パッと見はだらしないけど、キメるとこキメるオトコになれる気がして
さて、第22回めは「シャルベ(Charvet)」のシャツ&ネクタイです。第3回で書きましたが、「皮膚は第2の脳」と言われているので、肌に直接触れるシャツなどは可能な限り上質なものを身につけようと心掛けており、フライ以外には、大統領や王室関係者にも愛用者が多いシャルベをよく買っています。
もともとは、ルパン3世が、シャルベのシャツを着て、ジャケットはサビル・ロウのヘンリー プール(Henry Poole)でオーダー、カンタス・マーラ(Kountess Mara)の最高級シルクのネクタイを締めてるなんて聞いたものだから、完全に感化されてしまったってわけで。
探偵物語の工藤ちゃんや、ルパン3世のように、パッと見は だらしないんだけど、キメるとこキメるキャラが好き。勧善懲悪のスーパーヒーローだとキラキラ眩しすぎて、見てられないんです(笑)。
そんなこんなで、憧れてはすぐに影響されて、格好も真似しちゃうんですよねぇ。赤シャツ着たり、丸目のサングラスかけたり、アフロにはしなかったけど…。でも、最終回、復讐の際に被ってたレインハットは探したっけか。
話をクルリンパとルパン3世に戻しまして。たださすがに、ヘンリー プールでオーダーしたり、カンタス・マーラの最高級シルクネクタイを1回締めたら破棄しちゃうなんてのは無理なので、まずはシャルベのシャツを頑張って買ってみることから始めたわけです。
最初は勇んで、日本橋・三越のシャルベに伺ったんですが、まったくサイズが合わず…。ネックサイズで合わせると凧みたいに大きい。「ちょっと緩いッス」と伝えてみても、「シャルベのシャツはそういうものだ」と言われるので、まったく折り合いがつかず。とはいえ、いろいろご相談には乗っていただいたので、金糸が入ったラバーのカフリンクだけ購入し、クルリンパと踵を返して帰宅することに。
そして月日は流れ、ユナイテッドアローズが別注しているものに出逢ったので再トライ。かつてのシルエットとはだいぶ変更されているようで、僕のワガママこじらせボディにもフィットしたため、見事購入へと相成りました。
シャルベのシャツって、裾がスクエアになっている独特なディテールと、ネクタイを締めずとも美しい襟の形が、何ともたまらない。
とはいえ、シャツを買ったら、ネクタイも欲しくなるのが世の常。前回紹介したアットリーニのスーツや、グレースーツにもハマりそうな、グレーだけどパリの石畳を思い起こさせる独特な柄に惹かれて、ついつい清水ダイブ(笑)。こうして、シャツとネクタイのバリエーションがドンドコ増えていくことになりましたとさ…。
普段ネクタイをしないので、結ぶのがあまり上手ではないんですが、シャルベのネクタイって不思議とキレイに結べて、褒められることが多い。これまた、編集長・干場とお揃いのエルメスのネクタイとかも持ってるんですが、自然とシャルベの使用頻度があがり、見て見てオーラ丸出しで歩いている可能性大。40歳でネクタイ上手に結べるなんて、到って普通なのにね。
なので、もしネクタイ姿の僕を見かけても、ただ微笑むだけの優しさで、そっとしておいてあげてください。
Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。