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一匹狼宣言 Vol.12「シン・ゴジラと初音ミクがガラパゴス日本を救う」高橋龍太郎

2016.9.13
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2016.9.13

―天皇は神ではなく、人間である―

9月2日は写真日和になった。東京都写真美術館改装後のリニュアルオープニングは杉本博司の「ロスト・ヒューマン」展、MEMでは、森村泰昌による「『私』の創世記」展が開かれた。杉本博司は2014年パレ・ド・トーキョーで開かれた「今日、世界が死んだ」に、経済的事情から廃墟と化したアメリカの劇場を舞台にした新たな写真シリーズ「廃墟劇場」が加わり話題だ。

私のほうは診察の都合で、原美術館の篠山紀信展「快楽の館」に駆けつけるのが精一杯だったが、菊池成孔のソロ演奏もあり、大盛況だった。とにかく、美術館の庭園も含めて全スペースを使い撮影をされて、展示された女体30人。ド迫力の上、快楽の館に相応しいエロスに満ち溢れたヌード。

篠山紀信「快楽の館」2016 年 ⓒKishin Shinoyama 2016

紀信さんは「僕だってやればできるでしょ」とジョークを飛ばして上機嫌。わけても壇蜜を使ったポールデルヴォーを思わせる大きな作品は篠山さんの代表作になりそう。同時期に原宿のアートスペースAMでは荒木経惟展、国立近美のトーマス・ルフ展。

本当に日本は写真天国だ。これだけの作家達と同時代に生きている喜びをかみしめるべきだろう。

オリンピックの喧騒にまぎれてしまったが、天皇の生前退位の問題が重くのしかかる。近着の週刊現代などは早速昭和天皇がなくなられた昭和64年と今年の生前退位問題を結びつけて暗い時代到来とやっているが、アホかと思う。何故アホなのかは、これからの文章で明らかになるのでお読み頂きたい。

今上天皇の懇切丁寧で、理を尽くしたお言葉を頂いても、多くの保守派が摂政をおかれたらどうだろうかとか、公務を減らし御存位下さるだけで、私たちは崇拝申し上げますとか、今上天皇維持のため論陣をはっている。

今上天皇が体力が衰えて、象徴として全国津々浦々を訪れ、国民の痛みを共有することができなくなったから退位したいと国民に伝えている本意を誰も知ろうとはしてないように思える。天皇はもし自分が天皇のまま在位し、自らの死を迎えたとしたらどうなるのかと、長々と記述されている。

「更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません」
と延々自らの死について語っていらっしゃる。これはなんのためか。リベラル派のマスメディアはこれは皇太子や皇太子妃雅子様への気遣いだと、暢気な想像をしているが、わざわざ家族への心配だけを理由にこんなことを書かれるだろうか。

天皇陛下は何より、東京オリンピックと自らの死期が重なったときのことを心配されているのだ。摂政を置けばいいという。これまた暢気な保守派は、オリンピック期間に天皇が亡くなられたらどうするのか。

オリンピックは世界最大のエンタテインメントである。天皇が亡くなられたから歌舞演曲一切禁止と東京オリンピックを返上するのかどうか。返上しないまでも開会式の派手な演出はさけるのだろうか。

天皇が生前退位をしていれば、天皇そのものの葬儀ではないので、規模も内容も、相当に簡単なものにできるだろうし、オリンピック期間中でもそれを中止しないで済むであろう。

今上天皇は徹底した合理主義者である。これは明るい未来に向かう賢明な選択である。週刊現代がいうような暗い未来を予感させる話でもなんでもない。

「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。」「こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。」

今そのような象徴的行為ができなくなる以上退位すべきだと極めて合理的に判断されている。天皇の役割は機能的なでものであり、象徴という存在は信仰によってなされるものでなく行動で保障されるべきであると、天皇はここに第2の人間宣言をしている。私は神として象徴的地位にいるのではなくて、出来る限りの振る舞いを通じて至高の道徳者に近づくことで象徴たりえている、病弱でそれができないなら退位すべきだとお考えだ。

そこにあるのは職業人としての天皇の矜持である。
この天皇のお考えは間然として欠けるところがない。私も天皇を神に近づける明治以降の天皇制は反対だが、このような合理的な天皇に自らの聖的な部分を預けることができるとしたら天皇制を受け入れたいと思う。

保守派は今一度オリンピックの期間中に今上天皇が亡くなられたときの大混乱を想像するがいい。そしてその混乱が現代国家としての世界に与えるネガティブな影響を考えるべきだ。天皇制はもっと合理的なものになるべきだ。

さて、そのオリンピックだが、リオデジャネイロオリンピックの閉会式の日本ショーの演出は見事だった。Perfumeの斬新な舞台演出を手がけるライゾマテックス真鍋大度、Perfume、初音ミクの作詞作曲を手がける中田ヤスタカ、ダンス振付MIKIKO、椎名林檎、蜷川マキコ。日本の若手の才能が結集していて、新鮮な風が吹いていた。是非この延長線上で東京オリンピックの開会式をやってもらいたい。

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