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FASHION

“隠居系”山田恒太郎の
僕が捨てなかった服
第3回 「マニファットゥーレ・クラヴァッテ」のネクタイ

2016.9.13
2016.9.13

選んだのは、モノトーンのウールタイだけ

本題に入る前に、1つ訂正があります。【連載】第1回、「A.カラチェーニ」のスーツをオーダーした際に、本来3回の仮縫いを2回で済ませたと書きましたが、オーダー時のメモを読み返していて、1回目と2回目は同じ日の朝と夕方にやっていたことに気づきました。なので仮縫いは、やはり3回でした。1回減らすような適当なことはしないということですね。失礼しました。

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるのではないでしょうか。この連載では、本当に良い服、永く愛用できる服とは何かについての、僕なりの考えをお伝えしていきます。そして同時に、皆さんがワードローブを充実させ、各々のスタイルを構築するうえで、少しでもお役に立つことができれば嬉しい限りです。

さて、今回はネクタイです。冒頭の写真はイタリア、フィレンツェの「マニファットゥーレ・クラヴァッテ」のウールタイ。ユナイテッドアローズの別注品です。写真ではほとんど黒にしか見えないと思いますが、ほんの少し青みがかった、“墨紺(すみこん)”と呼ばれるような色です。

で、このタイの話をする前に、すぐ上の写真について先に書きます。「エトロ」のウールタイで、こちらは見た目どおり、チャコールグレーです。僕が最初に買った本格的なイタリアンクラシックのスーツは、今から約20年前、当時ナポリの「サルトリア・アットリーニ」のセカンドラインという位置づけだった「サルトリオ」のものでした。チャコールグレーの秋冬物で、やや厚手のヘリンボーンの織り柄が入ったもの。「エトロ」のタイは、このスーツに合わせるために、一緒に買ったわけです。

次にミラノの「M.バルデッリ」というセレクトショップで、チャコールグレーの厚手のカシミアタイを買い足しました。その後、スーツは「サルトリア・アットリーニ」を中心に、グレー無地の微妙な色、デザイン違いで増やしていったんですが、それに合わせて、無地のチャコールからミディアムグレーまでのウールタイだけを、20本近く買いました。それだけ同じようなものを揃えたなかで、最終的に使用頻度が一番高かったのが、冒頭の「マニファットゥーレ・クラヴァッテ」のものだったんです。

2本のタイは、ともに大剣(垂らした太いほうです)のいちばん太いところは9センチです。でも「マニファットゥーレ・クラヴァッテ」のものは、ノット(結び目)辺りでは1センチ以上太くなっています。さらに厚みもあって、ノットにボリュームを出しやすく、使い勝手が良かったということです。

スーツとシャツに本当に合う1本のタイを選ぶのって、結構難しいです。スーツスタイルの撮影時、僕はスーツの数に対して10倍近くのタイを用意していました。スーツ10着なら、タイはざっと100本ということですね。そのなかから1着に対して、ベストの1本を選び抜くわけです。

ベーシックなネイビーやグレーのスーツに合わせることを前提に、タイの揃え方の話をしましょう。例として、前回に続き『FORZA STYLE』かネット検索で、干場編集長のタイを見て下さい。たとえば こちら

ほとんどは“ネイビーの無地”ですよね。前回お話した、白とサックスブルーの無地のシャツ同様、これがいちばんシンプルに、スーツスタイルをカッコ良く見せるタイです。

色はスーツと同程度か、それより濃いものを選ぶと、コーディネイトは容易になります。まずは微妙な色違い、織りの違い、素材違いで、ネイビーの無地を何本か揃えるのをお勧めします。あまり馴染みが無いかもしれませんが、ウールタイって便利ですよ。光沢を排除して、いつもとは違うシックな雰囲気を簡単に作ることができます。それが揃ってから、ネイビーの“同系色だけの”柄物などに、少しずつ選択肢を広げていけば良いです。これだけで10本ぐらいにはなると思いますし、基本的なものはこれで充分です。

“スーツスタイル”でなく“ネクタイだけ”を人に褒められる場合は、たいていコーディネイトとしては失敗しています。タイで目立とうという考えは捨てたほうが良いです。女性の皆さんも、男性のカッコ良いスーツスタイルを望むなら、フランスやイタリアの一流ブランドだからとか、「コレ可愛い!」という理由だけでタイをプレゼントするのは、ぜひ避けて下さいね。

最後に、今さらですが、軽視されがちなタイの結び方について触れておきます。もう一度、干場さんの写真を見てみましょう。プレーンノット(一番シンプルな締め方です)で、綺麗にディンプル(結び目の下の窪み)を入れていますよね。これがお手本です。

スーツスタイルのコーディネイトでは、スタイリスト各々のアイデンティティが、このタイの結び目に現れます。上手いスタイリストの方だと、ココを見れば、名前を見なくても「あっ、これは○○さんだな」とすぐ分かりました。

僕が多用していたのは、プレーンノットかダブルノット(一回り大きな結び目になります)で、ディンプルは左右どちらかに少し寄せて、さらにノットのいちばん下をほんの少し外に広げて、カーブを描きながら大剣になだらかに繋げるというものでした。例えるなら、“女性の綺麗なウエストラインのような”という感じです(上の写真の結び目は、それとは違います)。

タイの結び方、ディンプルの作り方を何種類も使い分けられるのは、相当ハイレベルなファッション通の人だけだと思います。繰り返し練習して、1つだけを完璧にマスターして下さい。“魂はノットに宿る”のです。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Kotaro Yamada

山田恒太郎(改め“隠居系”)
1990年代後半から『BRUTUS』、『Esquire日本版』、『LEON』、『GQ Japan』などで、ファッションエディターとしてそこそこ頑張る。スタイリストとしては、元内閣総理大臣などを担当。本厄をとっくに過ぎた2012年以降、次々病魔に冒され、ついに転地療養のため神戸に転居。快方に向かうかと思われた今年(2016年)4月、内服薬の副作用で「鬱血性心不全」を発症。三途の川に片足突っ込むも、なんとかこっちの世界に生還。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」を痛感する、“隠居系”な日々。1964年生まれ。神戸市出身。

 

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