クロノグラフの名門が残した異色一本!
そろそろ自分らしい腕時計との出会いを真剣に考えている40男の皆様に『FORZA STYLE(フォルツァスタイル)』がオススメしたい選択肢のひとつが“ヴィンテージウォッチ”です。
その世界は奥深く、手頃な価格で買えるコスパ重視の時計もあれば、果てはオークションで競り落とされる投機の対象となるプレミアムな個体も数多く存在します。実際問題、ヴィンテージって聞くと妙に敷居が高く感じられたり、あまりの人気ぶりから偽物まで出回っているグレーな世界であることは否めません。それもあって、どうも二の足を踏んでしまっている方が大勢いるかと思います。
そこでこの連載では、ウンチクに寄り過ぎず、今どきのファッションにもしっかりとハマる腕時計であることを前提にしながら、名機の購入ガイダンスを中心に、さまざまな角度からヴィンテージウォッチの魅力について触れていきます。
ヴィンテージ市場におけるプレミアムは外装によるものがほとんどだと考えられますが、最近めっきり見かけなくなったクロノグラフムーブメントの最高傑作の一つに数えられる13ZNなどを筆頭に、ムーブメントでの高い評価を受けているのが名門Longines(ロンジン)です。
ロンジンはその卓越した技術から、クロノグラフの分野において、いくつかのユニークなスタイルを開発してきました。そのひとつが“ストップセコンド”です。
短命で終わったことからも稀少性が高いこの機構は、60分積算計がセンターの太いブルースチールハンドでカウントされ、ゼンマイを巻き上げた時点でセンターの2本の積算針で積算を行います。操作は簡単で、2時位置に取り付けられたプッシャーひとつで、ストップ・リセット・再スタートできるフライバック機能を行えます。
独特の機構に負けず劣らず、外装もユニーク。現行の腕時計と比べると、ヴィンテージウォッチは全般的に小ぶりになることが大きな特徴として上がるのですが、このモデルはケース径が31mmと、非常にコンパクト。それでいて、しっかりとした存在感があることも名機であることを裏付けています。
ケースが金張りであることからも特別な高級機ではなかったことはがうかがえますが、ムーブメントの作りも素晴らしく、ロンジンらしい堅牢な設計であることが伝わります。
このところの注目度が高まっているロンジンのクロノグラフは全般的に価格が高騰しているように見受けられます。どれもデザインが素晴らしいのでハズす心配もありませんから、もし好みの個体と出会えたら今のうちに買っておくことをオススメしたい次第です。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE