人生を彩ってくれる、美しすぎる腕時計
ジュール・ベルヌというSF作家が1800年代にいた。彼の作品はいまやディズニーリゾートでもアトラクションになっている(ディズニーシーのミステリアスアイランドは小説「海底2万里」に登場するノーチラス号のネモ船長の秘密基地の設定で一部アトラクションのウェイトゾーンにはノーチラス号を意味する「N」がデザインされた施設が多々ある)。その彼の『海底2万里』。海底の冒険を描いた小説だが、もちろん描かれた当時には潜水艦というものはまだ実用化されていない。
潜水艦が実用化されるのに『海底2万里』が書かれてから20数年を要した。ノーチラス号は200年前、当時の人々が空想した未来ののりもの、そしてその科学的根拠に基づく空想はいまもなお実現化されていないこともまだある。まさにジャケ・ドローの「グラン・セコンド マリンクロノメーター」はこのノーチラス号そのもので、古き時代の人々が空想した美しき無骨な物体なのである。
さて、ケースからムーブメントに目を向けると、そこにはとても心地よいものが入っている。決して派手ではないが、70時間のパワーリザーブを備えつつ、28,800振動の安定したムーブメント。今ではシリコンパーツを利用したムーブメントも多い。ストラップは腕にした場合に余裕はなくしたぴったりタイプ。これによってスマートな印象を時計から受ける。
時代を超えて継承される、からくり時計の系譜
冒頭でお伝えした通り、「グラン・セコンド マリンクロノメーター」は今はもう購入できない。そこでオススメなのが「グラン・セコンド SW スティール」である。
これはステンレススティール製のスポーツタイプ。価格的にもお得であるが、何よりもそのデザインに特徴がある。
「グラン・セコンド マリンクロノメーター」が古きよき時代の人が空想した未来ならば、「グラン・セコンド SW スティール」はこれからの未来への願望。
世界はいろんな技術が革新されているが、時計の未来はそうそう変わらない。車のワイパーがいまだ変わらないように、時計が24時間をもとに構成されることや、大きさやシステムの大枠は変わらない。だからこそデザインを思いっきり「まじめに遊ぶ」という点がとても潔いモデルとなっているのだ。
ジャケ・ドローは古い歴史をもつブランドだ。オートマタのようなからくり時計はジャケ・ドローの十八番である。
しかし残念なことに近年まで歴史に埋もれていた。オメガ、ブレゲ、ブランパンを率いるスウォッチ・グループはそのジャケ・ドローを傘下にして新生させた。そのベーシックが「グラン・セコンド」であり、独特の世界観で我が道をいく。
ISHIDA表参道にはそのような独特なブランドを集めたコーナー「PASSON ZONE」がある。店舗の深層部にあるスペースだ。ロジェ・デュブィ、リシャール・ミル、グラスヒュッテ・オリジナル、ロマン・ジェローム、A.ランゲ&ゾーネ、ジラール・ペルゴ、そしてジャケ・ドロー。これだけのブランドが一堂に観られるのはISHIDA表参道だけだ。
このようなブランドたちは写真では理解できない。実物に触れて、腕に置いてはじめてわかるその時計の価値観がある。だからぜひ、実物を腕にのせて感じて欲しい。
ブランドの選択はジャケ・ドローと同じように、各々にその意味があるのだが、それはおいおい。次回は大人の御用達時計オーデマ ピゲが登場します。
Text:Noritaka Ishida
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