紳士といっても奥手過ぎるのは問題
御機嫌よう。恋愛中毒JAZZシンガー「ぺぺ」ことRIKAPEPEです。
「今度、食事にでも行きましょうか」
ある日、紳士に言われたんです。
彼は店の常連の中でも色男と言われる部類に入る容姿端麗な男。当然女達が放っておく筈は無く、携帯のアドレス帳の中の女の数を数えるのは無謀なことでした。資産家であるという情報は人づてに聞いたものの、彼の仕事やその正体は知らぬまま。月の半分は海外出張でラグジュアリーホテルに滞在し、世界中にガールフレンドがいることくらいしか。そんな彼からの初めての食事への誘いは突然のことでした。
待ち合わせ場所に行くと、運転手つきの1台のハイヤーが停まっていました。フルスモーク仕様の後部座席に招きいれられると、「ここを開けてごらん」と耳打ちされる。どうやらシートの中央部分に秘密の扉というのがあるみたい。そっと小さな扉を開けてみると、赤いリボンがかけられたギフトが。中には高級そうなキャンディが幾つか入っていました。小慣れた演出に感動しながらも、そのまま、ホテルのレストランへ。
「男・車・ホテルで食事」というキーワードが並ぶと、何も無いにしろある程度の心づもりは必要だなと急にソワソワし始めました。毎日違う女性とホテルのレストランで食事するのが彼のライフワークであったが、結局ぺぺには指一本も触れてこなかったの。
その日は食事だけ済ませると家の近所まで車で安全に送り届けられました。その後も、彼とは数回食事に出掛けるが、いつも食事だけして日が変わる前にはきちんと送り届けられる。そんなプレイボーイの品行方正な紳士の振る舞いに肩透かしを食わされたぺぺは、あの曲を思い出すのよ。
彼を思い出す曲は『A FINE ROMANCE』。
ドロスィ・フィールズ、ジェロウム・カーンのお2人が映画『Swing Time』の為に書いた曲で、劇中ではフレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズが歌っています。これでもかという程に、なかなか始まらない恋をリズミカルでコミカルな比喩表現で歌っております。彼の事が何だか気になるのに、紳士の焦れったい行動に彼女がドギマギしちゃうというお話。さて、気になる音源を聴いてみましょう。
ペギー・リー& メル・トーメ のバージョンを是非。
実はマリリン・モンローも歌っているんですよ。
かわいい!!
【歌詞】
素敵な恋よね、キスもしないだなんて
素敵な恋よね、私のボーイフレンドはそんな人
本当は2人でホット・トマトになりたいのに
貴方は昨日のマッシュ・ポテトみたいに冷たい
素敵な恋よね、二人は肩も寄せ合わず
素敵な恋よね、レスリングもできず
ババをまじえてトランプするくらい
ちっともチャンスがないのよ、この恋は
素敵な恋よね、私のお上品な紳士さま
貴方の純愛で私はゼリーの食べすぎよ
貴方は北極のアザラシよりも物静かみたい
アザラシならシッポを振ってくれるのにね
素敵な恋よね、口ゲンカしたりもせず
品行良すぎなお付き合い
ズボンの折り目さえも乱したりしない
ちっともチャンスがないの、この恋は
「紳士といっても奥手過ぎるのも問題ね。2度目はあったとしても、3度目のチャンスは来ないかも (by.ぺぺ)」
品行方正過ぎるのもいかがなものか。ぺぺの辞書に「草食系」という文字は見当たらないのですが、食事に誘ってOK貰えた時点で何かしら女性も期待しているはず。ぺぺがJAZZバーで学んだ教訓よ。では、次のナンバーでお会いしましょう。艶ュー(アデュー)!
Photo:Yoshihiro Kamiya
Text:RIKAPEPE
Edit:栗P
RIKAPEPE
自らを「シネマ女優JAZZシンガー」と名乗り、映画の中で歌い演じる往年女優のスタイルを表現。CM、イベント出演の他、オーダーメイ ドスーツブランド「SUITBAR」とコラボし衣装デザインをおこない、「ストリートでクチュール(仕立て服)を気軽に愉しむ」「ストリートクチュール」の提案も開始。自身のエンターテイメントJAZZバンドでは、「何処にも実在しない、何処でもない場所」にて開催されるキャバレースタイルのJAZZエンターテイメントを発信中。
【HP】
rikapepe.jp
【instagram】
https://www.instagram.com/rikapepe/