おおかわら:それが...大丈夫じゃないかもしれないんです。というも、ふと気付いたんです。僕はそのアニメがきっかけで、他にも沢山アニメを見るようになったのですが、そこに出てくる登場人物の女性がほとんど高校生なんですよね。そして、その高校生に感情移入している自分がいる。そこで思いました。「僕、もしかしたらロリコン...?」と。
西内:実際の女性でも、女子高生がお好きなんですか?
おおかわら:いえいえ。でも、実際の3次元の女性というより、2次元の女性を愛してしまいそうな自分はいますね。あ、2.5次元の女性も素敵ですが。
西内:2.5次元とは?
おおかわら:声優さんやアニメソングの歌手の方のことです。
西内:なるほど...。ちなみに、年齢的には何歳から何歳までが恋愛対象なのでしょう?
おおかわら:2ケタなら、何でもいいです。
西内:どういうことですか?
おおかわら:10歳から...、
おおかわら:99歳までです。
西内:そうですか。
おおかわら:でも法律で定められた決まりがありますから、若すぎるのは現実的には難しいですけどね。あと、3ケタになってしまうと、ちょっといきすぎかなと。
西内:100歳の方が悲しみますね。ちなみに、おおかわらさんって結婚願望はあるんですか?
おおかわら:ありますよ。子供も欲しいですし、結婚には夢を持っています。でも、結婚している先輩芸人さんたちは皆、口を揃えて「結婚なんてしないほうが良い」と言うんですよね。全員が全員「独身の方が楽しかった」と言うんですよ。それを聞くと、少し躊躇してしまう自分がいます。ドランクドラゴンの鈴木さんなんかは、彼女すら作らない方が良いというんですよ。「彼女なんか作っても、何も良いことはないからやめておけ」と。
西内:鈴木さん、何か女性関係で辛い想いでもされたのでしょうか?
おおかわら:いや、僕の場合は彼女ができると、彼女一筋になってしまうんですよ。男子校出身なので女性との適度な距離の取り方がわからず、ついついドップリとハマりすぎちゃうんですよね。そうして誰とも遊ばずに彼女のいる家にすぐに帰るようになり、付き合いが悪くなるんです。だからだと思います。
西内:それ、鈴木さんがただ、おおかわらさんに彼女ができたら寂しいだけじゃないですか。
おおかわら:そうなのかもしれません。でも、やはり彼女は欲しいし結婚もしたいですね。僕、今の一番の幸せが、ポテトチップスを食べながら一人でDVDを見ることなんですよ。でも、このままでは孤独死することになるなと焦っているんです。もはや、「結婚したい」というより「強迫観念にかられている」という感じですね。
西内:それなら、すぐにでもお得意の合コンに行き、グイグイ甘え、彼女をつくり、ゴールインされたら良いじゃないですか。テレビに出ている芸人さんって、モテる方法はいくらでもあると思うんですよね。例えば「俺のお笑いライブ、見に来いよ」とチケットを渡すとか。
おおかわら:いやいや、そんなことをしていいのはミュージシャンだけですよ。だって、スベらない保証がどこにあるんですか? 芸人さんでもたまに女性をライブに誘う人はいますが...信じられませんね。リスクが高すぎる。それに、そういう「表に出ている僕」が好きな女性は嫌なんですよ。そういう女性は、テレビで見る僕の「良い面」しかしらないので、僕のことを知る度に、どんどんイメージが悪くなっていくんですよね。減点式は辛いです。
西内:そうなんですね。では、漫才ライブで披露するネタは、何をモチベーションに書いていらっしゃるんですか?
おおかわら:やはり、300人を前に笑いをとれた時の快感が忘れられないから書き続けるんですよね。一度それを体験してしまうと、やめられないんですよ。
西内:たしかに、自分の考えたネタや言葉に300人の人が一斉に笑顔になるだなんて、凄いことですよね。
おおかわら:そうなんですよ。正直、お笑い芸人なんて食べていけるのはほんの一握り。それ以外はビジネスとして成り立たないんですよ。それでもネタを書き続ける売れない芸人が多いのは、やはりその快感の中毒になっているからなんです。
西内:食べていけるかどうかなんて関係なく、笑いの快感を追い求め、人々に笑顔を与える。本当に素晴らしいですよね。でも、並大抵の精神力ではできることではないですよね。
おおかわら:そうですね。でも、とにかく好きでやっているので。ただ僕の場合、元々は表に出たかったのではなく構成作家になりたかったんですよね。
西内:そうなんですか? 何がキッカケで芸人になることになったんでしょう?
おおかわら:大学生の時に偶然、人力舎のパンフレットに「作家コース募集」という文字を見つけたんですよ。それを見て応募したところ受かったんです。でも、フタを開けてみたら、なぜか毎日コントの練習ばかりさせられていたんですよ!
西内:作家コースなのに、ですか?
おおかわら:そうです。見事に騙されました。作家コースだなんて真っ赤な嘘で、そこは芸人コースだったんです。作家コースなんてどこにもありませんでした。でも、コントをしているうちに「なんだか面白い」と思うようになってきて。それが、芸人になることになったキッカケですね。
西内:運命的な出会いですね。きっと、おおかわらさんは芸人さんになるべくしてなったんですね。そんなおおかわらさんには、やはり「芸人として絶対に成功したい」という強い志があるのでしょうか?
おおかわら:それが、「成功したい」という目標みたいなものはないんですよね。「成功したい」というよりは、「純粋に面白いものが作りたい」、ただそれだけなんです。それは昔から変わりません。とにかく一生懸命、日々舞台に立つのが楽しくて楽しくて。ネタ作りに映画の脚本。その一つ一つに純粋に向き合い納得のできるものを作ることこそが、何よりの幸せなんですよね。
...映画「珍遊記」で倉科カナさんに卑猥なセリフを強要し、彼女には度々赤ちゃんプレイを強要、また最近では2次元の女性に恋をしつつある、こじらせ芸人・おおかわら氏。しかし、その根底にあるのは「ただただ、面白いものを作りたい」という、お笑いに対する純粋な情熱であった。
キングオブコントで決勝にまで上り詰めたネタを書き、映画の脚本までもを手がける...これ程までに才能に溢れる、おおかわら氏。付き合った彼女には一筋になり、先輩との付き合いを断ってでも彼女の待つ家にまっすぐ帰る...これ程までに愛情に溢れる、おおかわら氏。
世の女性は、今こそ、おおかわら氏に結婚を迫るべきなのだ。
しかし、世の女性がいくらおおかわら氏との結婚を望もうとも、おおかわら氏自身が2次元、つまりアニメ世界の高校生と結婚することを望んでいるようでは、現実的にゴールインは難しい。おおかわら氏が一刻も早く3次元の世界へと生還を果たし、3次元の人間の女性と、健全な結婚ができるようになることを願って止まない。
Text:Yuko Nishiuchi
Photo:Tatsuya Hamamura
2007年に結成されたお笑いトリオ「鬼ヶ島」の要。「キングオブコント」2011年決勝進出、2013年決勝進出第2位となる。「M-1グランプリ2009」準決勝進出も果たす実力派お笑いトリオ。シュールで奇抜な笑いを得意とし、固定概念にとらわれない笑いを世に問い続けるその在り方は、業界内外から注目を集める。また、映画「珍遊記」の脚本を手掛けるなどその活動の幅は多岐に渡る。
1988年、兵庫県西宮市出身。同志社大学文学部哲学科卒。avexへの就職を期に上京し、3年半のOL経験を経てフリーライターとなる。在学時に自身のアメーバブログが大学生ランキング1位を獲得。会社員時代、dマガジン「Hot-Dog PRESS(講談社)」にて「おじさんハンター」として連載をしていた。