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BUSINESS

【連載】変革大陸!
次世代ビジネスリーダーのONとOFF 第1回

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『氷結』、『キリンフリー』、数々のヒット商品の次は、ビアカルチャー創造! 〜和田 徹氏

「世界を変えよう、社会を変革せよ!」。今、日本で活躍する次世代のビジネスリーダーたちは、仕事をとことん楽しみながらも、OFFの時だって真剣です。何事も楽しむ軽やかさが、世の中を変える原動力になっています。そこで新連載、変革大陸では、そんな世の中を変える次世代ビジネスリーダーたちの、仕事の楽しみ方やライフスタイルに迫ります!

新しいビアカルチャーを創る!

誰もが知っているヒット商品と呼ばれるものがある。キリンの『氷結』、『キリン淡麗』、そして『キリンフリー』。飲料業界ではヒット商品誕生は奇跡的な確率と言われるが、その3本安打を成し遂げたバッターが、和田徹氏だ。現在、スプリングバレー ブルワリー株式会社の代表取締役でもある。

「世の中にすでにあるものじゃなく、新しいカルチャーを作りたい。これからの若い世代にも、ビールをコミュニケーションツールとして、楽しんでもらえるような新しい市場を創造していきたい」

そんな願いから、クラフトビールを気軽に楽しむビアレストラン「スプリングバレー ブルワリー」を立ち上げたのは2015年。小規模経営が中心だったクラフトビール業界に、大手ビールメーカーとして初めて本格参入し注目を集めた。

社長を動かした、夢の紙芝居

「一人で何かやれ!」

それが和田氏に与えられたミッションだった。最初に始めたのは、チーム作り。

「一人でやるには限界がある。まずは仲間探しのため、社内ワークショップを何回かやり、これは、と思う人材に“一緒にやらないか?”と声をかけてメンバーを集めたんです」

まるで『ワンピース』のような仲間探しの冒険の後、信頼すべきブリュワー、田山智広氏を含む精鋭3名による新事業チームが発足。3年をかけて事業戦略を作り上げていった。そして事業化のための社長プレゼンテーションでは、紙芝居を使ってスプリングバレー構想をアピールした。

「パワポ? いいえ紙芝居ですよ。ビールの未来を語るために、未来の絵を書いたんです。未来の町では宇宙船が飛び、高層ビルが立ち並ぶ、でも、今の子どもたちが望んでいるのは本当にそんな町か? 未来はみどり豊かな町であって欲しいはず、だったらビールも自然を感じるビールがいいよね、と。僕らが伝えたいのは短期戦略でなく、長期的な市場変化を見据えた、夢のある戦略でした」

夢やパッションを伝えた紙芝居は、功を奏し「すぐやろう!」と社長からのゴーサインを獲得。3人のスプリングバレープロジェクトが動き出した。キリンビールという大手企業の傘の下、新しい挑戦を始めた和田氏は、世の中を変えるためには「失敗を恐れないこと」と言う。

「新たな取組みは、必ず次につながる何かが生まれる。失敗を恐れず、次を見て動くことが大切だと思う」

多様な人々が集う、オープンラボ構想

代官山の「スプリングバレー ブルワリー」を訪れると、まずガラス張りの醸造タンクに圧倒される。すぐ目の前でビールが造られるダイナミズムに大人もワクワクしてしまう。「造ったその場でビールを飲む」という発想は、実はワイナリー巡りをしていた時に着想したものだったという。

「実はビールだけじゃなく、ワインも好きでして、10年前、海外のワイナリー巡りをしたんです。その時、ワイン醸造の多様性に魅了され、ビール醸造ももっと多様性があっていいんじゃないか? と考えました。そしてワイナリーみたいに、醸造所で飲むという楽しみ方があったら面白いなと……」

醸造の現場を見ることで、単に新鮮で美味しいというだけでなく、ブリュワーの存在を身近に感じ、自分もまるでチームの一員になったかのごとく、ビール談義に花が咲く。

「ここはビールのアミューズメントパークだと思っているんです。一度来たら、次は別の友人を連れて来たくなるような。外部のブリュワーを招いて楽しむブリュワーズナイトや、和食×ビールのコラボなど、ユニークなイベントも定期的に行っています。今後はここをオープンラボにして、いろんな人たちが、ここで面白いことを始めたくなるようなことも仕掛けていきたいですね。ここから新しいコミュニティが生まれることに期待しています」

そんな和田氏がプライベートで愛用しているのは、ドイツ製のIPAグラス。持ち手の感触とテイスティングにちょうどいいデザインが気に入っているという。またビールだけじゃなくコーヒーにも一家言あり、ハンドドリップ用のコーヒー道具も愛用品だ。カリタのミルと、ハリオのクリスタル製ドリップV60。

「家では、うまいビールや美味しいコーヒーを飲んで、家族と過ごす時間を大切にしています。食べることと、飲むことにはこだわりたいんです。Beer is made of life、ビールは楽しい生活から造られるもの。ライフスタイルの楽しみが、次の仕事にもつながっていると信じています」

和田徹氏の「変革力」
1. 少数精鋭、ワイワイ言える仲間を集める。
2. 長期戦略で、モノより文化を創り出す。
3. 事業のオープンソース化、外部を巻き込む。

【プロフィール】


和田徹 わだとおる

スプリングバレー ブルワリー株式会社 代表取締役。キリンビール株式会社の新商品開発グループチームリーダーとして、『氷結』『キリンフリー』など数々のヒット商品を手がけた後、2015年、キリンビールの子会社としてスプリングバレー ブルワリー株式会社を設立。

「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」
東京都渋谷区代官山町13-1
☎03-6416-4975 (予約専用電話)
☎03-6416-4960 (予約以外のお問い合わせ)
営業時間: 8:00〜24:00(L.O.22:30)、日曜は8:00〜22:00(L.O.21:00)


Text:Michiyo Azuma
Photo:Tatsuya Hamamura

ライター:東ミチヨ

ライフスタイルジャーナリスト。ソーシャルオーガナイザー。大手アパレルの企画、コピーライターを経て独立。雑誌、広告等では、ブランド哲学×モノづくりを得意テーマとしてきたが、もの書きだけじゃ飽き足らず、2011年からはリアルな場でのソーシャル活動も開始。地域の人々や行政などいろんな主体を巻き込んで、小さな変革!の波を広げようと奮闘。H27年度グッドライフアワードにて環境大臣賞受賞。一般社団法人スマート・ウィメンズ・コミュニティ代表理事として、各種ワークショップなども主催。趣味は山登り、自転車、スローフード。神奈川県出身。



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