ベビー・カシミアが、どんだけスゴいのか体感したくて…
さて、2016年のトリとなる第29回めは、ロロ・ピアーナのベビー・カシミア。また、ロロ・ピアーナ? そう。またまたカシミア? いや、ちょっと違います、ベビー・カシミアです。カシミアの虜になってしまったのなら、もうワンステップ上を目指したくなるのが、ヒトの業。欲の赴くままに、ベビー・カシミアってヤツを試してみたくなったんです。
ちょっと真似して 説明しよう!(©仮面ライダー)ベビー・カシミアというのは、ヒルカス子山羊の下毛から 一生のうちに たった一度だけ、生後3カ月から1歳までの間に採れる、非常に稀少な高級繊維。その直径は平均約13~13.5ミクロン(上質なカシミアでも14.5ミクロン)なので、繊維がとにかく細くてメチャクチャ柔らかいのだ。しかも、一頭から採れるのは80gほどで、外側の粗い毛を取り除くと、使用できる量はわずか30~40g! 一着のプルオーバーを作るには 約19頭分が必要なので、目が飛び出るくらい超高額なのであ〜る。
初めて購入できたのは、アメリカのセール。最終の投げ売り状態だったのを救出する感じで入手しました。このハイネックのボーダー、実はウィメンズで、奥様へのお土産を探している際に出逢ったんですが、そこはアメリカ。サイズが大きく、僕でも全然OKだったので、気がつきゃ 自分へのお土産になってましたとさ(笑)。
ちなみに、掴んだ瞬間 その柔らかさに悶絶。ロロ・ピアーナのカシミアの柔らかさについては既に知っていましたが、それを軽く凌駕する尋常じゃない柔らかさで…。なんじゃ、こりゃあ〜(©ジーパン)と驚き、気づいたらレジでカードを差し出していました。OFF率もハンパなく破格でしたから、恒例のダイブはせず。
ロロ・ピアーナってカシミア ニットでも充分にポッカポカと温かいんですが、ベビー・カシミアだと まるでフワッフワな毛布に包まれているようで、気づくとウトウト。なんだかとっても眠いんだ…、パトラッシュ…。ムニャムニャ……
おっと、間もなく年越しだってのに 眠ってるワケにはいかないので、話をクルリンパと戻すと、一度その味を覚えたら、ズブズブになる程なんですよ。アレを覚えたサルか、アレを覚えたキヨかのように。第2の脳でもある皮膚が求めてしまうから…。ってなわけで、とにかく使いやすいグレーのクルーネック、ネイビーのショールカラー プルオーバー、そしてペールピンクのクルーネックとVネックという風に清水ダイブを繰り返しては、コツコツと増やしていきました。
となると、いつのまにやら マッポの手先(©二代目麻宮サキ a.k.a スケバン刑事)… ではなく、気がつきゃ、5着。一着あたり約19頭必要なので、5着ってことは…、子山羊が一匹、子山羊が二匹、子山羊が三匹、子山羊が四匹……、ムニャムニャ…Zzz。
……
ごめんなさい。今宵は 欲が赴くまま このままベビー・カシミアに包まれて眠ることにします。おやすみ、ママ。
Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。