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【連載】格闘家の入場曲【SAMURAI JOURNEY】
Round2
ボクサー坂本博之×ドボルザークの『新世界』

2016.2.3
2016.2.3

すべての想いを拳に宿し、男は新世界への扉をたたく

『FORZA STYLE』読者の皆さん。サムライ平岡です。突然ですが、最近、クラシックを聴く機会はありましたか? 正直、私はほとんどないのですが……。そんな私も1990年代後半によく聴く機会がありました。それが、今回ご紹介させていただくドボルザーク作曲の『交響曲第9番新世界第4楽章』です。この『新世界』には所説あるのですが、ドボルザークが故郷チェコを離れ、新しい地、アメリカにて故郷を思って書いた曲との説が有力。そこで、第2回目の今回は、ボクシング元東洋太平洋ライト級チャンピオン、坂本博之さんと、その入場曲『新世界』についてご紹介していきます。

坂本さんは、4度の世界タイトルマッチに挑み、惜しくもベルトには届きませんでしたが、拳にすべての想い宿し、常に前に出て行くファイトスタイルで多くのファンに感動を与えてくれました。激闘の末に敗れた畑山さんとの一戦は、記憶にある方もいらっしゃるかと思います。

幼少期、時には川でザリガニやドジョウを捕って飢えをしのぎ、その後、養護施設のTVで観たボクシングの試合で自分を奮い立たせ、将来ボクサーになる事を決意させてきたのです。

私もほとんどの試合を会場で観てきましたが、試合の度にリングに向かう花道に「不動心」と書かれた、のれんの数が増え、養護施設から子供たちも駆けつけ、坂本さんの拳にはパンチ力以外に守るべき様々な力が込められていたように思えました。『FORZA STYLE』読者の皆様も、家庭がある方、会社を経営されている方、部署をまとめる方、いろいろかと思いますが、守るものを背負っているからこそ、前に進めることもあります。そんな生き様をボクサーとして、まっとうした坂本博之さんにインタビューさせて頂き、なぜ入場曲に『新世界』を選曲し、どのような存在だったのか? また、坂本さんが掲げる「不動心」とはどのようなものなのか? 直接伺って来ましたので、それを象徴する試合、3度目の世界タイトルマッチ時の状況踏まえご紹介いたします。

2000年3月 両国国技館にて行われた3度目の世界タイトルマッチ。
相手は技巧派のベネゼエラ人、ヒルベルト・セラノ。坂本さんはトレーナの肩に手をのせ、花道への入り口でその時を待っていた。会場内に入場曲『新世界』が響き渡る。

この時、坂本さんは、物凄く冷静で、応援に駆け付けた2階席にいる養護施設の子供たちを何度となく見ていた。子供たちには「もっと、もっとありったけの声を出せ!」と思っていたという。自分の幼少期を投影するかのように少年たちの怒りや悲しみを一身に受け、リングに向かっていった。この力が、坂本さんの拳に宿り、技巧派チャンピオンから1Rに2度のダウンを奪うこととなったのだ。

『新世界』は、緩やかに始まり、徐々に激しくなり、また緩やかになる。この世界観がベルト奪取への期待感をさらに助長させてくれていた。坂本さんは、なぜこの曲だったのかということついて、こんな風に語ってくれた。

「クラシックは昔から好きでした。詩が無いのが気に入っているんです。詩がある歌も好きですが……、リングに上がる時は“無”でいたい。だからクラシックを選曲しました。その中でも、『新世界』はズシーンと心に響き、王者の曲のように感じたんです。人生の浮き沈みがあるような曲調がすごく気に入ったんです。基本的に入場時は、耳にそれほどは入ってこないんですけどね……。人は窮地に追い込まれた時こそ、その人の性根が見えるんです。大きな木を支えているものは根っこ。その根っこは人の見えない時に努力をして育つものなんです。この根っこが諦めない心を作り、諦めず練習をすることによって試合前に不動心でいられるんです。ホップ、ステップ、ジャンプの「ステップ(根気)」部分が練習を意味し、ここでどれだけ精一杯出来るかが、リングに上がる心構え含め重要なんです。ようするに、すべては練習に集約され、どれだけ『新世界』という王者の曲に見合った練習姿勢でいられるかが大事なんです。元気がない時や不安な時にこの曲を聴いて頼ってしまったら、自分は負けだという意識がありました」

背負うものがあるからこそ、人は強くもなれ、自分のテーマ曲を壁として打ち破るために努力を惜しまない。坂本さんにとってテーマ曲『新世界』とは、不安や恐怖に打ち勝つ為に存在する壁であり、その向こう側にある希望を意味するのだ。ちなみに、「不動心」という言葉は、10代の頃、浅草の骨董屋で見た手掘りの木に書いてあった言葉だそう。その時に坂本さんは、"天と地が逆さになっても動じないくらいの気持ちを持つ″と解釈し、現在の坂本さんが会長を務めるSRS(Skyhigh RingS)に存在感を持って飾られている。

坂本さんは、現在、ジムでの後進指導とともに、全国の児童養護施設の子供たちを対象に 「こころの青空基金」を立ち上げ、講演やイベントなどを開き、子供たちに向けた「熱」を伝える活動を精力的に行っている。最後に、坂本さんは、こんな言葉を真っすぐな目で話してくれた。

「子供も大人も、熱を持って接すれば、必ず熱を持って返ってくるものです」

『FORZA STYLE』読者の皆さんも守るべきものが有るからこそ、先に進める。今の自分を乗り越えさせてくれる、希望の曲。皆さんも、持ってみてはいかがでしょうか。

Photo,Text:Samurai Hiraoka

【プロフィール】
サムライ平岡

格闘技と長渕剛をこよなく愛す昭和49年生まれ。
宮本武蔵の「万里一空」という言葉に感銘を受け、サムライ平岡と名乗っている。
出没場所:後楽園ホール。

【取材場所】
SRS
東京都荒川区西日暮里5丁目2-3-3 冠第2ビル1F
03-6825-8800
srsboxing.com

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