世界でたった210本しか存在しない永久カレンダー
そろそろ自分らしい腕時計との出会いを真剣に考えている40男の皆様に『FORZA STYLE(フォルツァスタイル)』がオススメしたい選択肢のひとつが“ヴィンテージウォッチ”です。
その世界は奥深く、手頃な価格で買えるコスパ重視の時計もあれば、果てはオークションで競り落とされる投機の対象となるプレミアムな個体も数多く存在します。実際問題、ヴィンテージって聞くと妙に敷居が高く感じられたり、あまりの人気ぶりから偽物まで出回っているグレーな世界であることは否めません。それもあって、どうも二の足を踏んでしまっている方が大勢いるかと思います。
そこでこの連載では、ウンチクに寄り過ぎず、今どきのファッションにもしっかりとハマる腕時計であることを前提にしながら、名機の購入ガイダンスを中心に、さまざまな角度からヴィンテージウォッチの魅力について触れていきます。
腕時計に明るい方なら誰もが知る、パテック フィリップを代表する“カラトラバ”と呼ばれる、流線的な美しいラグを持つケースデザイン。
ヴィンテージウォッチに関して言えば、究極の定番Ref.96をはじめに該当する個体が無数にあるのですが、中でもRef.1526はなかなかお目にかかることができないレアな一本です。発売当時、永久カレンダーとムーンフェイズを搭載するこの腕時計は超がつく高級機でした。
1795年に天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが開発したと言われている腕時計の三大機構のひとつである便利な永久カレンダーはさておき、ムーンフェイズについて軽くおさらいしましょう。
この機構は、そもそも月齢や月の満ち欠けを文字盤に表示するために考え出されたもので、永久カレンダーとの相性は抜群かもしれません。がしかし、かなり乱暴に言ってしまえば、現代社会での生活では全くもって不必要な機能。もしかすると、程度の差はあれども、昔から同じことが言えたのかもしれません。
極論ですが、この希少なタイムピースを読み解くうえで、実用性云々は小さな話でして。なぜなら、超一級の腕時計には理屈では割り切れない魅力があり、オーナーの所有欲を存分に満たしてくれるからです。それが天下のパテック フィリップ謹製のコンプリケーションとなればことさらで、本当の価値が分かる人にとっては麻薬?のような魅力を醸し出しているのです。
それにしてもこのRef.1526、至るところに贅を凝らした超高級機ならではの美しさがありますよね。ケース径30.5mのRef.96よりもふた回りは大きな34mm径の時計は、ヴィンテージパテックで唯一のスモールセコンド仕様のムーンフェイズとしても知られています。古臭さが微塵も感じられないデザインも特筆すべき点だと言えます。
なお、ケース素材に関しては、1941年から1952年にかけて210本の生産されたうち、イエローゴルドが大多数を占め、ローズゴールドが50~60本、ステンレススィールが1本となるそうです。文字盤のバリエーションもいくつかあり、超希少なカスタムメイドも存在します。
需要と供給のバランスから価格が決まるヴィンテージウォッチの市場でのRef.1526の評価はいかなるものか。気になる方はぜひお問い合わせください。もし運よくオーナーになることができれば、そんじょそこらの高級時計では味わえない満足感が得られるはずです。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE