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SONY元異端社員の艶笑ノート

SONY元異端社員の艶笑ノート 「ペット売場の未亡人と…」

2017.4.6
2017.4.6

隣はヤクザ、向かいもヤクザ

大学に通うため、ぼくは府中市に引っ越した。そこで借りたアパートの隣の部屋に、ヤクザさんが住んでいたことは、前回お話しした通りである。

とにかく、あの頃の府中にはヤクザさんがたくさんいた。道を歩けばヤクザさんがいた。パチンコ屋にもいたし、喫茶店にもいた。

じつはアパートの向かいにもヤクザさんが住んでいた。彼はとにかく男前だった。休日になると庭に出て、パンツ一丁で庭に水をまき、犬にブラシをかけていた。肩から背中にかけて青い入れ墨が入っていた。たぶん赤や黄色もあったのだろうが、世間知らずのぼくには青に見えた。

そんなオジサンを、ぼくはきっと田舎者丸出しの目つきで見ていたのだろう。顔を合わせるたびに、オジサンは

「困ったことがあればいつでも言ってきなさい」

と言い、隣の人と同様、ぼくのことを気にかけてくれた。今の時代は死語になったが、むかしは「地回り」という役柄の人がいた。その土地の安心材料みたいな人で、少々のいざこざがあっても、その人が丸く収めてくれるような存在だった。

もしかしたら向かいのオジサンも、そんな地回り的な存在だったのかもしれない。もちろん毎日接して暮らすのはそれなりに気を遣ったが、
「お向かいもお隣も怖いけどアパートは安心」
といった感じで、ぼくとしては助かっていた。

ヤクザの愛猫「ラッキー」

向かいのヤクザさんは猫を飼っていた。白と黒の模様をした猫で、名前はラッキーといった。
ラッキーは、オジサンの飼っていた犬より利口だった。

犬は何日たってもぼくを覚えず、アパートに出入りするたびに鼻にシワを寄せて吠えたが、ラッキーはすぐに覚えて懐(なつ)いてきた。

そんなラッキーをぼくはかわいがった。たまにぼくの部屋にも付いてきた。まるでぼくの猫のような気がしていたが、アパートの他の住人もかわいがっていたし、近所の人もかわいがっていた。
ラッキーは近所のアイドルだった。

ところがラッキーは、ある日突然死んでしまった。ラッキーが死んだ夜、向かいのオジサンは大泣きした。

ぼくも大泣きした。しかも飼い主のオジサンより悲しんだくらいだ。まるでお父さんのお葬式にきた女性が、お母さんより大泣きして棺桶にしがみつき、遺族から疑惑の目を向けられた時のような、そんな感じだったかもしれない。

ペット売場の多岐川裕美

かわいがる猫がいなくなり、物足りない気分で過ごしていた時だった。たまたま買い物にきた近所の西友で、何気なく上の階まであがってみたところ、ペット売場があった。

都心の歓楽街のど真ん中で、キャバクラの同伴やアフターの客を標的に、見たこともないようなバカ高い猫を売りつけているペットショップとは違い、西友のペット売場は近所で生まれた猫を1匹1,000円で斡旋する、里親捜しのボランティアのような店だった。

はじめのうちは猫見たさに通っていたが、じきに目的が変わった。

たいへん美人な店員がいることに気づいたのだ。女優の多岐川裕美にそっくりといってもよいほどの、美しい女だったのだ。

彼女を見てすぐ、映画「聖獣学園」でバラのつるに縛られた彼女の姿が思い浮かんだ。ぼくはこの店員がたちまち気になるようになってしまった。

大家によれば、彼女は35歳くらいの未亡人とのこと。何で大家が知っていたのかはともかく、ぼくにとって、それまでの人生で見たことのないような美人で、自分が20歳であることなど忘れ、かなり本気で惚れ込んでしまった。

ぼくは学校の帰りに毎日ペット売り場に立ち寄るようになった。
ぼくにそんな下心があるとは知らない彼女は、くる度に、

「あら~、また今日もきてくれたの」
 と笑顔で迎えてくれた。
「さあ、お兄ちゃんがきてくれたわよ~」

と、籠のなかの猫に語りかけるなど、ぼくを完全に子供扱いし、警戒心はみじんも感じられなかった。

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