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FOOD 坪内浩の酒とお洒落と男と女

ウェルドレッサー坪内浩がこっそり教える「氷なしハイボール」のうまい店

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緊張感を持ちながらリラックスをするのが、紳士のたしなみ

 

新谷さん:ウイスキーと炭酸のバランスがいいんだと思います。氷があるとその分、薄くもなってしまいますし。

坪内さん:加減が絶妙なんだよね。熟練された感覚で決まるんですよ。

FORZA:このハイボールを味わえるのは、ここのお店だけなんですか?

坪内さん:系列店があったと思いますよ。全国に14店舗くらいあったような気がします。

FORZA:そうなんですね。マスター、最初はどこからスタートしたんですか?

新谷さん:神戸ですね。2018年で100周年になります。その100周年を記念してパーティーをするんですけど、そこに向けて全店でこういう元々使っていた、オリジナルのコースターを使って盛り上げていこうってなっています。

坪内さん:100周年! 銀座でこうやって気軽に飲めるお店って、今のご時世なかなかないですよね。

新谷さん:そうですね。「サロン デュ クール」とか古き良きお店がたくさんありましたけど、今はもうなくなっちゃいましたね。全部似たようなお店しか残っていないです。

FORZA:そうなんですか。実は、スタンディングのバーには初めてきました。

©gettyimages

新谷さん:そもそもバーはスタンディングが最初なんですよ。座るようになったのは後からなんです。

FORZA:それは知らなかったです。昔のお客さんはずっと立ち飲みをしていたんですね。ところで、そもそもバーの発祥の地はどこなんですか?

新谷さん:バーの起源はアメリカだと言われています。日本では横浜か神戸で生まれたとされているんです。1900年当時は、焼酎しか出していなかったんですよ。日本酒も高価な時代だったのでスコッチウイスキーを飲む人はとても珍しかったんだと思いますよ。当時のスコッチの値段は、今の超高級ワインの値段に匹敵くらいするかと思います。

坪内さん:いろいろ勉強になりますよね。今なかなかこうやっていろいろ教えてくれる人も少なくなりましたよ。ネットで調べればすぐ出てくるけど、やっぱり対話したほうがよりリアルな話が聞けますよね。こういうお店って、すごく緊張感がある空間だけど、その中でお酒を飲みながらリラックスできるその落差がいいんですよ。だから、ふらっとも寄れると思うし。ここはそういうホスピタリティがちゃんとなっているんですよね。

新谷さん:今は緊張感のないスタッフが多いんですよ。バーテンダーがカウンターに手をおいて立っていますし。やっぱり、スタッフにしっかりとした緊張感があることでお客様もリラックスできると思っています。

FORZA:お客様とはあまり話されないんですか?

新谷さん:話しかけられたらお話しする程度です。基本的に昔は「お客様には話しかけるな」と教えられましたので。たまにすきを見て一人のお客様とかには話しかけたりしてますけどね(笑)。

……と、言いながらグラスをシュッとスライドさせる。

FORZA:うぉ~。 かっこいい!

新谷さん:ありがとうございます。何十年もやっていますので。

FORZA:サンボアさんのハイボールは、雑味がなくて本当に美味しいですね。……そろそろ気絶しそうです。

新谷さん:(無視して)昔は氷入りのハイボールはなかったんです。そもそも、氷は木製の冷蔵庫の中の食材を冷やすために入れておくもので、飲み物に入れて口に入れるという概念がなかったんですよ。値段も高かったので。だから昔は、ウィスキーもストレートかソーダ割りでしか飲まなかったんです。ロックや水割りはなかったんですよ……。

FORZA:氷ってそんなに貴重だったんですか?

新谷さん:それは……。

今回はここまで! 後編では、さらにトークが熱くなり古き良き時代をさかのぼりながら、「今の若者に物申す」展開がやってきます。次回に乞うご期待です。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Naoki Fujita

Edit:栗原P

【撮影協力】
サンボア 銀座店 (SAMBOA BAR)
東京都中央区銀座5-4-7 銀座サワモトビル B1F
03-5568-6155
http://www.samboa.co.jp/index.html

坪内 浩 (Hiroshi Tsubouchi)
マグナムの創立メンバーであり、世界的有名なシューズデザイナー。自身のブランド、ヒロシ ツボウチとWH(ダブルエイチ)のデザインを手掛ける。ファッション業界では知らぬ人はいないウェルドレッサーとしても有名。自身の美学に基づいた流行を追わない個性スタイリングからも目が離せない。

 

 



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