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FASHION ー 林 信朗の「お洒落偉人に学べ!」

服飾評論家 林信朗の「お洒落偉人に学べ!」

葉巻にシガー、ロールスロイス……「イギリスの巨人 チャーチルの生き方」

2017.5.8
2017.5.8

英国を背負って立つ気概と、仕事ぶりの凄まじさ!

"世界には想像の遥か上を行く、お洒落な偉人たちがいた"。彼らのスタイルや生き方を学ぶことこそ、スマフォー(スマートな40代)への近道と考えた編集部員たちは『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任した大先輩である服飾評論家 林 信朗氏を訪ね、教えを乞うことに。新連載三回目は、尊敬するリーダーの首位に選ばれ、戦火においてもお洒落、贅沢を欠かさなかったチャーチルについてたずねます。

 

ヤナカ:大先輩、ゴブサタいたしておりまーす。

林:おお、ヤナちゃん。いいね、その軽いかんじが(笑)。

ヤナカ:最近しばらく先輩の授業を受けてないもので、ホッシー編集長が顔を出してこいと(笑)。はい、たいしたもんじゃございませんが。

林:その紙袋でわかるよ! 近江屋洋菓子店! イチゴショート?

ヤナカ:ええ、そりゃもう。

林:この店、知ってるかい、ヤナカ君、創業がたしか明治半ば。ケーキの店じゃ東京でも最も古い部類だよ。愛おしいねえ。誰にでも喜ばれる味だよね。うん、このセレクションはいい線いってる。

ヤナカ:先輩に鍛えられ、ぼくも手土産に関しては達人の域に達していると言ってもよいのです。

林:ははは、そういうのは「自惚れ鏡」と言うんだよ。まあ、いいでしょう。ところで、今回は何を話しゃいいんだい?

ヤナカ:ウインザー公とのつながりでチャーチルの話を伺いたいかなあ、なんて。

©gettyimages

林:いいねえ。そりゃあ、いい! まあ、考えてもみたまえ、もしチャーチルがいなかったら、ぼくらだって今ここにいたかどうかわからない。ヒトラーが勝っていたらということだよ。日本とドイツは結んでいたが、そんな盟約など反古にされ、ドイツの下働きをしていたかもしれん。神のみぞ知るだ。

ヤナカ:ええ、そうですねえ。しかし、そういう歴史的な話は……。

林:歴史本で読むからいいって言うんだな? 

ヤナカ:ええ、まあ、その……どちらかと言えばFORZAらしくお洒落の話を優先的にと言うかですね……。

林:うむ。だが……。

ヤナカ:だ、だが、どうしたんですか?

林:これだけは、ヤナちゃん、最初に言っておきたい。

ヤナカ:え? こわいな~。

©gettyimages

林:チャーチルの素敵なところはだね、まさにあなたが言うところの「歴史的な」大仕事を成し遂げながらも、なお自分の贅沢趣味を絶対に諦めなかったところなんだとぼくは思っているんだよ。ロンドンが空襲のさなかでも最高級のキューバンシガーを防空壕で吹かしている男だからな。その姿が新聞に載ったり、ニュース映画に映ったりすれば、肉や煙草など配給制になってしまった英国の国民にしてみりゃ、ずいぶん優雅に見えたでしょうよ。「なにテメエだけ贅沢しやがって」と怒ったひとたちもいただろう。しかし、大半の国民は「ウインストン(チャーチルは王室や同僚の政治家たちからファーストネームで呼ばれていただけではなく、多くの国民も呼び捨てにしていた)が葉巻をふかしているぐらいだ、まだおれたちもやれるかもしれない」と思っただろう。つまり最も困難なときに余裕をカマせたわけだね。チャーチルの贅沢好みは、結果的に国民に勇気すら与えたんだよ。彼ならではのリーダーシップ発揮術とも言える。

©gettyimages

ヤナカ:そりゃあ、すごいですね。日本の指導者ではとてもそんなマネはできないでしょうね。たしか「欲しがりません勝つまでは」でしたものね、太平洋戦争当時の国民の標語は。

林:できないだろうね。指導者も国民も「兵隊サンが苦労しているのになんだ、その贅沢は!」という方向でしょ。そういうストイシズムにはまりやすいもの、日本人は。

ヤナカ:つまり先輩は、チャーチルのお洒落や贅沢は、先輩がよくご自分の自慢話をするときに言う「しこみが違うよ」ということですね。

©gettyimages

林:おいおい、あのな! でも、そう。どうしようもない失敗もしでかしたりするが、チャーチルの、英国を背負って立つ気概と仕事ぶりは凄まじい。今回は歴史的、政治的な話は最小限にするとヤナカ君に誓うが(笑)、彼の贅沢にはしっかりとした裏づけがあるということをぼくは言いたいんだ。お洒落のセンスでは、同時代のウインザー公とは格段の差があるがね、チャーチルのお洒落、贅沢はそれ自体が目的でもあるが、仕事を成し遂げるためのガソリンでもあったというところが違うよ。贅沢をエネルギーにして危機に立ち向かうというか、そこらあたり圧倒的に器が大きいんですよ。

©gettyimages

ヤナカ:う~ん、そうですか。やっぱりすごい男なんですね。でも、チャーチルのそういう人間像は、ぼくらにとっても参考になりますよ。ぼくらに置き換えれば、ありきたりな物言いになりますが「よく働き、よく遊べ」ということですものね。ラグジュアリーにふさわしい男を目指すというか。

林:パッと思いつくまま挙げてみようか。チャーチルの生活に欠かせないものはと言うと……。

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ヤナカ:シガー、シャンパン、ウイスキーそれにコニャック!

林:好物はキャビアにフォアグラ(笑)。ロールスロイスなど最高級車。シルクの下着、パリのレストラン、南仏での休暇、まったく、いくらでも出てくるなあ。

©gettyimages

ヤナカ:逆に嫌いなものは?

林:ユーモアのわからないやつ(笑)、健康のための運動、そして最も嫌いなのはヒトラーだ。詳しい話は後にして、さあ、ヤナカちゃん、ショートケーキと紅茶といこうよ!

Text:Shinro Hayashi
Portrait:Kazuyuki Sugiyama
Edit:Ryutaro Yanaka

林 信朗
服飾評論家
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任した後、フリーの服飾評論家に。メンズファッションへの造詣の深さはファッション業界随一。ダンディを地で行く大先輩。
 

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