登山した者だけが味わえる懐かしの味
身体を動かした後に飲む酒とメシは、なんで美味いのだろうか。さらに空気の澄んだ大自然の中だと格別のものがある。ということで今回はお手軽に楽しめる低登山散歩へ。
俺が愛してやまないアウトドアブランドのひとつがパタゴニアだ。今では一般的になったフリースを最初に開発したのがココ。特に90年代前後のオールドパタゴニアと言われるアイテムは、色使いとデザインが素晴らしく、特にこのベビーレトロカーディガンは街着からアウトドアまで守備範囲が広い。軍パンに履きなれたダナーのブーツを履いて高尾山へ向かった。都心から1時間ほどで大自然が味わえるお気に入りのスポットだ。
ケーブルカーの清滝駅にはキングオブ演歌の北島三郎先生の銅像がある。八王子に居を構えて30年ということで地元への感謝を込めて高尾山を歌われている。またひとつカラオケのレパートリーが増えた。
ケーブルカーで中腹まで行くことはできるが、乗らずに登山コースを進むのがマイウェイ。いくつかあるコースの中でおすすめは、この6号路コースだ。狭い崖淵の登山道はスリリング満点。
男なら3.3kmを90分かけて自分の足で登るべし。
原生林に近い森林の中ではほとんど音がない。アニ立ちしながら大自然と心の会話を楽しむ。
このコースの最大の魅力は山頂近くで楽しめる高尾山の湧水が流れる沢登りだ。せせらぎの音を聞きながら上を見上げる。山頂はあともうすぐだ。
登りやすいように飛び石の上を歩けるが、ゴアテックスで完全防水のダナーなら沢の中を歩ける。アウトドアブーツは、やはり大自然で履いてこそ味が出るのだ。
最後の難関である200段の階段をひたすら登りきれば山頂だ。あともう少しフォルツア(がんばれ!)俺。
山頂からの絶景に今までの疲れが吹っ飛ぶ。冬は特に富士山が美しく見えるのだ。
さてさて腹ペコだし、やはり山頂でルービーを飲みたいってことで昭和な食事処の「やまびこ茶屋」へ。手書きの看板もいい感じ。さすが創業昭和20年の老舗だけある。
おそらく何代目かの新しめの食品サンプルも悪くない。
なかなか美しいミルクの浮きっぷりに、うっとり。
これこれ。俺が山頂で食べたかったのはクラシックで王道なカレーライス。
最高すぎる~。マジで美味すぎるぞ山ルービー! 気絶&気絶。
最初のつまみはおでん。普通のおでんだが、ここで食べると妙に美味いのだ。
高尾山名物の大和芋を皮ごとすっているとろろそば。
他に有名な老舗蕎麦屋もあるが、やはり山頂の味は別物なのだ。
俺のおすすめはこの特製カレーライス。何が特製かというとなんでもない昭和なカレーライスってとこが特製なのだ。ステンレスの皿もグッとくる。
マジで美味すぎる!!本当になんの特徴もないのだが、逆にそれが妙に美味い。子供の頃、林間学校やキャンプで食べた懐かしの味なのだ。やはりキングオブ山メシは昔ながらのカレーライスしかない。
あまりに美味いので店主の方に聞いてみると、なんと4種類のルーをブレンドしてじっくり煮込んでから一晩寝かして出しているとのこと。これは翌日の残ったカレーが妙に美味い理論ではないか。おそるべしこだわり。
下山途中に高尾山薬王院にお参りをする。古くから修験道の霊山とされた高尾山は1200年前にこの寺院が作られたことにより開山した。しかし登るだけでも大変なこんな山の上に寺院を作ってしまうなんて、本当に昔の日本人リスペクトだ。
高尾山薬王院は寺院なのだが、この本社は神社なので鳥居がある。寺院の中に神社がある神仏分離以前の名残を味わえるのもここの魅力。明治維新の前は神道と仏教が混在していたのだ。
下山した後は京王線高尾山口駅に直結した温泉で疲れを癒す。澄んだ空気の中での露天で極楽極楽。
温泉上がりに飲むレモンサワー最高ってことで、いかがだったでしょうか?今回のお気軽登山散歩。ここが東京都とは信じられない大自然を満喫できるアニ散歩登山篇。ぜひ今度の週末に都会からエスケイプして山頂を目指してみては。
パタゴニアのベビーレトロカーディガン。絶妙な発色のグリーンはビアンキとゾックを感じさせる。ブランドネームが控えめなのもいい。1990年頃の再生フリースを使用する前のモデルで今では貴重なMADE IN USAだ。根気よく探せば古着屋で比較的程度がいいものに出会える。
Photo & Text:Eiji Katano
\\\ 2018年11月23日アニクルーズ開催決定!!! ///
アニクルーズ11/23(金)祝日出航
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今回のアニキおすすめの店
「やまびこ茶屋」
東京都八王子市高尾町2176
042-661-3881
https://tabelog.com/tokyo/A1329/A132905/13042679/
営業時間 10:00~15:00
定休日 不定休
プロフィール
片野英児(かたのえいじ)
1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない47歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島とイタリア。プロレスに行くと、なぜかマスクをかぶって観戦したくなってしまう。