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FASHION

【連載】“隠居系”山田恒太郎の
僕が捨てなかった服
第1回 「A.カラチェーニ」のスーツ

2016.8.24
2016.8.24

スーツに求めるべきは、“流行”ではなく“普遍性”

数年前、訳あって(詳細は下記プロフィールに)東京でのファッションエディターの仕事から離れ、神戸に転居することになりました。その際、クローゼットにぎゅうぎゅう詰めになっていた服や靴の大半は手放したんですが......。どうしても手放せなかったものが、今も手元に残ってます。

それらを見ながら思ったんです。捨てなかった服にこそ、価値が見出せると......。この連載では、本当に良い服、永く愛用できる服とは何かについての、僕なりの考えをお伝えできればと思います。そして同時に、皆さんがワードローブを充実させ、各々のスタイルを構築するうえで、少しでもお役に立つことができれば嬉しい限りです。

さて、第1回はイタリア、ミラノの「A.CARACENI」(ア・カラチェーニ)のスーツです。「カラチェーニ」を名乗るサルトリア(仕立て屋)はイタリアに何軒かあるんですが、カラチェーニ一族が経営しているのは、ミラノの「A.カラチェーニ」と、ローマの「TOMMY &GIULIO CARACENI」(トミー & ジュリオ カラチェーニ)の2軒だけです。異論はあるかもしれませんが、一般的にはこの2軒の「カラチェーニ」がイタリア最高峰のサルトリアとされてます。

僕が世界で一番カッコ良くスーツを着こなしていると思ってる、マリオ・カラチェーニさんを初めて見かけた場所は、ミラノのアトリエ近くのリストランテでした。それまで写真でしか見た事がなかった彼がすぐ近くで食事をしていたんですが、圧倒的な威厳を放っていて、とても声をかけられる雰囲気ではなかったのを覚えてます。

アトリエに初めて足を踏み入れたのは、その数年後。1998年9月30日、雑誌『BRUTUS』の取材の時でした。マリオさんがどんなにカッコ良いか興味のある方は、「マリオ・カラチェニ」でググッてみてください。その取材時の写真を無断使用してるマナー知らずのブロガーのおかげで(?)、ブルーフレームの眼鏡をかけたマリオさんのポートレートが見つかると思います。ダブルのグレースーツにブルー系のシャツ、タイ、チーフ、そして眼鏡ですよ。洗練され過ぎにも程があります。

そして翌年の6月30日、運命の再会です。ミラノ・メンズコレクション期間中のヴァレンティノのパーティ。日本一の服飾評論家、遠山周平さんと歓談中に、向かいの空席にマリオさんが座ったのです。僕たち2人は大興奮。記念撮影をお願いしながら、勢いそのままに、翌日の採寸の予約を入れてしまったのでした。

翌2000年1月、コレクション期間中の2度の仮縫い(通常は3回)を経て、日本に届いたのがこのスーツです。しっかりショルダーラインが作られて、ウエストシェイプは強め。裾はフレア気味に広がって、2プリーツのパンツに綺麗に繋がります。

ここ数年流行っていたラペルの細いジャケットに、ノープリーツの細身のパンツが付いたスーツを着ていた人にとっては、流行から外れた野暮ったいスーツにしか見えないかも知れませんね。でも僕は16年間、ずっとこれを着続けてきました。その間、流行りものの細身のスーツなんて1着も買いませんでした。

僕は、とくにスーツは、流行を着るものではなく、確立されたスタイルのものを、僕なりのスタイルで着こなすものだと思っています。遠山さんは「必要とされるのは、変化でなく普遍です」と、また干場編集長は「移り変わる流行よりも、普遍的な美しいスタイルを」と仰ってます。僕もまったく同じ考えです。必要なのは「スタイル」と「エレガンス」だと思うんです。

皆さんもぜひ、しっかりとした“ハウススタイル”を持つ店で、自分に合う、自分好みの“定番スーツ”を見つけてください。それが見つかれば、あとは生地を変えるだけで、いくらでも着こなしの幅は広がります。一生懸命流行を追う必要なんて、まったく無いんです。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Kotaro Yamada

山田恒太郎(改め“隠居系”)
1990年代後半から『BRUTUS』、『Esquire日本版』、『LEON』、『GQ Japan』などで、ファッションエディターとしてそこそこ頑張る。スタイリストとしては、元内閣総理大臣などを担当。本厄をとっくに過ぎた2012年以降、次々病魔に冒され、ついに転地療養のため神戸に転居。快方に向かうかと思われた今年(2016年)4月、内服薬の副作用で「鬱血性心不全」を発症。三途の川に片足突っ込むも、なんとかこっちの世界に生還。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」を痛感する、“隠居系”な日々。1964年生まれ。神戸市出身。

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