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CULTURE

【ブックレビュー】
「吉田基準 価値を高め続ける吉田カバンの仕事術」

2015.12.18
2015.12.18

広告は打たない
値引きもしない


ファッションとは非言語の記号である。あなたが身にまとう服装は、あなたが話すよりも多くのことを語ることがある。そんなファッションに関する本を紹介するFORZAのブックレビュー。第3回は、日本が誇る屈指のカバンブランドの物語。

「吉田基準 価値を高め続ける吉田カバンの仕事術」(日本実業出版社刊)。アマゾンはこちら

「一針入魂(いっしんにゅうこん)」
PORTERシリーズなどを展開する吉田カバンのプリンシプルは、この四字に集約される。
「カバンを100個つくったとしても、お客さまにとっては、その方が手にとった1個がすべて。個々を大事にして不良品は出さないように、一針一針を丁寧に」(創業者・吉田吉蔵)
質実剛健。そしてそれと矛盾しない高いファッション性で老若男女の心をつかんでいる吉田カバン。東京・神田須田町で80年前に創業した小さなカバン屋は、工房の職人たちと手を取り合うようにして成長し、いまだその歩みを止めていない。

本書はそんな吉田カバンの歴史を収めた一冊だが、「なぜこんなにも売れ続けているのか」という問いを設定すれば、ビジネス本としても興味深い。
吉田のカバンは頑丈で、とにかく壊れない。創業者のカバン作りへのこだわりは、「吉田基準」という業界用語で語られ、時に取引先の職人たちを悩ませてきた。吉田カバンが求めるものは、「圧倒的な品質」だった。一針入魂は、職人との軋轢を生むこともあったが、その濃密な時間は、ファンの獲得につながった。
「広告は打たずに、品質をして語らせる」。宣伝のことを考えるくらいなら、一針一針に集中しろ。それが成功への近道だ――。単なる頑固者ではなく、それがロジカルな戦略だったことは歴史が証明した。
90年代半ばのことだ。1983年に産声を上げたPORTERブランドの1シリーズ、「タンカー」が、原宿系のハイセンスなクリエイターの間でクチコミで広がり、97年には木村拓哉が「ラブ・ジェネレーション」(フジテレビ系列)で使用。爆発的なヒットとなった。いまもその勢いは衰えぬまま、ロングセラーとなっている。
吉田カバンが成功した理由の大きな一つが、技術のある職人としか仕事をしないという方針を貫いていることだ。「日本の職人の力は世界一だ」。生前、事あるごとにそう語っていた創業者は、第二次世界大戦で激戦地から生還した経歴を持つ。日本にこだわったのは、敗戦の苦い記憶が強かったから? きっとそうではない。吉蔵は純粋にカバン作りを愛し、日本の職人を愛していたのだ。帰国後、「戦争に出て腕が鈍った」と短く言い、すぐに付き合いのあった職人たちの工房へ黙々と通う日々を再開している。
余計なことは考えない。目の前の、その針先にのみ集中する。その瞬間こそが、明日を編むのだ。「一針入魂」は、すべてのビジネスマンに通じるセオリーかもしれない。


Text:Yoshihide Kurihara


 

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