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FASHION

【連載】“隠居系”山田恒太郎の
僕が捨てなかった服
第2回 「サルトリア・イプシロン」のシャツ

2016.9.6
2016.9.6

シャツは白無地で良い。こだわりは生地とサイズに!

正直、「神戸メシ」以上に、堅苦しいスーツの話は興味を持たれないだろうと思っていました。ところが【連載】第1回、『FORZA STYLE』のページでもFacebookでも、本当にたくさんの方から「いいね!」をいただきました。なかにはファッション業界の超大御所の方もいらっしゃいました。そして何より嬉しかったのが、たぶん今まで僕の記事をご覧頂く機会が無かったであろう、多くの女性の皆さんから支持をいただいたことでした。感激のあまり、ちょっとウルウルきてしまいました。有り難うございました。

前回紹介したA.カラチェーニのマリオ・カラチェーニさんの写真を、僕のFacebookにアップしておきました。僕が実際にA.カラチェーニのスーツを着ている昔の写真もアップしてあります。アカウントをお持ちで、興味のある方はご覧ください。こちらから。

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるのではないでしょうか。この連載では、本当に良い服、永く愛用できる服とは何かについての、僕なりの考えをお伝えしていきます。そして同時に、皆さんがワードローブを充実させ、各々のスタイルを構築するうえで、少しでもお役に立つことができれば嬉しい限りです。

さて、今回は「Sartoria Ypsilon」(サルトリア・イプシロン)のシャツです。ローマのカラチェーニなどで修行され、当時、ミラノで店を構えていた船橋幸彦さんに作っていただいたものです。船橋さんは、今は東京で活動なさっていますので、興味のある方は検索してみてください。

オーダーしたのは2000年です。この時はスーツも一緒に作っていただきました。オーダーシャツの魅力はいろいろあります。そのなかには、色柄や襟、袖のデザインの選択などが含まれますが、僕はそこにはほとんど興味はありません。なにせ、白無地、襟はセミワイド、袖はごくごく普通のシングルカフしか選びませんので。

それよりも、僕がシャツをオーダーする際に注意を払うのが、サイズと生地の2点です。既製品のシャツはネックサイズを合わせて購入するわけですが、それがピッタリ合う体型の人はほとんどいないと思います。ジャケットの下で生地が余ってしまうと、着心地が悪いだけでなく、とくに夏物のスーツの場合など表にまで影響が出て、シルエットを崩してしまいます。

そして、とくに問題になるのが胸元。ここに弛みがあると、ジャケットのラペルとネクタイの間に大きな縦ジワができて、美観を損ねてしまいます。スーツスタイルの撮影時の話ですが、モデルが少し動くと、すぐここにシワが入ります。そのたびに「ちょっと入ります!」と撮影を止めて直していたんですが、その辺りを理解してくれないカメラマンには、すごく嫌そうな顔をされて、なかなか辛いものがありました。

次に生地選びです。このシャツはイタリア最高峰とされる「カルロ・リーヴァ」のものです。もしかすると世界最高峰かもしれません。“シャツ生地の宝石”と形容されることもあります。他にはイタリア、ナポリの「アンナ・マトゥッツォ」や「ボナマッサ」のオーダーシャツでも、「カルロ・リーヴァ」のものを着ていました。

雑誌などで、よく「シルクのような」という表現を目にすると思います。ちょっと安易に使われ過ぎている感もありますが、この生地は文字通りシルクのような手触り。しなやかで、ぬめり感があって、着ていても本当に気持ち良い。ただ難点は、すごく細い糸で織られていて、生地があまりにも薄いこと。50歳を過ぎたオッサンの胸元が透けていると周りに迷惑をかけるのではないかなど、色々と思案しています......。

さて、ここまで読んでいただいて、「オーダーシャツなんて興味ないよ」と仰る方も多いと思いますので、シャツの揃え方の話をしましょうか。先程も書いたように、僕はセミワイドの白無地しか着ません。ここまで偏る必要は無いと思いますので......。あぁ、良い見本になる方がいました。干場編集長です。

『FORZA STYLE』を見ていただいても、ネットで検索していただいても良いんですが、スーツスタイルの干場さんのシャツを見てください。ほとんどは襟がセミワイドで、無地の白かサックスブルーですよね? ドレスシャツはこのデザインで、この2色があれば充分です。トレンドカラーなんて関係ないですし、「シャツに色柄を取り入れてお洒落に」なんて考えないほうが良いです。

実際、干場さんのスーツスタイル、カッコ良いですよね? これは干場さんがハンサムだからということではなく、誰がやってもいちばんシンプルに、カッコ良く見えるコーディネイトなんです。僕はスーツのスタイリングをする時は、「サルトリア・アットリーニ」や「キートン」など、スーツが高級な時ほど、シンプルなコーディネイトを心がけていました。そのほうが、スーツの仕立ての良さがストレートに伝わるからです。

僕は自分のスーツスタイルを、「削いで、削いで、削ぎ尽くして」作り上げました。その結果、グレースーツ、セミワイドの白無地のシャツ、モノトーンの無地のウールタイに行き着きました。人には「いつも同じような格好しているね」とよく言われます。でも「So what?」って感じです。周りの人を不愉快にさせるのは問題ですが、そうでなければ徹底的に自分のスタイルを貫けば良いと思います。

以前、イタリアのサルト(仕立て職人)や最高級のスーツメーカー関係者に話を聞いた時に、皆が口を揃えて言っていたのが、「安いスーツを2着買うなら、高いスーツを1着買え」という事でした。服をいっぱい持っていたり、着まわし上手な人が、必ずしも「お洒落な人」とは限らないということです。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Kotaro Yamada

山田恒太郎(改め“隠居系”)
1990年代後半から『BRUTUS』、『Esquire日本版』、『LEON』、『GQ Japan』などで、ファッションエディターとしてそこそこ頑張る。スタイリストとしては、元内閣総理大臣などを担当。本厄をとっくに過ぎた2012年以降、次々病魔に冒され、ついに転地療養のため神戸に転居。快方に向かうかと思われた今年(2016年)4月、内服薬の副作用で「鬱血性心不全」を発症。三途の川に片足突っ込むも、なんとかこっちの世界に生還。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」を痛感する、“隠居系”な日々。1964年生まれ。神戸市出身。

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