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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

赤峰幸生が語る「二十四節気(着)」【その弐・雨水】

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新しい春が立ち上がるときは、元気な色を着る

四季のある美しい国だから、“季節の着こなし”を――雪が雨に変わり、氷が融けて水になる。「氷雪融け雨水温む」。連載2回目は、大地が目覚め、潤い、水蒸気が立ちのぼる、霞(かすみ)がたなびくころ。草木が本格的に芽吹き、緑が目立ち始める「雨水」。

土脈潤い起る(どみゃくうるおいおこる)
霞始めて靆く(かすみはじめてたなびく)
草木萌え動く(そうもくもえうごく)

「寒さがゆるんだり厳しくなったりで、どんな服を着ていくか困ってしまいます。できるだけ春らしい装いをしたいと思っているのですが……」という時候の挨拶の手紙を出すにふさわしいころです。

なぜ、2月になったら「春の服」が出始めるのでしょう

“雨水”は2月18日ごろですが、伊勢丹新宿店メンズ館の春夏シーズンの立ち上がりは2月15日(水)。「花々祭」というプロモーション名が付いているそうです。

一般的な感覚からは、「2月は関東でも雪が降ることがあるし、まだまだ寒いし、コートは手放せない」と言われるでしょうが、そこは機転の利かせどころ。ずっと重く厚い冬物を着てきたのですから、前回の“立春”ぐらいから、スーツは3シーズン着用できる春物にして、ウールのコートを着る。あるいは、スーツは冬物だが、コートは軽いスプリングコートを羽織るなど、上手に季節感を取り入れていきたいもの。軽いものを着れば、心も軽くなります。

当時9800円だった「G9」の最初のお客さんは……

さて、“雨水”のころに着たいスポーツルックの主役は、1950年代の「BARACUTA(バラクータ)」の幻の名作「G10」です。

皆さんよくご存知の「G9」は、マンチェスターの本社まで行って買い付けて、1960年に銀座に創業した「テイジンメンズショップ」に卸して、地下に並べてもらい、最初のお客さんが高倉健さんでした。健さんはバラクータのファンでしたが、とにかく格好良かった。現代では、「スタイルのアイコン」という人は少なくなりましたが、今でもG9といえば健さんです。

当時、VANのスイングトップが5,800円だったころ、G9は9,800円でしたが、上質なコットンポプリン生地を使っていてクオリティも十分でした。

男は襟を立てて着る、首元をカバーする着こなしが好きですが、当時、スタンドカラーのアウターは、G9か、マクレガーのドリズラージャケットしかなくて、「リアルなものを日本で紹介したい」と思ったのが輸入のきっかけ。バラクータはもともとコートメーカーでしたが、G9はアメリカでも人気で、アメリカでは「シナトラジャンパー」とも呼ばれていました。

かたやG10は、サンプルは持って帰りましたが、結局、日本では販売しなかった品番です。それがこれです。今でもちゃんと季節になると着ますよ。

タートルニットは、イタリアの「GRAY(グライ)」のもので、パンツは「Akamine Royal Line」の肉厚な生地のロイヤルブルーで、スポーティーなイメージを出しています。

次回第3回は、3月5日ごろの“啓蟄”。冬ごもり中の虫が目を覚まし姿をあらわす。「冬ごもりの虫声を啓く」。どんな季節の着こなしが登場するか、お楽しみに!

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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