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BUSINESS 高橋龍太郎の一匹狼宣言

Vol.11 「スーパーマリオこそ日本の未来だ」高橋龍太郎

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日本は成功した移民国家だった

日本選手団の快進撃が続いたオリンピックも終わった。 

吉田沙保里選手の銀メダルは残念だったが、過去2度の対戦でともにフォール負けで完敗し、ずっと戦う準備をしてきたヘレン・マルーリスの健闘を讃えたい。

アメリカではワシントン・ポスト紙が「日本の伝説を破り、米国女子レスリング史上初の金メダル」、CBSのスポーツ専門サイトでは「リオ大会通じての最大のショックの1つ」、BBCは「女子レスリングで最大の番狂わせの1つ」と大きく報道した。

もし吉田が勝っていたとしたら、こんなに大きく報道されてないだろう、いや報道すらされなかったかもしれない。女子レスリングは日本ではみんな大騒ぎするが、殆ど世界で注目されることなく客席は半分も埋まっておらず、ここ何年かオリンピック大会での中止が噂されていた。

霊長類最強も五輪4連覇ならず、銀メダルに終わった

負けてよかった。これだけ欧米のメディアが騒げば、当分オリンピックでも中止はなくなるだろうから。願わくば、吉田沙保里選手に立派な指導者になってもらい、外国にでも留学して、落選を繰り返す室伏広治氏にかわってIOC委員にでも立候補してもらいたいものだ。

腐っても国会議員立候補などというみっともない真似はやめてもらいたい。あの谷亮子の国会議員としての無能ぶりは目に余る。

それにしても、不思議に思うことがある。ドイツは卓球大国だが、選手の多くは中国人だったりする。もともとアジアのシンガポールや香港の卓球選手やバトミントンの選手は、皆中国人であることは承知だが、ドイツもそこで育った華僑の子孫と思っていたら、そうでもないらしい。中国本土で正選手に選ばれなかった選手は、アジアに、ヨーロッパに移民をして正選手になっているのだ。

オリンピックの舞台に名を借りた中国人選手権ではないか、と悪態もつきたくなるのだが、日本人でもオリンピック出たさにカンボジアの国籍を取った芸人の例もあるから文句もいえないか。

5年程前オーストラリアのシドニーに久し振りに旅行して、あふれかえる中国人に驚いたことがある。勿論その多くは、観光客なのだろうが、20年前、シドニーにビルを持っていて、年に何回か往復していた頃は、シドニーの名所で目立つ東洋人は日本人だけだったことを思うと隔世の感がある。シドニーでビルを持っていたのは理由がある。当時日本にいた白人モデルはオーストラリア人ばかりで、彼らに一番人気のあったのは、ISSEY MIYAKE だった。彼等が、それを山のように買い漁り、オーストラリアで2倍~5倍で売っていると現地の日本人に聞いたからだった。

それなら、日本のシーズンの終りにISSEY MIYAKE のバーゲン品を安く大量に仕入れて、向こうで、売ればボロもうけだと考えたのである。こんなアホな考えについてきてくれるスタッフもなく、この話は立ち消えてしまう。

そのビルは、コレクションを始める頃に原資が必要でシドニーオリンピック直前に売り出したら、5倍近くの値段で売れ、大いに助かった。

しかし、オリンピックのあとでもオーストラリアの不動産はその何倍にも上り続けたから、純粋な投資として考えたら、どっちがよかったのか(笑)

観光地と言われる場所で中国人をみないことはない

それにしても、この中国人の多さは観光客だけではなく、帰化した中国人の多さにもよるだろう。現在のオーストラリア首相の息子の嫁は、中国高官の娘だと一時騒がれた。実際のところは国際政治学者の娘だったらしいが、前政権に比べて現政権は親中国寄りの政権だと言われている。日本の潜水艦輸出が有力視されていたのをひっくり返されて、仏の潜水艦に決めたのもこの首相だから、中国からの横槍を受け入れたのだろうと噂されている。逆にそこまで親中国だったら、そんなところに売って最新の潜水艦技術を中国に盗まれなくてよかったと考える防衛省関係者もいるらしい。

ある独裁国家が、大洋を隔てた大陸国家を手に入れようとしたらどういう方法が有効だろうか。勿論武力支配をするなどということは現在はありえない。

こういうアイデアはどうだろうか。我が国は、人口が多すぎるので人口を増やさないために、一人っ子政策をとると宣言する。すると能力のある、金のある一族はどうしたらいいだろうか。みな他国に移民して子孫の繁栄を図るしかない。大洋に囲まれて、今まで異民族支配の経験も無い広大なその資源国家は、お金を持ち込んでくる優秀な人材を喜んで受け入れるだろう。何しろその国は広過ぎて人が足りないのだから。

その国に入植したら、今までの在来人種は文化が成熟しているので、せいぜい1~2人しか子供を生まない。しかし移民たちは、5人位の子供達を生んだらどうだろう。

温暖な気候に恵まれて、在来人種は、のんびり屋さん。移民たちはもともと勤勉な上に、異国の地で新たに生きて行くために、更に勤勉になる。

大学の難関コースはしだいに移民の子供が増え、少しずつ支配層に食い込んでいく。例え話をすれば、オーストラリアと中国の関係はまさにそれである。あと2世代、半世紀が過ぎた頃に、中国人首相が生れても、私は驚かない。

その時でもオーストラリアは西欧圏に止まるか、あるいは共産中国と結びついた新たな支配秩序を構築するか、想像するだけでも恐ろしい気がする。

世界が赤く塗りつぶされていくのも時間の問題か

「黄禍論」、ドイツ帝国の皇帝ヴィルヘルム2世がこのままでは東洋人に欧州が支配されると広めた言葉だが、日清戦争に勝利した日本を最も警戒した。もとより日本にそれだけの力は無く、あっという間に潰されてしまったが。しかし現実には「黄禍論」より遙かに先を行く現実が世界中に浸透している。オリンピックはその現実をあからさまに伝えてくれているのだ。

問題は、中国は外部から一部の資本は入れるが人を入れないこと(もっとも今の中国に移住しようという人は少ないが)、その一方で圧倒的に人を世界中に輸出していることだ。

前述の国を乗っ取られる杞憂も、国が右肩上がりだったら心配するがいい。しかしこの国が右肩下がりならどうだろうか。その慎重な姿勢と、日本自体が下り坂の運命の見え隠れする昨今、日本に移民する程の魅力があるだろうか。

世界で最も成功している移民国家は勿論アメリカだが、日本も実際のところかなり成功した移民国家だった。それは在日朝鮮人によるものだ。日本のスポーツ界、芸能界の1/3は在日朝鮮系に血のつながりがある人々が占めていると言われている。みな日本名に名を変えているから気付かないだけだが、彼等がいなかったら今回のオリンピックでもメダル数は相当減ったのではないだろうか。いや日の丸を目指すマチュアスポーツの世界では在日の人は少ないかもしれないが、プロスポーツ、野球やサッカーでは在日の占めるパーセントは相当高いはずだ。

ドイツは移民を積極的に受け入れることでメダルの数を相当のばして来た。仏のサッカー選手はアフリカ系の選手が多い。

ISも近々崩壊するだろう。より楽観的に、より開放的に、より多産傾向に、この国の未来を明るいものにしたければ解決策は移民しかない。単一民族幻想にいつまでも振り回され、移民鎖国を続けることでこの国はより悲観的に、より排他的になってしまう短所が見え隠れし始めている。それがなにより少子化問題の最大の原因なのだ。

今回のオリンピックの男子400メートルリレーは見事だった。しかしケンブリッジ飛鳥の活躍がなければどうなったことだろう。

日本を勝利に導いた男、ケンブリッジ飛鳥

21世紀の日本を老人だけが住む衰弱国家にしたくないなら移民の力しかない。それは多分為政者が一番よく分かっている筈だが、中々公式的に移民を受け入れることに踏み込んでいないようだ。しかし日本に魅力が残るうちにそこに踏み込んでいけないとしたら、この国は、ぬるま湯の中のゆでガエルのように、熱くなるお湯のなかで緩慢な死を迎えるしかないだろう。

閉会式で安倍首相スーパーマリオを演じたのが話題だ。

1981年にデビューしたマリオは、コンピューターゲームシリーズで、売上累計2億7500万本に達し、最も世界で知られるゲームキャラクターになった。これは生みの親の任天堂が世界中のゲーム会社に協力を求めて得られた成果だ。

スーパーマリオは今やハリウッド映画のスターであり、テーマパークを3つ経営する玩具会社の社長でもあり、『フォーブス』の架空世界の長者番付にて「10億ドルの総資産を持つ男」と紹介されるまでになった。

それも、すべて世界中の才能が混血した結果である。わが国にあっても才能の化学変化がおきるような移民以外に、この国の未来はない。

安倍マリオ晋三首相の英断に期待したい。

【高橋氏よりお知らせ】
2016年09月14日 (水) 19:30 ~21:00より六本木アカデミーヒルズにて、「現代アートから見た日本 vs サブカルから見た日本」と題して宇野常寛さんとの対談があります。ご参加をお待ちしております。詳しくはこちらから。

書き手:高橋 龍太郎

 

精神科医、医療法人社団こころの会理事長。 1946年生まれ。東邦大学医学部卒、慶応大学精神神経科入局。国際協力事業団の医療専門家としてのペルー派遣、都立荏原病院勤務などを経て、1990年東京蒲田に、タカハシクリニックを開設。 専攻は社会精神医学。デイ・ケア、訪問看護を中心に地域精神医療に取り組むとともに、15年以上ニッポン放送のテレフォン人生相談の回答者をつとめるなど、心理相談、ビジネスマンのメンタルヘルス・ケアにも力を入れている。現代美術のコレクターでもあり、所蔵作品は2000点以上にもおよぶ。

 



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