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LIFESTYLE 東京独身レポート

Vol.22 フィギュアスケート、村主章枝。
ジェンダーレスを公表した、氷の女王の壮大な人生・恋愛観

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村主章枝さんの結婚願望は?

村主:結婚願望は、あまりないですね。仕事で達成したいことへの想いが強すぎて、どうしても仕事を優先してしまうので、別に結婚という形式にこだわらなくても、「生涯のパートナーが見つかれば良いな」くらいにしか考えていないんです。

西内:仕事がそれほどに面白い、ということですよね。

村主:本当に面白いです。深い。あまりにも面白すぎて、熱意が一時も途切れることがないです。常に振り付けをする上でも、クラシックとミュージカルでは違う発見がありますし、また教える生徒のレベルによっても自分が学べることが違うので、あまりにも深くて楽しいんですよね。

西内:そこまで熱意を燃やし続けられるだなんて、本当に素晴らしいですし羨ましいです。ただ、ふと「なんでこんなに頑張ってるんだろう、どうでもいいかも」と思う瞬間ってないですか?

村主:ないですね(笑)。「どうでもいい」なんて思える性格じゃないんですよ。とにかく目標が常に上にあるので、そんなことを考えている暇がないんですよね。それに私は自分に特殊な能力があると思っていないので、とにかく目標達成のためには頭を使い努力をしなければならない。そうなると、常に努力し続けなければならないですし、そうやって目標を目指す過程も、達成することも楽しすぎて、「どうでもいい」だなんて考える余地はないですね。

西内:たしかに、それほどまでに目標が明確ならば、恋愛をするモードにもならないですよね。ただ、私の周囲のアラサー女子たちは、仕事を頑張っていても、どこかで「男性に頼りたい」という気持があったりして、仕事に身が入らないことも多い子が多いんです。村主さんは「男性に頼りたいな」と思うことってないんですか?

真の孤独を教えてくれた、スケート

村主:うーん...。頼りたいという気持はなくはないですけど、「頼っても何もならない」ですからね。これは、スケート人生で身を持って感じてきました。

西内:「頼っても何もならない」といいますと?

村主:スケートって、助けてくれる人はいるし、サポートしてくれる人はいるけど、いざ試合本番になり「ガチャン」と扉を閉められたら、氷上に一人なんです。つまり、「最後の最後は自分一人で解決するしかない。人は助けてくれるけど、 最後まで頼れる存在ではない。最後は孤独の中で、 自分一人で戦い抜くものだ」...そういうことを、スケートを通して思い知ってきたんです。

西内:深いです。それは人生にも同じことが言えますよね。人は助けてはくれるけれど、最後の最後は自分一人で解決しなければならない。人は一人で死ななければならないですし、いくら男の人に頼ることはできても、最終的には悩みを解決できるのは自分しかいないですもんね。

村主:そうですね。なので、スケートをもって、真の孤独を知ったというのが私の人生にとってすごく大きいことだと思います。なので、「男の人に頼れる」とか、「男の人に助けてもらえる」という期待は、あまりないんです。

西内:ちなみに、6歳の頃からスケートを始められ、その頃からすでに「ガチャン」と扉を閉められ氷上で孤独に戦うことをされてきた村主さんは、小さいころはどんなお子さんだったんですか?

村主章枝さんの子供時代

村主:とにかく、天真爛漫破天荒!この言葉に尽きます(笑)。もともとはアラスカに住んでいてそこで少しスケートをしていたのですが、日本に帰った際に両親が「英語は忘れてしまうと思うけれど、スケートは体で覚えているものだからずっと続けてほしい」と、日本でもスケートを習わせてくれたんです。

西内:ご両親の教育はどのようなものだったんですか?

村主:とにかく厳しかったです。礼儀作法についてもそうですし、 また、スケートで褒められたことは一度もないです。

西内:大きな大会で優勝しまくっても、ですか!?

厳しかった両親の教育

村主:はい。「優勝できたのも皆さんにお世話になったからこそ。よかったわね」くらいしか言われたことがありません(笑)。

西内:「うちの子スゴイ!」と、ご両親が周囲に自慢しまくったり...なんてこともなかったんですか?

村主:ありえないですね(笑)。両親がそういう感じだったからこそ、私も淡々と優勝して、淡々と結果を受け止め、一度も調子に乗ることもなく、自分自身をスゴイと思うこともなく、上を目指し続けられたのだと思います。

西内:淡々と優勝(笑)。では、ご自身を「天才」と思われたこともないんですか?

「自分は『天才』ではない」

村主:まったくないですね。本当に、上には上がいるので。それに、両親にはとにかく「できてもできなくても、とにかく何でも一生懸命やりなさい」と教えられていたんです。なので、 とにかく常に目の前のことに一生懸命でした。

西内:村主さんの演技力や表現力は、そのご両親の教育にも秘訣があったんですね。村主さんの演技は、当たり前ですが「こうしたら観客は喜ぶんでしょう?」という上から目線ではなく、常に一生懸命に演技に向い「どうかお客様に想いをと届けたい」という真摯さが伝わって来るからこそ、引き込まれ、感動してしまいます。

小手先のテクニックでは、意味がない

村主:そうですね。小手先のテクニックである程度の演技をしても、お客様はもちろん、まず自分がつまらない想いをするだけですから。同じことをして、合格点を取れば良いというのは楽なのかもしれませんが、それだと結局は自分が飽きてしまうし、その結果お客様にも感動してもらえなくなってしまうと思います。いくら技術があったとしても小手先でやっていれば見破られますし、それではお客様の心には響かないですよね。それは、どんな仕事にも言えることだと思います。

西内:お客様に真摯に問い続ける、これこそが芸術の真髄なのかもしれませんね。また、村主さんは以前「プロフェッショナルとは社会貢献である」とおっしゃっていましたが、いまでも社会貢献はご自身の人生のキーワードとしてあるのでしょうか?

村主:そうですね。やっぱり、人のためになっていると実感できるときこそが、「生きててよかった」と思う瞬間なので。

西内:ちなみに、村主さんのinstagramでジェンダーレスのことについて投稿された際、大きな反響があり、「自分がジェンダーレスであることに悩んでいたが勇気をもらった」という方も多くいらっしゃいましたよね。それもまた、村主さんの社会貢献の一種なのでしょうか。

ジェンダーレスの告白が、人々の支えに

村主:それについては、そんなに深くは考えていなかったです(笑)。ただ、ジェンダーレスについて悩んでいる人が想像以上に多くいらっしゃり、勇気をもらったと言っていただけたのは、結果として良かったなと思っています。

西内:では、村主さんが思う理想のパートナーとはどのような人でしょうか?

村主:やはり、互いに良い影響を与えあって、成長しあえる関係を築ける人ですね。

西内:でも...村主さんほどアグレッシブで向上心のある女性を満足させられるパートナーってなかなかいないのではないでしょう か(笑)!?

実は、少女漫画が大好き!

村主:いえいえ、私、仕事以外では普通ですよ! 普通に飲みにも行きますし、普通に少女漫画も大好きですし... (笑)。ああいう少女漫画の「ありえない世界」に憧れるんです。白馬にのった王子様とか。好きな漫画は、「ONE PIECE」、「セーラームーン」、「今日、恋をはじめます」、「アオハライド」、「高台家の人々」、「オオカミ少女と黒王子」です。

西内:本当に漫画がお好きなんですね! でも、私からしたら、白馬にのった王子様よりも、スケートでの村主さんの偉業の方が「ありえない世界」ですけど...(笑)。

村主:いえいえ、外から見ればそう見えるのかもしれませんが、スケートは努力と頭の使い方によってある程度先が分かりますが、白馬にのった王子様は、私がいくら努力しても現れるものじゃないですから(笑)。その意味で、やはり少女漫画への憧れは強いです。 漫画家さんや声優さんにお友達がいないので、ぜひお近づきになりたいですね。なので今日は講談社さんにきて、漫画編集部がここにあるのかと思うとドキドキしているんです!

西内:少女漫画にも全力投球な村主さん...! そんな村主さんは、いつでも人生を謳歌されていると思うのですが、個人的な質問なのですが、村主さんって一体、何のために生きているんですか?

何者かに使命を与えられている人生

村主:難しい質問ですね(笑)。生きている意味を探すために生きてるんじゃないですかね? ただ、「何者かに使命を与えられて、それを成すために生かされているんだろうな」と感じることは多々あります。見えざるものに動かされているというか。もしかしたら、これほどまでに頑張っているのも、私の意志の及ばないところで頑張らされているんじゃないかと感じることもあります。現状に満足できない宿命に生まれたのだ ろうなと。

西内:具体的に、そう感じざるを得ないような体験があったんですか?

村主:そうですね。例えばオリンピックで表彰台に立てず悔しい想いをしたのですが、その時に表彰台に立てていたら満足してしまいスケートを続けていなかったかもしれないと思うんです。ただ、その時負けたからこそ、あまりにも悔しくて「絶対に続ける」という信念が生まれました。そして、その経験があったからこそ今がある。そういう経験からも、「私の人生は、何者かに与えられた使命を全うするためにあるのだろうな」と思うようになりました。ただ、 使命を受けているというのは本当に幸せなことだと思うので、その使命を全うするために私は頑張るのみですね。

西内:「頑張り続けざるを得ない星の下に生まれた」ということですね。

村主:そう思います(笑)。「あなたは、そういう星の下に生まれている」と本当によく言われるんですよ。なので、私は一生アリさんなんだと思います。働きアリですね。幸せなことです。もちろん「なんでこんな試練ばっかりなんだよ!」と辛くなることもありますが、そういう試練があるということは、何かしら与えられた使命があることだと思うので、幸せだなと思いますね。

西内:ちなみに、宿命や運命って決まっていると思いますか?

「宿命の範囲」は決まっている!?
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