さすが! スニーカー好きなルカ・オッセンドライバーらしいデザイン。履いてないけど…
さて、45回目は、ランバンのスニーカーです。このコがリリースされた2013年秋冬あたりは、ラフ・シモンズやリック・オウエンスがアディダスとのコラボスニーカーをリリースしたりと、モードなデザイナー達がハイテクなスニーカーを世に送り出し始めた時期で、いまの第何次かわからないスニーカーブームの着火前夜くらい。
それまで、ランバンも幾つかスニーカーをリリースしていましたが、ここまでハイテクな表情のモデルを出したのは恐らく初だったんではないでしょうか。スニーカー愛好家でもある彼が、製作チームの猛反対を押し切って「自分が本当に欲しいもの」を作り上げた渾身の作だそうで、他のブランドでは見たこともない独特な一足に仕上がってました。
一応、スニーカーでゴハンを食べさせて貰っている身なので、気になったモデルは買って試してみる自分でも、正直その価格には二の足を踏みました、だって高いんだもん……。モードブランドのスニーカーが高額なのは承知の助でも、ラフシモンズのアディダスが4万弱に対して、8万5000円…、2倍以上でしたからね。今でこそ、10万円級のスニーカーに出会っても驚きませんが、当時は相当に躊躇しましたよ。
でも、この素材使い(9種類も使ってるんだとか)とカラーリング見てたら、「履かないにしても、持っとかないとダメでしょ」的な囁きが どこからともなく聞こえてきて……、気が付いたらレジの前でクレジットカード片手に清水ダイブをブチかましていましたとさ。てへ。
まぁ、ご覧の通り2017年春夏現在で、この表情。そう履いていませんっ! 試着した時点で、「あっ、この靴 決して履きやすくはない」と判断。こちらでも書いていますが、仕事柄歩きやすいシューズ以外は履かないんですよね。というわけで、このスニーカーもめでたく"儚いスニーカー"枠にノミネート。箱の中で静かに時を過ごして貰っています…。じゃあ、なんで買ったのなんて聞かないで、「だって、そこにこのコがいたんだから」。
ただ、なんだかいまなら履けそうな気がするぅ〜。街にコレ履いてるヒトなんてもういなそうだし、この春はチラッと黄色を挿したい気分。4年の永い眠りを経て、このコが日の目を浴びる日がやってくるかもしれません。まずは、いまのワードローブに合うのか否か、お家で試してみましょうかね。
Photo:Riku Kashiwabara
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。