ヴィンテージロレックスの揺るぎない大定番
そろそろ自分らしい腕時計との出会いを真剣に考えている40男の皆様に『FORZA STYLE(フォルツァスタイル)』がオススメしたい選択肢のひとつが“ヴィンテージウォッチ”です。
その世界は奥深く、手頃な価格で買えるコスパ重視の時計もあれば、果てはオークションで競り落とされる投機の対象となるプレミアムな個体も数多く存在します。実際問題、ヴィンテージって聞くと妙に敷居が高く感じられたり、あまりの人気ぶりから偽物まで出回っているグレーな世界であることは否めません。それもあって、どうも二の足を踏んでしまっている方が大勢いるかと思います。
そこでこの連載では、ウンチクに寄り過ぎず、今どきのファッションにもしっかりとハマる腕時計であることを前提にしながら、名機の購入ガイダンスを中心に、さまざまな角度からヴィンテージウォッチの魅力について触れていきます。
「SUBMARINER(サブマリーナー)」のロングセラーであるRef.5513は、市場を牽引するヴィンテージロレックスの中で最も重要なモデルのひとつに数えられる、定番中の定番です。
製造年数が長かったことやあまりの人気ぶりから、年々ディテールやパーツの細分化が進み、オークションクラスのレアな個体であれば、すでに1000万円では手が届かないほどまで価格が高騰しています。
その中から今回はご紹介するのは、ヴィンテージに明るい方なら誰もが知っている大人気のミラーダイヤルです。
あくまで個体の質によりますが、エントリーモデルであるマットダイヤルのRef.5513が今や100万円オーバーであることに対して、ミラーダイヤルのRef.5513はそれなりの個体となると最低でも2倍以上の金額を覚悟しないことには購入は難しいと思います。
では、なぜRef.5513のミラーダイヤルはここまで価格が高騰しているのでしょうか?
そもそも「サブマリーナー」のミラーダイヤルは他のスポーツウォッチと比べると球数が少ない上に、コンディションに優れた個体となかなか出会えないのが実情です。
シンプルな3針のRef.5513は、歴代の「サブマリーナ」の中でも実用性と美観をバランスよく兼ね揃えた完成度の高いデザインであることからも、服装やシーンを選ばない点も支持される理由として挙がります。強いてはあらゆるヴィンテージウォッチを見渡して、最もスタンダードな一本だと言っても過言ではありません。
つまり、ミラーダイヤルのRef.5513とは、ヴィンテージウォッチの醍醐味であるエイジングと、究極のダイバーズウォッチである「サブマリーナー」の普遍的なデザインを同時に楽しめる鉄板モデルなのです。
なお、誤解が多いので説明しておくと、ヴィンテージウォッチの文字盤は使い込んでいくとデニムのように経年変化すると思っている方が大勢いるのですが、これは明らかな間違いです。よほど無茶な使い方でもしない限り、文字盤の変色はなく、今の状態を維持できると考えるのが妥当でしょう。だからこそ、コンディションが重要視され、そこに価値が生まれるのです。
ご参考までに、ほぼ同年代の2つの個体を並べみましたが、ご覧のように文字盤の焼けやブレスレットの状態ひとつでテイストは見違えるほど変わります。
ヴィンテージの世界では一口に「サブマリーナー」と言っても無数のテイストが存在します。年々希少性が増していることからも、その中から納得がいくスタイルを見つけることは骨が折れるかと思いますが、素晴らしい一本との出会いはその労力を帳消しにしてくれる喜びが得られるはずです。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE