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養老孟司も絶賛!【ファッショニスタな昆虫たち】 0.000 001の世界

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葉虫の世界は芸術作品であふれていた

やっぱり昆虫の世界はとにかく、オシャレで洗練されている! 小檜山先生自身も「常々、テキスタイルに使えそうな色や柄が多く存在する」とのこと。そんな「葉虫」の中から選りすぐり、ファッション性を感じさせる7頭を、小檜山先生の一言コメントとともにご紹介します。

サイケデリックな色彩と輝き!!

「ハムシの独創的な美しさを実感。」

体長は1㎝にも満たないハムシですが、存在感抜群のサイケデリックカラーに陶酔してしまいます。複数の色がマーブル状に絡み合ったタイダイ染めのような美しさです。

この世のものと思えない質感!

「生物とは思えないような色、形、質感。」

 

グンジョウオオコブハムシ(拡大図表示)

ずっと見てるとくらくらしてきそうなコブハムシ。生まれて今まで、たくさんの青を見てきたけど、こんな群青色初めて見ました。拡大すると表面に細やかなシワが刻まれており、夏物の衣服に使われる楊柳生地のような質感になっています。

翅の透け感や盾のようなフォルムがかっこいい!

このスケルトン具合、2017SSのコレクションで見たような。ヴィトンやギャルソンが、展開しているスケルトンコートを彷彿させる……。

「簡素で素晴らしい模様」。手書き風の赤丸がなんともキュート。

「透明度が高く、円に近い翅形」

 

この仲間には翅の下で子供たちを守り、育てる種がいるとか。

「和名の通り。カメノコハムシとしては大型。」

 

深みのある青緑に真っ赤な斑点があしらわれたカメノコハムシは、体長約2㎝程度。銅像やブロンズ像のような鈍い輝きがかっこいい!

人間の想像を超えるトゲ&ツノ使い!

これぞトゲハムシ。見よ、このトゲを。これでもかと言うほどのギザギザ。

次の写真は、まるで「宇宙船からインスパイアされました」とでも言いそうな不可解かつ、堂々とした姿。恐れ入ります。どちらも気高い!

「うーむ! 自然は不思議だ。」奇抜なファッションやステージ衣装、演出で知られるレディ・ガガが元ネタにしそうなエッジの効いたフォルム、いかがでしょうか。

「今度はこのハリネズミトゲハムシの正面からの写真を、左胸に大きく刺しゅうしたポロシャツを作ろうと思ってるんだ(小檜山先生)」

 

 

虫を考える

地球上に棲んでいる昆虫の種数については、様々な意見がある。1千万種を中心に、数百万種から1億種までその範囲はあまりにも広い。つまり、余りにも多くてよくわからないというのが本当のところなのだろう。名前が付いているのが約百万種で、毎年三千種ぐらいが新種記載されているという。新しく種が生まれたわけではなく(多分生まれていない)未知の種が発見されているのだ。(ちなみに人類は種のレベルでいえば、一種である。)そして、その生態/形/色などは実に多様である。昆虫が生き残った理由はこの多様性にあるといって良い。つまり、大きな環境変化が生じた際、それを克服して生き残る確率が高くなるのである。こんな昆虫と付き合っていると人間のわかっていることなどほんの一部であることがわかる。われわれは、自分中心に世界を見ているのだが、遙かに大きな自然空間が存在している。養老孟司のいう、「都会は、ああすればこうなる社会」と180度異なる世界が、我々の周りにも存在する。ああすればこうなるだけの社会は怖い。なぜなら、そこでは多様性が欠如しているからである。21世紀は、自然環境と人工環境を今までとは異なった思想で再構築する時代だと思っている。リアルを代表する自然とネットなどヴァーチャルが強い人工環境を結びつける時代といっても良いかもしれない。大震災など、日本の自然環境は厳しい。実態は大変なのだが、長期的に見ると「自然環境と人工環境を今までとは異なった思想で再構築する」良い機会だととらえることもできるのではないか。自然環境は複雑だ、自然との調和には多様な対応が必要である。「ああしても、こうならない」のである。さて、この昆虫たち、人間世界では思いも付かないようなこの多様な形態/色彩をしている。しかし、この多様な形態/色彩は一億年以上の歴史の上にいるのだということを忘れてはならない。つまり、人間から見てどんなに奇抜でも、人間が地球上に出現する遙か以前から、環境変化や生存競争にさらされる中で、生き残ったデザインなのである。好き嫌いはともかくそんな虫を見て、その形に驚き、美を感じるのは、1億年以上の歴史の中で完成されたデザインなのだからだろう/小檜山賢二

Text:Wakako Matsukura

【小檜山賢二】
慶応義塾大学 名誉教授。1942年東京生まれ。67年慶応義塾大学工学部電気工学科修士課程修了。同年、日本電信電話公社入社。電気通信研究所において、デジタル無線通信方式の研究に従事。「ゾウムシやカブトムシ、蝶やハンミョウなど、知られてはいないけどユニークで素晴らしい昆虫はたくさんいるからね」。http://www.stulab.jp/

 



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