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FASHION 魁、干場塾!

第29回 干場のライバル「F・Dの急襲」

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試合後にスーツ? ウルティモドラゴンのお洒落のこだわり

サトシーノ:干場さん、今日は後楽園で待ち合わせだなんておかしいな。待てど暮せど姿はおろか連絡だってないし。不安になってきたぞ。

ファッションドラゴン(以下略称F・D):オイ、そこの坊主!こっちだよこっち!走ってこい!

 

マニア御用達の闘道館で不審人物を発見。

サトシーノ:え?  なぜ僕の名前を? まさかプロレスラー? す、すみません。僕、今日は全然おカネもってなくて…。

F・D:カツアゲじゃねえよ! 俺の名前はファッションドラゴン。ファッションタイガーから生っちょろい貴様にプロレスの熱い思いを伝えるように言われて来たんだよ。

サトシーノ:干場さん、いやファッションタイガーからそんなことを? だから後楽園集合だったんですね。

F・D:今日はヤツの代わりに、プロレスの試合を通じてカッコいい男になるための修行をつけてやる。黙ってついてこい!

サトシーノ:(なんて強引な人なんだ。イラッと来るぜ。でも、覆面以外はよく見るとすごくお洒落じゃないか。紺ブレにリーバイスのデニム。白いボタンダウンのシャツを洗いざらしで着ている。でも、このスタイルどこかで見たような…)

F・D:ボサッとしてないでトットと歩け! いつ何時、誰の挑戦でも受ける!(意味不明)。まずはプロレスの醍醐味である「覆面レスラー」の魅力を知ってもらうために、この店を紹介しよう。

サトシーノ:こ、ここは一体……。おびただしい種類のマスクが売ってるじゃないですか! タイガーマスクはもちろん、獣神サンダーライガーやケンドーカシンまで! 圧巻です。

F・D:小僧。お前も少しはプロレスを齧っているいるようだな。そうだ、ここはプロレス好きなら誰もが知っているマスクの聖地。ビギナー向けのものから、本人着用の豪華な超レアマスクまで揃ってるんだ。よく見ろ、値段別で作りがひとつひとつ違うんだよ。ジャケット作りと一緒で、良い仕立てのマスクは立体的で装着した時のフィッティングが心地いいんだ。

サトシーノ:ふ、服作りと一緒。レスラーのマスクをそんな視点で見てる人がいるなんてオシャレ過ぎる。

一面のマスクを見て法悦の境地に至るファッションドラゴン。まさに竜虎相打つの図。

F・D:俺が装着しているウルティモドラゴンのマスクは、ストレッチまで効いていてストレスフリーなんだよ。見ろ!この美しい横顔こそがこのマスクセクシーポイントだ。服装もマスクの色合いに合わせてコーディネートしてるんだよ。何度でも言おう。俺の名前はファッションドラゴン。ただのプロレスマニアじゃないんだ。なめるんじゃねー!

サトシーノ:いや、全然なめてないっていうか、むしろリスペクトの念が湧いてきました。あなたのことを、もっと詳しく教えて下さい。

F・D:俺は昭和43年に生まれ、昭和を愛し、変わらぬ定番服を愛する男。プロレスもファッションも流行じゃねえんだ。「Don't think! Feel!!(考えるな、感じろ!)」カーン!(いきなりゴング鳴らす)。

サトシーノ:干場さんがファッション哲学の師と仰ぐ「ブルース・リー」先生の名言。ファッションと格闘技の精神は通ずるものがあるんですね。勉強になります!

F・D:さあ小僧、ここが格闘技の聖地、後楽園ホールだ。今日は初代タイガーマスク、佐山聡さんが主宰のリアルジャパンプロレスの試合があるんだ。俺の顔でリングサイド取ってあるから、早速行くぞ!

サトシーノ:平日なのにお客さんの入りが凄い。人気団体の証拠ですね。あ、船木誠勝さんもいるじゃないですか。船木さん、お久しぶりです!福山で一緒にイベントをさせていただいた中本です。その節はお世話になりました。

F・D:な、なに?! お前、船木さんを知ってるのか?

サトシーノ:そうなんです。福山でファッション×プロレスのイベントを何度かやってまして、船木選手も来て下さったんですよ。ファッションのコーディネートをさせていただいたり、素人で唯一ハイブリットバルスター(必殺技)をかけられり、楽しい思い出です。僕のことを覚えてくれててよかった。

F・D:そうか! お前もプロレス熱あるんじゃねーか。よし、合格だ。俺と同じマスク買っていいぞ。

サトシーノ:あ、ありがとうございます。(何が合格かわからないけど…。)

F・D:見てみろ、この壁に欠かれた数々のメッセージ。代々引き継がれる選手やファンの熱い思いがこの階段を通れば感じられるだろ? 今の若造に必要なのは、この昭和の情熱なんだよ。お前は今日、試合中マスクカメラマンとして、リング外で一緒に戦ってこい!

サトシーノ:そ、そんなの無茶ですよ。公式のカメラマンじゃないのに、選手にぶっ殺されちゃいますって!

F・D:いいか、男は戦わないといけない時が必ずあるんだ。 これも取材の技術のうち! さあ、行ってこい。

サトシーノ:わ、わかりました。それは、佐山さんの名言ですね。

F・D:良いぞ、良いフットワークだ! 素晴らしいじゃないか。

サトシーノ:良いのが撮れました! でも、調子に乗りすぎて、レスラーにパイプ椅子蹴られて、凄い怒られちゃいましたよ。

F・D:よくぞかわして生還してきた! それも技術のうちだ。

サトシーノ:凄い迫力で、ビビリましたけど、男同士の真剣勝負をこんなに間近で見れて幸せでした! ありがとうございます…って、あれ!ファッションタイガーいつのまに?!

ファッションタイガー(以下略称 F・T): じつは、ずっと後ろから見守っていたんだ。

サトシーノ:非常に回りくどいんですが、今日の教えは一体なんだったんですか?

レスリング界一のファッショニスタ、ウルティモドラゴン氏。

F・T:今日お前に教えたかったのは、ウルティモドラゴンさんのファッションなんだよ。会場入りする際や試合が終わった後など、リングの外では必ずスーツをバッチリ決めているにこだわりの人で、本場ナポリでスーツやシャツ、パナマハットまで仕立てているファッショニスタなんだ。アメリカやメキシコでも著名な彼は、世界中を旅して粋な着道楽を極めているんだよ。

ファッションタイガーとガッチリ握手をするウルティモドラゴン氏。

サトシーノ:確かに着ているスーツの作り見ても、肩の付け方がマニカカミーチャだったり、ラペルの返りが美しかったり、本格的過ぎる。ファッションのプロも認めるウェルドレッサーだったんですね。闘う男はスーツ姿も気を抜かないということか。ありがとうございます!さあ、帰りましょう(マスクを脱ぐ)。

F・D&F・T:馬鹿野郎! 家に帰るまでがプロレスなんだ。今日は呼吸がいかに苦しく、視野が狭くても素顔になっちゃダメなんだよ。さあ、マスクを被って帰るぞ。

サトシーノ:え! このまま帰るんですか?!不審者扱いされて捕まっちゃいますよ……。

JR中野駅でまさかのスイカ残高不足。ピコーンと足止めをくらうF・D。駅係員さん、お疲れさまでした。暖かくなるとヘンな客が増えますね。

F・D:不審者に見せないのも技術のうちだ。では、さらばだ!あと次回のリアルジャパンプロレスは6/23だからな!また会おう。(急ぎ足で去る)

サトシーノ:うう、あの人たちは一体何者なんだ。それにしても、二人ともどこかで見た事があるんだよな。

Photo,Text:Satoshi Nakamoto



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