直接だからこそ伝わる
声と言葉の温かさ
高橋:モテると思います。それがちょっとした髪型の変化かもしれないですし、なんでもいいと思うんです。後輩からすれば、この人は自分を見てくれてるんだっていうのは嬉しいものなので。まあ、あんまり気付きすぎる上司もこわいから、さじ加減は必要だと思います。
FORZA:確かに(笑)。もうひとつお聞きしたかったんですけど、人と関わるって、ものすごいパワーがいるじゃないですか。ましてタイプの違う人間と関わるのって、すごいストレスが溜まると思うんですけど、その辺のストレス対策って、どうしてきたんですか?
高橋:自分のことは自分がいちばんわかってるので、自分も大切にします。人と接するのはパワーも使うので、私自身に余裕があるときじゃないと、きちんとした間合いで話せないし、アドバイスも…まあ、ほぼほぼアドバイスっていうより聞き手なんですけど、話を聞くのもパワーが必要だと思うので、メンバーから「相談したいんです」って言われても私に余裕がないときだったら、「ちょっとごめん、1週間後にしていい?」ってお願いします。
FORZA:ああ、その場で答えを出さないんですね。でも、1週間待たされるほうはつらいかもしれないですけどね。
高橋:その辺は度合いを見ます。いろんなメンバーがいて、『たかみなさんとご飯に行ってみたい』っていう興味を持ってくれているメンバーもいれば、ホントに至急のメンバーもいる。もうホントにヤバいです、今にも卒業するぞみたいなメンバーがいるときは、やっぱり順番を入れ替えます。例えば島田(晴香)とかは、ただ私と美味しいものを食べたいだけだったりするんで(笑)。そういうときは、ちょっとごめんなさいね、もう少し先でもいいですかみたいな。
FORZA:そのときに言わないとパンクしちゃうコとかもいますもんね。言いたいだけのコとかもいるでしょ? たぶん。
高橋:正直、結論が決まってるメンバーもいるんです。極論、若いメンバーってメールがすごく多いんです。SNSの中での文章能力もすごく高い。私がメールで返せる状況でも、温度感がわからなくて、そのメンバーと会えないときはすぐ電話します。相手はビックリしますけど、やっぱり音としての、言葉の温度感っていうのはメールと全然違うんです。泣きながら悩みを言われたりすると、これぐらいの大変さなんだなとか把握できるけど、メールの文面だけだとわからないじゃないですか。
FORZA:確かに電話も難しいですよね。今の若いコって、電話に慣れてないじゃないですか。「え、なんで電話してきたの? LINEで良くない?」みたいな、なんでもかんでもLINEで済ませようとするけど、あれもどうかと思うんですよね。
高橋:そこがやっぱり今のメンバーの難しさです。だけど、相手にとってはメールよりも電話とか直接言われた言葉のほうが残ると思うんです。だからこそ、のちのそのメンバーのためにも、なるべくリアルな言葉を届けたいなっていうのはすごくあります。
FORZA:リーダーですねー、さすが。最後に個人的な感想なんですけど、昔、矢沢永吉さんの『成りあがり』っていう、当時の若者のバイブルとされた本があったんですけど、この本はそれに匹敵し得る、今を生きる若者にとっての新たなバイブルになる可能性を秘めてると思ったんですよ。
高橋:えー、嬉しい~! ホントですか!?
担当編集:実は、私も今回この本を担当させていただくにあたって、『成りあがり』を1から読み直したんですよ。
FORZA:おおー、ホントですか! まさかのリンクですね。
高橋:すごーい。『成りあがり』、すごく読んでみたいんですよ~。
FORZA:そう思って……持ってきました。
高橋:えー、嬉しい~!! ありがとうございます~!!
FORZA:たかみなさんは、絶対好きだと思うので(笑)。最後になりますが、卒業後はソロ歌手の道に進まれるとのことで、抱負をお願いします。
高橋:そうですね。これまで達成感や悔しさといった、グループでしか味わえないことを学ばせていただいたので、ひとりになることの寂しさも正直あるんです。その一方で、これからは1曲をひとりで全部歌える喜びと不安っていうのもあるので、経験を生かせるところは生かしつつ……でも、まだ足りないものがたくさんあるので、ゼロスタートだと思って頑張りたいと思います!
Text:Naoya Aoyagi(Seidansha)
Photo:Tatsuya Hamamura
高橋 みなみ
1991年4月8日生まれ。AB型。東京都出身。14歳のときにAKB48に初期メンバーとして加入。総監督として国民的アイドルグループに育て上げた名実ともにAKB48のリーダー。身長148cm。来春、AKB48を卒業予定。