黒川：好きなタイプは、自分のルールを持っている人ですね。小さなことでもいいんです。例えば、ご飯を食べる時に何から食べるとか...。そういう、僕には入り込めない領域が存在する、分からない部分の多い女性が好きですね。逆に、分からない部分があまりない女性には魅力を感じにくいかもしれません。西内さんも、何かルールを持たれているんじゃないですか？
西内：すみません、特にないですね。
黒川：...。でも、基本的に僕は恋愛にそこまで重きを置いていないんです。人生で恋愛に浸りきった時期というのがたぶんない。なので恋愛に関しては「白帯」ですね。何も分からないです。10代の頃なんて、好きな気持ちなんて確とわからずに付き合ってたので...（笑）。好きという気持ちがいまだに理解しきれていない気がします。
西内：そうなんですね。でも、男の人の多くは「モテたい」というモチベーションで仕事を頑張っていると思うのですが、黒川さんは違うんですか？
黒川：考えたことがないですね（笑）。モテたいとは思ったことがないです。
西内：それはモテるからじゃないですか？ イケメンで映像作家で詩人てモテない訳がないですよね。
黒川：モテるって、自分がいいなと思う人に好きになってもらうことだと思うんですけど...そういう経験はほとんどないんです。なので、モテないと思います。
西内：どうでもいい女ばかりに言い寄られるということですね？
黒川：いえいえ、そんなことないですよ。でも、「人を好きになったことがあるのか」って、よく分からないと思うことがあります。でも、反対にいろいろな女性を思い浮かべた時に「みんな、素敵だな」と思うこともある。みんな好きなのか、みんな好きじゃないのか...よく分かりません。ただ、僕には恋愛が何よりも大切だという風には思えないし、それほど興味を持てないんですよね。
西内：珍しいですね。
黒川：だって、恋愛以外にも楽しいことってたくさんあるじゃないですか。別に、みんなが恋愛しているからって、恋愛しなきゃいけない訳ではないと思う。僕は、何かを創る喜びに恋愛の喜びが勝るとはまだ思えないんですよね。創造の喜びを越えられるようなものに、恋愛ではもしかすると出会えないんじゃないかと。だから、恋愛にどハマりするタイミングがなかなかありません（笑）。
西内：では、黒川さんが女性とお付き合いする時って、どんな時なんでしょうか？
黒川：う〜ん...雰囲気に流されるとか...？ いや、これは語弊があります。これも分かりません（笑）。
西内：黒川さんて、あまり俗世的なものに興味がないんですね。
黒川：どうなんでしょう。仕事でまとまったお金があった時期に、毎日美味しいものを食べ、夜更けまで都心で遊び、タクシーで帰る...。そんなこともありました。もちろん、東京はお金があればすごく楽しい街だし、綺麗な女性もたくさんいる。けれど、僕はそこには本質的な幸せはないのかもしれないという結論に至ったんです。
西内：では、黒川さんにとっての幸せって、何なのでしょう？
黒川：そうですね。家でゆっくり風呂を沸かし、上手くもない料理をつくり、本を読み、勉強をし、詩を書いて寝る。これが幸せなんじゃないかなと。これって家賃2万円のアパートに住んでいた時と同じ暮らしなんですよね。僕の考える幸せに、お金もモテも恋愛も、もしかするとあまり関係ないのかな、そんな結論にたどりつきました。
...「一度も就職せずに生きることに不安を覚えることもあったけど、創造には中二病のような感性が必要で、ただ流されて就職すればそれが失われてしまうかもしれない、大人になる、それが漠然と怖かった」。そう語る黒川隆介さん。人は、人をバカにする言葉として「中二病」という言葉を使う。しかし、その中二病を貫いた者だけが「本物の創造者」になることができる。そんなことを思わずにはいられない。
黒川隆介さんの詩人として、映像作家として、企画者としての活躍に、今後も目が離せない。
Text：Yuko Nishiuchi
Photo：Katsuki Murata
【黒川隆介・クロカワリュー・Kurolets Kurokawa Ryu】1988年生まれ。詩人としては、国民文化祭京都2011にて京都府教育委員長賞を受賞。やなせたかし監修「詩とファンタジー」に掲載など。イベント企画、映像制作、コピーライティングを経て、現在は「コトバと映像」を主に活動中。
▶︎著書「タイムカプセル: おとなが嫌いな人たちへ」
Kindleはコチラ
Amazon Kindleはコチラ▶︎動画「憲法9条について」
http://first-read-to-yourself.
▶︎動画「思いのリレー」
https://www.youtube.com/watch?v=3sRRFLhKYjI
▶︎クロカワリュー 公式Webサイト
http://kurokawaryu.com/
【ライター：西内悠子】1988年、兵庫県西宮市出身。同志社大学文学部哲学科卒。avexへの就職を期に上京し、3年半のOL経験を経てフリーライターとなる。在学時に自身のアメーバブログが大学生ランキング1位を獲得。会社員時代、dマガジン「Hot-Dog PRESS（講談社）」にて「おじさんハンター」として連載をしていた。
