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【連載】“隠居系”山田恒太郎が案内する
百花繚乱「神戸メシ」
第1食 「バールチッチャ」の「国産牛 イチボのカルネサラータ」

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「えっ、マジで!?」な、お手頃価格で堪能する“本物”イタリア料理

東京でのファッションエディターの仕事から離れ、神戸で“隠居系”な日々を送っていたのですが......。ある人からの一本の電話により、一介の食いしん坊に過ぎないワタクシ、「山田恒太郎改め“隠居系”」が、神戸の美味しい店と料理を紹介するトンデモな企画が決定。幅広~く奥深~い「神戸メシ」を、全国・全世界の皆さんに、ぜひとも体験していただきたく......。お付き合いのほど、よろしくお願いします。

ということで、まずは神戸食文化の特徴をざっと挙げてみることに......。①国際色が豊か。1868年の神戸開港以来の伝統ですね。②食材に恵まれてる。神戸ビーフ、但馬牛といった高級ブランド牛を扱うステーキハウスや焼肉店が、いたるところにあります。すぐ目の前が瀬戸内海で、海の幸も豊富。とくに白身魚の種類の多さは特筆ものです。③B級グルメも充実。味噌だれ餃子や、焼きそばにご飯を混ぜた「そばめし」など、ローカル色たっぷりの名物料理がたくさんあります。

さてそんな神戸で、今、一二を争う人気イタリアンレストランといえば、言わずと知れた「Ciccia」(チッチャ)であります。オーナーシェフ、青木勇司郎さんが生み出す、独創性テンコ盛りの料理が人気過ぎて、予約もなかなか取れません。隠居系が去年の冬に頂いたのが「フランス産小鳩のロースト、トリュフのせ」。ここに「ゴボウのピューレ」が添えられていたんです。「鳩にゴボウが合うの?」って思いますよね? それが実に合うんですっ! 不思議ですね~。青木さん、とにかく研究熱心なんでしょうね。

その「Ciccia」がこの夏、満を持してオープンした2号店がココ、「Bar Ciccia 」(バールチッチャ)です。場所は、本店から徒歩2分ぐらい。ただし店の看板は出てません。淡い光に照らされた階段を見つけたら、勇気を出して上がってみましょう。

階段右手に、怪しげな絵が飾られてます。

左手にも。「ほっぺた、タマネギやん!」(ここ関西弁)。2階踊り場に辿り着いたら、後ろを振り返ってみましょう。

おぉ、ヴェネツィアのカーニバルですね。運河がちょっぴり臭ってた、夏のヴェネツィアを思い出します。では重い木の扉を開けてみることに......。

入ってすぐ左手に描かれてるイタリア地図。青木さんが修行を積んだ街が、足跡で印されてます。

こちらは右手奥のカウンター席。

インテリアは、イタリアのアンティークショップで見つけたもので統一されてます。

オペラ『リゴレット』の昔のポスター。他には、『トスカ』や『ラ・ボエーム』なども。イタリアオペラ好きの隠居系、つい見入ってしまいます。

「ここは本店とは違って、現地で味わえるそのままのイタリア料理を、リーズナブルな価格で提供したいなと思ってオープンしたんです。同時に、店の若手にチャンスを与える場所をという思いもありました」と語る青木さん。

そこで抜擢されたメンバーが、こちらの3人。左から、調理を担当する中川さんと小坂さん。イタリアや日本各地の店での修行を経て「Ciccia」に入った、確かな腕の料理人です。そして右がサービスの萩原さん。

メインは4種類(取材時は3種類)の肉料理のみ。魚料理はありません。

まず最初にオーダーしたいのが、惣菜とサルメリア(ハム、サラミetc.)がぎっしり詰まった「Bar Ciccia おまかせ盛り合わせ」。これは5~6種類盛り合わせの「ピッコロ」1,380 円。8~10種類の「グランデ」1,980円もあります。泡や白ワイン、2杯はいっちゃいますね。そして......。

ど~ん!と豪快に登場したのが、メインの「兵庫県産 丹波地鶏骨付きもも肉の藁焼き」1,480円と、「国産牛 イチボのカルネサラータ」1,680円。2種類盛り合わせだと100円引きで3,060円。

2品ともに、有機栽培の藁を使った燻し焼きで、口に入れると、ふんわりと藁の香りが広がります。丹波地鶏、肉自体の旨みが濃いですね~。ちゃんと運動してるせいか、弾力もしっかり。

そして、国産牛のイチボ。「イタリアに多い赤身の肉と、日本人が好むサシの入った肉。その中間を狙ってイチボを選びました。イタリア北部から中部にかけてのピエモンテ、エミリア-ロマーニャ、トスカーナ辺りの郷土料理をイメージしてます」(青木さん)。

フィレンツェのビステッカ(炭火焼きTボーンステーキ)が大好きな隠居系にとっては、どストライクのメニュー。赤ワインに数種類のスパイスとハーブをブレンドしたものに、2週間漬けて熟成させてます。焼肉屋でイチボを食べたことがある人は多いですよね? あの肉自体の旨さにいろんな風味が混ざり合って、深~い味わいが生まれてます。まさに「噛めば噛むほど味が出る」です。う~ん、味を上手く伝えられないのが残念無念!(料理記者暦2時間半の隠居系)。

いつも笑顔でトークも弾む、本店サービス担当の人気者、大西さんに勧めてもらったワインが、「Basilicata Rosso」(バジリカータ ロッソ)。グラス780円。ボトル5,300円。ん? 北の料理 に、定番の北ではなく、南の葡萄、アリアニコのワインですか? 「濃い赤が飲みたい、ってオーダーされる方が多いんですよ(笑)。この店の価格帯とのバランスを考えて、これをリストに載せたました」。ふむふむ、確かに、軽くスパイスのニュアンスが感じられる、果実味が“濃い”ワインです。

そのワインリスト。お手頃価格のワインが白赤各6種類載ってます。大西さん、12本って、ちょっと少なくないですか? 「大丈夫ですよ。こちらにも、本店のワインリストを置いてあるんです。自然派ワインを中心に、60種類ほどご用意してます。ワインとそれに合わせたグラスを、すぐにお持ちしますので」。これならワインにうるさい人も安心(大雨の時とか、ちょっと心配だけど......)。

気になる予算はどんなもんでしょ。2人で「おまかせ盛り合わせ」の後にパスタを頼んで、「イチボと丹波地鶏の盛り合わせ」。ビールかスプマンテ2杯とワイン4杯として......。えっ!? 1人5,000円ぐらい!? 安っ! この予算で“本物”のイタリアンを楽しめる店って、そうそう見つからないでしょ。

メインメンバー全員集合。右から2人目、ガッチガチに緊張してるのがオーナーシェフの青木さん。1人挟んで大西さん。左端が本店の李さん。若いスタッフが揃って、活気に溢れてます。

「イタリア料理にあまり慣れていない方からベテランの方まで、皆さんに美味しい料理を提供して、幸せになっていただけたら最高です」(青木さん)。
仰るとおり! 今度、ファミレスイタリアンしか知らないオッサン友達連れて、また来ますね! 

Photo:Kei Kato
Text:Kotaro Yamada


「Bar Ciccia」(バールチッチャ)
TEL:078-855-5088
住所:兵庫県神戸市中央区加納町2-1-2 日光ビル2F
営業時間:17:30~24:00頃
休み:日曜、月1回不定休(変更の可能性あり)
※価格は税別

山田恒太郎(改め“隠居系”)
1990年代後半から『BRUTUS』、『Esquire日本版』、『LEON』、『GQ Japan』などで、ファッションエディターとしてそこそこ頑張る。スタイリストとしては、元内閣総理大臣などを担当。本厄をとっくに過ぎた2012年以降、次々病魔に冒され、ついに転地療養のため神戸に転居。快方に向かうかと思われた今年(2016年)4月、内服薬の副作用で「鬱血性心不全」を発症。三途の川に片足突っ込むも、なんとかこっちの世界に生還。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」を痛感する、“隠居系”な日々。1964年生まれ。神戸市出身。







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