンさせ、現在に至る。また、 2010年にはフジテレビの月9ドラマ『月の恋人』において監修を務めた。著書に『なぜデンマーク人は初任給でイスを買うのか?』『100%、「好き! 」を仕事にする人生』がある。

 

Rigna(リグナ)
世界のブランド家具・デザイナーズ家具を販売するインテリアショップ。アクセサリーショップ・ボックスチャームインダストリーが原宿と大阪に開店した。
会社HP http://www.rigna.jp 店舗HP http://www.rigna.com
ボックスチャームインダストリーHP http://boxcharmindustry.com/

 



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