ビジネス街のど真ん中で、ここだけは再開発を逃れ健在。 サラリーマンを癒す夕方満席のオアシス酒場
まだ俺が小学生だった頃、兄貴の部屋にあったメンズクラブを読んだのがファッションの目覚めだった。『TAKE IVY』の写真集には、シアサッカーのジャケット、素足にローファーを履く男たちが載っていて、たまらなく格好良く、衝撃を受けたのだった。
シアサッカーのジャケットは、本来リゾート地などで着るものだがウールのパンツに白シャツを合わせれば、これからの季節はビジネスにも使える。サラッとした生地感や見た目の涼しげな印象もおすすめポイントだ。オールデンのローファーを素足に履いて、パンツ丈は短めダブルで着こなしたい。
そんなカジュアルなビジネススタイルで向かったのは大門の超有名な老舗酒場「秋田屋」。
まだ夕方の5時だというのに、店内は満席。外の立ち飲み席にもサラリーマンがあふれている。昭和4年の創業で平成4年に建て替えられた。以前の昭和感は若干薄れたが今も周りが再開発される中、健在しているお店なのだ。
外のメニューを見ながらビールケーステーブルで外での立飲みというのが今の季節は気分だが……。満席ということで断念。建て替え前は、外飲みのお客が道にあふれていたが、今は時代なのか交通の妨げになるということで控えているらしい。
いつもはホッピースタートだが、今日は生ジョッキにしてみた。夕方のルービーが喉に染み渡ってくる。
優しい味付けの煮込み。あっさり目で牛モツがやわらかい。大衆酒場に行って必ず注文するのが煮込み。お店によってその個性が出るのでそれも楽しみのひとつ。
そして名物の特製たたき。たたきといっても肉だんごつくねで豚のナンコツを叩いた食感が、なんとも絶妙なアクセントでルービーが進む。1人1本しか注文できないのでマストアイテムだ。
モツ焼きで注文したのはアブラの塩。上質な肉で焼き加減もいい仕事をしている。さすが老舗の安定感だ。
アニ散歩ではディープな酒場が多いが、今回のように客層のメインがサラリーマンのお店は、比較的女性でも入りやすいので大衆酒場ビギナーにおすすめ。泥酔しているオヤジはいないし、メニューも読みやすいし常連しかわからない注文方法もないので安心して飲めるはず。サラリーマンの飲み話をつまみに1人飲みも悪くない。
深酒して終電で泥酔しているサラリーマンより、早い時間に仕事仲間と真剣に討論しながらここで飲んで帰宅するサラリーマンが、なんだか素敵に見えた。「40男はつらいよね~」なんて想いながら……。
ユナイテッドアローズのシアサッカージャケット。数年前に購入したもので今思えばセットアップのパンツも買っておけばよかったと後悔。やや広めのラペルとフラップ付きのポケットがお気に入りのディテール。
Photo & Text:Eiji Katano
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今回のアニキおすすめの店
「秋田屋」
東京都港区浜松町2-1-2
Tel. 03-3422-0020
営業時間 月~金15:30~21:00
土15:30~20:30
定休日 日曜、祝日、第3土曜日
プロフィール
片野英児(かたのえいじ)
1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない47歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島。